展示会ブースの集客アイデアは、ブースのスタッフだけで今週から準備できるものから選ぶと無理がありません。何の会社かを一言で掲げる、声をかける相手を絞る、シール投票や10分のミニセミナーで話すきっかけを作る、といった企画です。
選ぶときの基準は、人がどれだけ集まるかより、見込みのお客さまと名刺交換や商談まで進めるかどうかで考えます。
展示会の来場者は、たくさんのブースの前を短い時間で通り過ぎていきます。目立つ仕掛けで人だかりができても、何の会社か分からなければ、そこで話は止まってしまいます。
たとえば受発注の自動化サービスを扱う batton は、ブースに射的を置いたものの、会期中は一度も使われなかったと担当者がnoteに書いていました。その後、何をしている会社か一言で分かる言葉を柱の高い位置に掲げるように変えると、お客さまが自分から見つけてブースに入ってきてくれるようになり、その方たちが商談にもつながったと書いています。2024年1月の大阪の展示会では、その場で次の商談の約束を取る進め方で、3日間で40社以上と約束しました(出典:batton 担当者のnote・2026年10月11日確認)。
この記事では、展示会ブースで実際に行われた集客企画を17件、出展社本人や主催者の報告をもとに、スタッフだけでできるものから順に紹介します。あわせて、効かなかった企画の例、足を止めた方を名刺交換と商談につなげる受け方、通路での配布・音量・試食・抽選について出展規程で確かめることもまとめました。展示会ブースの設計・施工をしている会社の目線で書いています。
展示会の集客アイデアは「足止め・会話・商談」のどこに効くかで選ぶ
ブースでやる企画は、通路を歩く方の足を止める企画、ブースの中で話す時間をつくる企画、名刺交換や商談に進める企画の3つに分けて考えると選びやすくなります。1つの企画で全部をまかなおうとせず、2〜3個を組み合わせるのが基本です。
たとえば「一言の掲示で足を止め、シール投票で話し始め、ミニセミナーのあとに商談席へ案内する」と組み合わせます。下の早見表に、この記事で紹介する17件を、手軽さと効くところで並べました。
| 企画 | 手軽さ | 主に効くところ | 準備と人手の目安 |
|---|---|---|---|
| 何の会社かを一言で高い位置に掲げる | A | 足止め | 文言を決めて出力するだけ |
| 手で持つ看板を掲げて声をかける | A | 足止め・会話 | パネル1枚と声をかける人1人 |
| 名札の区分と看板の言葉で声をかける相手を絞る | A | 会話・商談 | 事前に「誰に声をかけるか」を決める |
| シール投票のボード | A | 足止め・会話 | ボード1枚と丸シール |
| 見込みの度合いが分かるアンケート | A | 名刺・商談 | 設問作りと回答を受ける人 |
| 10分のミニセミナーを決まった時刻に | A | 滞在・人だかり | 話す人1人とモニター1台 |
| セミナーの題を業界の課題の言葉にする | A | 足止め・商談 | 題と資料の作り直し |
| 予約制の個別相談会 | B | 商談 | 予約の受付と事前の案内 |
| 課題を書いたノベルティ・取引先の品 | B | 名刺・会話 | 製作の期間と渡す条件 |
| 試飲・試食をアンケートとセットに | B | 足止め・名刺 | 保健所の手続きと衛生の備品 |
| 来場者が自分で触れるデモ機 | B | 滞在・会話 | デモ機と説明できる人 |
| その場で測って結果を見せる | B | 滞在・会話 | 測定の機材と結果の見せ方 |
| 使う前と後、あり・なしを並べる | B | 足止め・商談 | 比べる実物か短い動画 |
| 30分ごとのデモと決められる人の常駐 | B | 商談 | デモの時間割と決裁できる人 |
| 通路から見える大きな映像で短い動画 | C | 足止め | 映像機材・映像制作・電気 |
| 体を動かすと映像が変わる体験・VR体験 | C | 足止め・滞在 | 機材と体験の進行役 |
| ブースの主役になる大物を1つ置く | C | 足止め・話題 | 小間の広さ・搬入・費用 |
手軽さはA=ブースのスタッフだけ・道具少なめ、B=少し準備が要る、C=大がかり、の3段階です。1〜2小間で初めて出展するなら、Aから2〜3個を選んで、余裕があればBを1つ足す形から始めると無理がありません。
展示会ブースの集客アイデア17選【手軽な順】
ここからは17件の企画を、手軽な順に3つのグループに分けて紹介します。それぞれに、実際にやった出展社の報告か、主催者・公的機関の発表を出典として付けました。結果の数字は出典に書かれているものだけを載せています。
