イベントや店頭の呼び込みで足を止めてもらえるかどうかは、声の大きさよりも「第一声で何の催しか伝わるか」と「どこに立つか」で変わってきます。大きな声で挨拶を繰り返すより、内容の伝わる一言を人の流れの数歩手前で言うほうが、足は止まりやすいです。
理由は単純で、前を通る方は歩きながら数秒で「自分に関係があるかどうか」を判断しているからです。数秒で意味の取れない声は、どんなに大きくても素通りされがちです。
たとえば「いらっしゃいませー」だけでは、何のお店で今日何があるのかが分かりません。「焼きたてのメロンパン、いま焼き上がりました」なら、聞こえた瞬間に中身が分かります。
この記事では、第一声の作り方、立ち位置と人の配置、逆効果になりやすい行動、声以外の工夫までをまとめました。イベントの制作や当日運営、スタッフの手配をお手伝いしている会社の目線で書いています。
呼び込みの結果を分けるのは、声の大きさではありません
呼び込みで効きやすいのは、順に「第一声の中身」「立ち位置」「声をかけるタイミング」の3つです。声の大きさは、この3つがそろってから調整する要素だと考えています。
私たちが催事や販促イベントの現場をお手伝いする中でも、声の大きなスタッフより、通る方に合わせて言葉を変えられるスタッフのほうが人を止めている場面が多いです。大きすぎる声はかえって圧になって、避けられてしまうことがあります。
もうひとつ、先に押さえておきたいのは目的です。呼び込みのゴールは「全員を止めること」ではなく、「来ていただきたい方に気づいてもらうこと」です。無理に止めた方は、その場は立ち止まっても買わずに離れていくことが多いです。誰に聞いてほしい一言なのかを決めると、言葉も立ち位置も選びやすくなります。
呼び込みの第一声は「何の催しか」が伝わる言葉にする
第一声の基本は、商品や催しの名前と「今どうすればいいか」を、歩きながらでも聞き取れる長さで言うことです。挨拶や掛け声だけの呼び込みは、情報がないので素通りされやすいです。
作り方のポイントは3つあります。
- 名前を入れる — 「いらっしゃいませ」ではなく「焼きたてのメロンパンです」。商品名・催し名が入るだけで、声が案内に変わります
- 数字や限定を入れる — 「本日限り」「あと10分で焼き上がり」「先着50名」。今行く理由をつくる言葉です
- 行動のハードルを下げる一言を添える — 「見るだけでも大丈夫です」「ひと口どうぞ」。立ち止まっても売り込まれない、と伝わると