ブースのレイアウトや壁面の見せ方は展示会ブースの装飾アイデアに、会期前の案内状やアポ取り、会期後のフォローまでの段取りは展示会の集客方法をご覧ください。この記事では、会期中にブースの中と前でやる企画に絞りました。
ブースのスタッフだけで今週から準備できる企画

何の会社かを一言で書いて、高い位置に掲げる
社名やロゴより先に「何をしてくれる会社か」を一言で書き、通路を歩く方の頭越しにも読める高さに掲げる企画です。文言を決めて出力するだけなので、いちばん手軽で、効き目も分かりやすい工夫だと思います。
精密板金の協和工業は、ものづくりワールドで、来場者の目に映るのは3秒ほどだという主催者の助言を受けて、3秒で読める文字の大きさのPOPを作りました。搬入のときには、製品とPOPの向きや配置も主催者と一緒に直しています。会期中は3日間来場が途切れず、普段は50〜100部で足りるパンフレットが500部でも足りなくなり、4〜5社から引き合いがあり、その中には1,000万円規模の相談もありました(出典:RX Japan「出展社の成功事例」協和工業・2026年10月11日確認)。
冒頭の batton も、Japan IT Week 秋 2022 では画面に映像を流せば装飾は要らないと考えて出展し、人が寄らなかったそうです。見かねた主催者がキャッチコピーをA4に印刷してくれて、それを柱に貼ってしのいだと書いています(出典は冒頭と同じnote)。
言葉は自社の製品名ではなく、来場者が普段使っている言葉で書くのがコツです。文字の量の減らし方はおしゃれな展示会ブースの7つの要素でも触れています。
手で持つ看板を掲げて、目線が合ったときに声をかける
一言のキャッチを書いた看板をスタッフが手で持ち、通路を歩く方の目線が看板から下りたところで声をかける企画です。看板が動くので目に留まりやすく、壁の掲示より高い位置にも出せます。
batton は、配っていたお菓子をやめて、手持ちの看板で集客する形に切り替えました。看板を見た方の目線が下りたタイミングで声をかけると、話を聞いてもらえる確率が上がったと書いています(出典は冒頭と同じnote)。
看板を持って立つのは、自社の小間の中です。通路に出て呼び込むことは、多くの展示会の出展規程で禁止されています(後半の「出展規程で確かめること」の章を参照)。声のかけ方そのものはイベントの呼び込みのコツにまとめました。
名札の区分と看板の言葉で、声をかける相手を絞る
誰にでも声をかけるのではなく、来場者の名札(バッジ)の区分などを手がかりに、見込みのありそうな方に絞って声をかける企画です。道具は要りませんが、出展前に「誰と話したいか」をチームで決めておく必要があります。
調達業務のサービスを扱う Leaner Technologies は、設計・製造ソリューション展(2022年6月・東京ビッグサイト)の初出展で、特定の色のバッジを付けた来場者に声をかけて、困りごとを聞いてからブースへ案内しました。看板の文言はお客さまが実際に使う言葉から選び、初日の反応を見て、デモより課題のすり合わせに時間を使う資料に作り直しています。結果は目標のリード数(見込みのお客さまの連絡先の数)の150%で、会期中に取れた商談の約束は、初日1社、2日目5社、3日目10社と増えていきました(出典:Leaner Technologies 社員のnote・2026年10月11日確認)。
名札の色分けや区分の付け方は展示会ごとに違うので、出展者マニュアルか主催者の案内で確かめておきます。

シール投票のボードを置く
来場者の悩みや関心を書いた項目をボードに並べ、当てはまるところに丸シールを貼ってもらう企画です。答えるのに5秒もかからないので参加してもらいやすく、貼ってもらった項目から、そのまま話を始められます。
オンラインのアウトソーシングを手がけるニットは、総務・人事・経理Week(2026年9月・東京ビッグサイト)に「仕事・業務のお悩み解決ウォール」を置き、バックオフィスの悩みを並べて、共感する項目にシールを貼ってもらいました。会期後には集計を「業務の本音ランキング」として発表しています(出典:ニットのプレスリリース(PR TIMES)・2026年10月11日確認)。
ITの支援をしているアイスリーデザインは、AI駆動開発カンファレンス(2026年7月)で、設問に答えるとAI活用の段階が分かる簡易診断を用意し、「規模」と「深度」の2つの軸のボードに自社の位置をシールで貼ってもらいました。回答は30社で、同社は「代表性はない」と断ったうえで結果を公表しています(出典:アイスリーデザインのプレスリリース(PR TIMES)・2026年10月11日確認)。
集計が会期後の発表やメールの話題にもなるのが、この企画の良いところです。項目は自社の製品の話ではなく、来場者が抱えていそうな悩みの言葉で書きます。
見込みの度合いが分かるアンケート
検討の状況が分かる設問のアンケートに答えてもらい、話す相手の優先順位を付ける企画です。紙かタブレットがあれば始められます。
木造構法を扱うエヌ・シー・エヌは、非住宅 木造建築フェア2026(2026年5月・東京ビッグサイト)で建設関係者向けのアンケートを行い、ブースに来た1,359名(前年より21.9%増)のうち266名、約2割が回答しました(出典:エヌ・シー・エヌのプレスリリース(PR TIMES)・2026年10月11日確認)。
人材派遣の日研トータルソーシングは、ものづくりワールド東京で「現在の人材の課題」「派遣活用の検討状況」「利用中の職種・人数」を聞き、約7割が外部の人材を利用中か検討中だったと発表しています(出典:日研トータルソーシングのプレスリリース(PR TIMES)、2026年10月11日に確認)。
経済産業省の『展示会産業概論』は、まだ熱心でない来場者はアンケートを頼まれると逃げてしまうおそれがあり、逃げられないための工夫が要ると書いています(出典:経済産業省『展示会産業概論』(日本展示会協会サイト掲載のPDF) p.151・2026年10月11日確認)。最初の設問は答えやすいものにして、検討の状況を聞く設問は話が温まってから出すと答えてもらいやすくなります。
10分のミニセミナーを、決まった時刻に開く
ブースの中で10分ほどの短いセミナーを、決まった時刻に何回も開く企画です。話す人が1人とモニターが1台あればでき、人が立ち止まっていること自体が、次に通る方を呼んでくれます。
クラウドの導入支援をしているサーバーワークスは、ワークスタイル変革EXPO(2017年7月・東京)で、1回約10分・1日4回のミニセミナーを開きました。資料の文字と図を大きくし、途中から足を止めた方にも伝わるよう問題提起から入り、聞いている人の10m先に向けて声を出し、最後に「資料を持ち帰る」「デモを見る」といった次の行動をはっきり伝えています。最後の回は立ち見が出た一方で、聞き手が誰も来なかった回も2回ほどあったと書いています(出典:サーバーワークス 社員ブログ・2026年10月11日確認)。
中小機構のJ-Net21も、10分間のセミナーを1時間に1回開き、「○○社のミニセミナー開催中!」の立て看板を出す方法を紹介しています(出典:J-Net21「新製品を展示会で宣伝したいのですが…」、2026年10月11日に確認)。開始の時刻を決めて掲示しておくと、看板を見た方が時間に合わせて戻ってきやすくなります。
1小間でも立ち見の形なら開けますが、聞いている方が通路にあふれないように、立つ場所を小間の中に確保しておきます。2小間で実演の場所をとる割り方は2小間の展示会ブースにまとめました。
セミナーの題を、製品名ではなく業界の課題の言葉にする
ミニセミナーやデモの題を、自社の製品名ではなく、来場者の業界でいま話題になっている課題の言葉にする企画です。中身を大きく変えなくても、題を変えるだけで足を止める方の層が変わります。
電子機器の製造装置を作る武蔵エンジニアリングは、ネプコン ジャパンで、新製品を紹介するセミナーでは人が集まらなかったため、「熱管理」「生産設備の自動化」「SDGs」といった業界のキーワードを題にしたセミナーに切り替えました。業界ごとに、製品の組み合わせやキャッチ、デモの見せ方も変えています。足を止める方とセミナーのあとに質問に来る方が増えたそうです。
出展を続ける中で、普段はアポイントが取れない大手メーカーの上層部がブースに立ち寄り、大きな受注につながったこともあると話しています(出典:RX Japan「出展社の成功事例」武蔵エンジニアリング・2026年10月11日確認)。
警備業向けのサービスを扱うジャガーノートも、SECURITY SHOW 2026(2026年3月・東京ビッグサイト)で「なぜ今、警備業にDXが必要なのか」といった題のミニセミナーを随時開き、終日立ち見だったと発表しています(出典:ジャガーノートのプレスリリース(PR TIMES)、2026年10月11日に確認)。
少し準備が要る企画

予約制の個別相談会
専門のスタッフが、来場者の困りごとに合わせて個別に相談を受ける時間を、予約制で用意する企画です。会期前の案内で予約を取っておくので、会期中の商談の数を前もって積み上げられます。
研修・教育の日本能率協会は、HR EXPO(2025年6月・東京ビッグサイト)に出展者として参加し、研修の専門スタッフによる事前予約制の「課題別お悩み相談会」、会期中9回の10分のミニセミナー、通路から見えるLEDモニターでの15分ほどのPR動画を組み合わせました。スタッフは10〜15名が常駐し、3日間で800人近くがブースを訪れて、目標を大きく上回ったと発表しています(出典:日本能率協会のプレスリリース(PR TIMES)・2026年10月11日確認)。
J-Net21も、来場の予約を1社30分の時間割に入れていけば、2日間の展示会で20件ほどの商談ができる計算を示しています(出典は上のJ-Net21と同じページ)。予約の案内の出し方と送る時期は展示会の集客方法に書きました。
課題を書いたノベルティや、取引先の品を渡す
配るノベルティ(記念品)を、話のきっかけになるものにする企画です。製作に時間がかかるので、出展の1か月以上前には決めておくと慌てずに済みます。
Leaner Technologies は、各面に見積業務の困りごとを書いたサイコロ型の箱をノベルティにして、その場でも会期後の連絡でも話題にできるようにしました(出典は上のLeaner Technologies のnote)。
電話の自動応答サービスを扱うIVRyは、HCJ2022(2022年2月・東京ビッグサイト・3m×3m)で、取引先である鹿児島のお茶屋のティーパック200個と、3色ボールペン500本を配りました。3日目にノベルティがなくなり、ある時とない時では名刺情報の獲得数が1.5倍ほど違ったと、担当者は見立てています。4日間の名刺情報は693件で、目標の400件を大きく超えました(出典:IVRy 担当者のnote・2026年10月11日確認)。ただし2日目からはコンパニオンにも入ってもらっていて、2日目の名刺情報は前日の20倍以上になったと書いているので、ノベルティだけの効果ではありません。
渡す条件を決めずに配ると、受け取るだけで去っていく方が増えます。条件の決め方は後半の「受け方」の章に、ノベルティや販促物の種類は販促ツール13種類にまとめました。
試飲・試食を、アンケートとセットにする
食品や飲料の展示会で、試飲・試食をしてもらいながらアンケートに答えていただく企画です。味わっている間は自然に立ち止まってもらえるので、そのあいだに話を聞けます。
福岡市の健康食品・化粧品の受託製造会社、東洋新薬は、SPORTEC2026(2026年7月・東京ビッグサイト)で、スポーツドリンク味のアミノ酸飲料を試飲してもらい、683名からアンケートの回答を得ました。「とてもおいしい」「おいしい」という回答は合わせて89.5%でした(出典:東洋新薬のプレスリリース(PR TIMES)・2026年10月11日確認)。
アワビの養殖・加工をしているソムチョンボク営漁組合法人の日本支社は、FOOD STYLE Tokyo 2026(2026年9〜10月・東京ビッグサイト)で、小売・外食向けの小容量の蒸しアワビをその場で試食してもらい、バター焼きや煮物などに使えることも紹介しました。有効な商談・問い合わせは550件だったと発表しています(出典:ソムチョンボク営漁組合法人 日本支社のプレスリリース(PR TIMES)・2026年10月11日確認)。
経済産業省の『展示会産業概論』も、飲食品の展示会では試食を充実させ、新しい食べ方・飲み方を提案する工夫を挙げています(出典は上と同じPDF p.150)。試飲・試食には保健所の手続きが要ることが多いので、後半の章で確かめてから決めてください。
来場者が自分で触れるデモ機を置く
説明を聞くだけでなく、来場者が自分で画面や製品を操作できるデモ機を置く企画です。触っている間は滞在が長くなり、操作しながら質問が出てくるので、説明する側も話を進めやすくなります。
ネットワークカメラを扱うラネットは、SECURITY SHOW(4日間・東京ビッグサイト)で、管理画面を操作できるデモ用のパソコン2台と、カメラ・ドアベル8台を置きました。自社のカメラでブースの前を通った人を数えたところ、のべ34,801名で、ブースの中まで案内できたのは約1,520名、約4.4%でした。滞在が特に長かったのはデモ用のパソコンのまわりで、午後の混む時間に合わせてスタッフを増やしています(出典:ラネットのプレスリリース(PR TIMES)・2026年10月11日確認)。
このブースでは、前を通った方のうちブースの中まで入ったのは20人に1人ほどでした。展示会や小間の位置で数字は変わりますが、通路を歩く方を全員呼び込もうとするより、入ってくれた方とどれだけ話せるかに力を使う方が、成果につながりやすいと思います。
宿泊業向けのITを扱うアクティバリューズは、HCJ2025(2025年2月・東京ビッグサイト)で、デモ画面をQRコードで案内して来場者の手元のスマートフォンで操作してもらい、入口では約2分の紹介動画を流しました(出典:アクティバリューズ 社員のブログ・2026年10月11日確認)。デモ機の台数が少なくても、同時に何人もの方に触ってもらえる方法です。
その場で測って、結果を見せる
来場者の体や業務の状態をその場で測って、結果を見せる企画です。自分のことが分かるので興味を持ってもらいやすく、結果をもとに話を始められます。
健康経営の支援をしているフラクタルワークアウトは、健康経営EXPO(2026年9月・東京ビッグサイト)で、AIで姿勢を4方向から撮影して体のバランスを見えるようにし、来場企業の業種や従業員の構成から労働災害のリスクを整理する体験を用意しました。体験したのは約300名で、分析した100名のうち67%に姿勢の課題があったと発表しています。あわせて「医療上の診断ではない」と断っています(出典:フラクタルワークアウトのプレスリリース(PR TIMES)・2026年10月11日確認)。
測った結果を記録するときは、何に使うかを来場者に伝えてから取ります。健康に関わる測定なら、診断と誤解されない書き方もあわせて決めておきます。
使う前と後、あり・なしを並べて見せる
製品を使う前と後、製品があるときとないときを並べて、違いを一目で見せる企画です。説明を読まなくても違いが分かるので、通路から見ただけで足を止める理由になります。
醸造や固体培養の装置を作る岡山のフジワラテクノアートは、FOOMA JAPAN 2025(2025年6月・東京ビッグサイト)で、小型の培養装置の実機を置き、コーヒー豆のかすなどを培養する前と後で並べて見せました。ブース内のミニセミナーも開き、4日間でブースで話した方は700名を超えています(出典:フジワラテクノアートの出展報告・2026年10月11日確認)。
ゴム部品や制御機器の藤倉コンポジットは、オートモーティブ ワールドの初回の出展で、新製品の機能を中心に見せたところ立ち止まってもらいにくかったため、次の回から、製品がある場合とない場合の動きを比べる約30秒のCG動画を流しました。初出展から3年目には、その場で商談が始まる来場者が年々増えていると話しています。初出展のときにブースを訪れた方とは、共同開発も始まりました(出典:RX Japan「出展社の成功事例」藤倉コンポジット・2026年10月11日確認)。
30分ごとのデモと、決められる人の常駐
デモを30分ごとのように決まった間隔で行い、ブースには値段や条件をその場で決められる人を置いておく企画です。決められる人がいると、話がその場で具体的な商談に進みます。
幹細胞コスメのETERNAL BEAUTYは、化粧品展(2017年1月)の初出展で、事前にアポイントを取った方への特典として、セミナーの受講・ブース限定のサンプル・会期中の特別価格を用意しました。当日は製品を通路側に並べ、一目で分かるキャッチを掲げ、動画を流し続け、30分ごとにデモを行い、決定権のある人が常駐しています。3日間で約2,000名が訪れ、商談は約300件、受注は1億1,000万円だったと主催者が発表しています(出典:リード エグジビション ジャパン(現RX Japan)のプレスリリース(PR TIMES)・2026年10月11日確認)。
大がかりな企画

通路から見える大きな映像で、短い動画を流す
通路から見える大きさの画面で、製品やサービスの動画を流す企画です。動いている映像は遠くからでも目に入るので、ブースの位置が奥まっていても見つけてもらいやすくなります。
上で紹介した日本能率協会のブースでも、通路から見える大型のLEDモニターで15分ほどのPR動画を流していました(出典は上の日本能率協会のプレスリリース)。私たちもLEDビジョンを使ったブースをお手伝いしていて、ものづくりワールド東京2025では幅9m×高さ2.5mのLEDビジョンを、マリンメッセ福岡のビューティーワールドジャパンでは高さ2mのLEDポスターを、紙のポスターが多い会場で目を引くように導入しました。
ただし、画面だけでは人は寄ってきません。冒頭の batton が、映像を流せば装飾は要らないと考えて人が寄らなかったように、何の会社かを一言で示す掲示とセットで考えます。音楽や映像の録音物を流すときは、著作権の手続きが一般に必要です(出典は上と同じ『展示会産業概論』p.181)。流す映像の中身とデータの作り方はLEDビジョンに流す映像の作り方にまとめました。
体を動かすと映像が変わる体験や、VR体験
来場者が物を持ち上げたり体を動かしたりすると映像が切り替わる仕掛けや、VR・ARの体験を用意する企画です。体験している人を周りの人が見るので、人だかりができやすくなります。
私たちのグループのLEDビジョン事業「アディザネージ」は、マリンメッセ福岡の九州ホーム&ビルディングショー2024に自社で出展し、炭酸水を持ち上げると映像が切り替わる体験型のプロモーションを行いました(九州ホーム&ビルディングショー2024の自社ブース)。
国土交通省 中部地方整備局の中部技術事務所は、建設技術フェア2025in中部(2025年12月・ポートメッセなごや)で、トンネルの模型に入ってVR・ARで未来の構造物の点検を体験する企画と、橋の工作体験を用意し、2日間でブースに約600名、前の年の1.5倍が訪れました(出典:国土交通省 中部技術事務所の活動報告(PDF)・2026年10月11日確認)。展示会でのLEDビジョンの使い方はLEDビジョンの導入事例でも紹介しています。
ブースの主役になる大物を、毎回1つ置く
製品の強みを見せる大きな装置や実物を、ブースの主役として1つ置く企画です。費用と搬入の手間はかかりますが、「あの◯◯のブース」と覚えてもらえます。
繊維・アパレルのやまぎんは、初出展のサステナブル ファッションEXPOで入口に200インチの縦型モニターを置き、40秒の動画を流しながら、下に撥水の機能を示す什器を並べました。翌年は水が流れ続ける大型の装置を置き、2022年からは自社の生地でフルラッピングした水素自動車を展示しています。自動車業界とのつながりができ、機能性製品への素材の採用にもつながりました。直近の出展では、1時間に2回の説明会やブース内での鏡開き、ドリンクバーも加え、会場全体の約23,000名のうち約5,300名がブースを訪れています(出典:RX Japan「出展社の成功事例」やまぎん・2026年10月11日確認)。
大物は、製品の強みとつながっているものを選びます。強みと関係のない大物を置くと、話題にはなっても、商談の話に移りにくくなります。
人だかりができても、商談にならない企画もある
展示会の企画でいちばん避けたいのは、人は集まったのに、見込みのお客さまとの商談にはつながらないという結果です。企画を選ぶときは「その企画をきっかけに、自社の製品やサービスの話に移れるか」を確かめておくと、外れにくくなります。

batton の担当者は、効かなかった工夫も細かく書いています。社内の会議で盛り上がって作った射的は、設置してみると球の跳ね返りや音の大きさ、主催者に止められないかが気になり、会期中は案内とデモで手一杯で一度も使われないまま、ブースを狭くしただけでした。配るお菓子も何種類か試しましたが、種類を変えても効果は変わらず、目標を名刺の数から商談の数に切り替えてからは、こだわらなくなったそうです(出典は冒頭と同じnote)。
BtoBマーケティングの担当者が自身のnoteに書いた出展の振り返りでも、着ぐるみは目を引くものの商談にはほとんどつながらない「賑やかし」、キャンペーンガールはノベルティを渡して終わりになりやすかったとしています(出典:BtoBマーケティング担当者のnote・2026年10月11日確認)。一方で、上で紹介したIVRyのように、コンパニオンに入ってもらった日に名刺の数が大きく伸びた例もあります。名刺の数で見るか、商談の数で見るかで、同じ企画の評価が変わってきます。
『展示会産業概論』も、ブースの前での配布や勧誘は、単に通り過ぎる方に配るのではなく、興味を示している来場者を見抜いて行うよう書いています(出典は上と同じPDF p.151〜152)。
企画をたくさん詰め込むのも考えものです。ラーメンのトッピング全部乗せがだいたい何の味か分からなくなるのと同じで、ブースも企画を足すほど、何の会社か伝わりにくくなります。
足を止めた人を、名刺交換と商談につなげる受け方
企画で足を止めてもらったあとは、ノベルティを渡す条件、商談席の位置、話す時間の長さ、当日の記録の取り方を、出展前に決めておきます。ここが決まっていないと、せっかく立ち止まってくれた方が、受け取るものだけ受け取って去ってしまうことが多くなります。

ノベルティは、渡す条件を決めてから配ります。RX Japanは、アンケートへの回答や名刺交換を条件にノベルティを渡す方法を紹介しています(出典:RX Japan「展示会ブースの作り方」・2026年10月11日確認)。条件と、1日に渡す数の上限を決めておくと、最終日の前に無くなってしまうことも防げます。
商談席は、通路から見える位置に2席以上置くのがおすすめです。健康博覧会の主催者の出展マニュアルは、商談席を通路から見える位置に置くことを勧めています(出典:インフォーマ マーケッツ ジャパン『健康博覧会2022 出展マニュアル』(和歌山県が掲載したPDF) p.37・2026年10月11日確認)。RX Japanのコラムも、商談席は2席以上と書いています(出典:RX Japan「展示会の出展成果を高める!」、2026年10月11日に確認)。話している様子が通路から見えると、ほかの来場者も入りやすくなります。
1回の説明は、短い時間で区切るようにします。batton は1回の説明を5分以内にする決まりを作り、説明の内容と資料を全員でそろえました。同社が出ている展示会では、3日間のうち3日目、1日の中では13時から15時ごろに来場者が集中しやすく、説明の担当が埋まると次の方を案内できなくなるからです(出典は冒頭と同じnote)。
話が進んだ方とは、その場で次の約束を取ります。冒頭で触れた batton の大阪の展示会では、4名の体制で「訪問します」と伝えてその場で日程を決めていき、3日間で40社以上と約束しています。名刺は、その場で「次の商談が決まった/日程を調整中/いったん持ち帰り/対象外」の4段階に分けて記録しています(出典は冒頭と同じnote)。会期後に名刺を見返して思い出すより、話した直後に書いておく方が、フォローの優先順位をずっと付けやすくなります。
あわせて、声をかける人、説明する人、記録する人を分けておきます。野球で守備範囲が決まっていないと、お見合いしてポテンヒットになるように、ブースでも担当が決まっていないと、立ち止まった方を誰も受けないまま見送ってしまいます。人が足りないときの頼み方は展示会のスタッフ派遣に、テーブル1台で商談する場合の見せ方は商談会のブースにまとめました。
会期後のお礼と連絡の段取りは展示会の集客方法の後半に書いています。中小機構のJ-Net21は、展示会から1か月たってからのフォローでは遅いとしています(出典:J-Net21「第23回:展示会出展編」・2026年10月11日確認)。
企画を決める前に、出展規程で確かめる4つのこと
ブースの企画は、展示会ごとの出展規程(出展者マニュアル)の範囲でしか行えません。とくに、自社の小間の外での配布や呼び込み、音の大きさ、試飲・試食、抽選と景品の4つは、企画の形を変えることがあるので、企画を決める前に確かめておきます。

| 確かめること | 確認した規程の例 | 企画への影響 |
|---|---|---|
| 小間の外での配布・呼び込み・アンケート | SMART ENERGY WEEK【秋】2023(RX Japan)は、通路やラウンジなど自社の小間以外でのパンフレット配布・アンケート回収・呼び込みを禁止。健康博覧会2022も、小間以外の場所での配布・宣伝を禁止 | 手持ちの看板・声かけ・アンケートは小間の中で行う。セミナーの聴講者が通路に溜まらないよう、立つ場所を小間内に取る |
| 音の大きさ | SMART ENERGY WEEK【秋】2023は小間の端から1.5mの地点で75デシベル以下、健康博覧会2022は小間の端から1m・高さ1.5mで80デシベル以下 | ミニセミナーのマイクや動画の音量を、展示会ごとの上限に合わせる。鳴り物や拡声器を禁止している展示会もある |
| 試飲・試食 | 東京ビッグサイトは、出展者が試飲・試食をするときは保健所への届出と許可が必要(自社の小間で商談のために茶菓子程度を出すときは届出不要)。健康博覧会2022は、事務局へ期限までに「試飲・試食届」を出す決まり | 届出の期限から逆算して企画を決める。会場によって窓口と期限が違う |
| 抽選と景品 | 確認した出展規程には、抽選そのものを禁じる条文は見当たらなかった。景品の額は景品表示法で決まる | ガラポンやじゃんけんで「当たった人だけ」に渡すか、「もれなく」渡すかで、景品のルールが変わる(下で説明) |
出典:SMART ENERGY WEEK【秋】2023 出展要項(PDF) p.5〜6、健康博覧会2022 出展マニュアル(PDF) p.26・p.40、東京ビッグサイト『展示施設利用の手引き』(PDF) p.13〜14(いずれも2026年10月11日確認)。
上の数字は、確かめた展示会の例です。音量の上限や測る位置は展示会ごとに違うので、出展する展示会の出展規程で必ず確かめてください。東京ビッグサイトでは、浮かぶ風船を配ることも禁じられています(同じ手引き)。ブースの高さや防炎など、ブースの作りに関わる規程は展示会ブースの作り方にまとめました。
試飲・試食は、会場のある地域の保健所が窓口です。福岡市は、イベントで食品を出す事業者に、開催場所を管轄する衛生課に企画の段階で相談するよう案内しています(出典:福岡市「イベント・催事で食品を提供する事業者の方へ」・2026年10月11日確認)。
抽選と景品は、景品表示法の決まりを確かめます。消費者庁のQ&Aでは、取引に付随して、くじなどの懸賞で景品を出す場合は、相手が事業者でも一般消費者でも懸賞として規制の対象になるとしています。懸賞によらず「もれなく」渡す場合は、相手が一般消費者なら総付景品として規制の対象ですが、事業者向けなら原則として規制の対象外です(医療用医薬品業などの例外あり)(出典:消費者庁「景品に関するQ&A」景品規制について・2026年10月11日確認)。
| 配り方 | 来場者が事業者(BtoBの展示会) | 来場者が一般消費者(一般公開日など) |
|---|---|---|
| ガラポン・じゃんけん・抽選で当たった人に渡す(懸賞) | 懸賞として規制の対象 | 懸賞として規制の対象 |
| 名刺交換やアンケートに応じた方に、もれなく渡す | 原則として規制の対象外 | 総付景品として規制の対象 |
懸賞の限度額は、取引の価額が5,000円未満ならその20倍、5,000円以上なら10万円で、景品の総額は売上予定総額の2%までです。総付景品は、取引の価額が1,000円未満なら200円、1,000円以上なら取引の価額の10分の2までです(出典:消費者庁「景品規制の概要」・2026年10月11日確認)。展示会での取引の価額の考え方は企画によって変わるので、迷うときは消費者庁か都道府県の景品表示法の窓口に、企画の中身を伝えて相談してください。抽選会やゲームの景品の数の決め方はイベントのゲーム企画にもまとめています。
企画の目的、ミニセミナーやデモの時間割、持ち場、ノベルティを渡す条件と数、出展規程で確かめること、当日の記録を1枚にまとめたシートを用意しました。出展の1か月前に書き込んで、ブースに立つメンバーで共有してください。
AGSでお手伝いできること
ブースで何をやるかを決めるのは出展するみなさんで、私たちはその企画が通路からきちんと見えて、ブースの中で話しやすくなるように、ブースの設計・施工でお手伝いしています。

たとえば、一言のキャッチが通路から読める壁面や看板、ミニセミナーを開ける立ち見の場所、通路から見える商談席の配置などです。グループのアディザネージではLEDビジョンの販売・レンタルと設置をしていて、ものづくりワールド九州の山王テック様のブースのように、壁面にLEDビジョンを組み込んだブースもつくっています。当日の受付や案内のスタッフの手配もできます。
ブースの相談は展示会ブースのページから、スタッフの手配はイベントスタッフのページからどうぞ。拠点は福岡・博多ですが、現場は全国に伺います。見積りは無料です。
よくある質問
Q. 1小間(3m×3m)でもミニセミナーはできますか?
できます。座席を並べず、モニター1台の前で立ち見の形にすれば、1小間でも開けます。BtoB企業のマーケティング担当者の振り返りでも、座席を作ると人が集まりにくく、立ち見で5分程度が良さそうだとしています。聞いている方が通路に溜まらないよう、立つ場所を小間の中に取っておくのが前提です。
Q. ノベルティは配った方がいいですか?
名刺交換のきっかけとしては役に立ちます。IVRyの例では、ノベルティがある時とない時で名刺情報の獲得数が1.5倍ほど違いました。ただ、配るだけでは受け取って去っていく方も増えるので、アンケートへの回答や名刺交換を渡す条件にしておくのがおすすめです。BtoBの展示会で、条件に応じた方に「もれなく」渡す形なら、景品表示法では原則として規制の対象外になります。
Q. ブースで抽選会やガチャを開いてもいいですか?
確認した出展規程には、抽選そのものを禁じる条文は見当たりませんでしたが、小間の外での配布や大きな音は多くの展示会で禁止されているので、小間の中で静かに行える形にします。また、ガラポンやガチャで当たった人だけに景品を渡す形は、来場者が事業者でも、景品表示法の懸賞の規制の対象になります。景品の額と総額の上限を確かめ、迷うときは消費者庁か都道府県の窓口に相談してください。
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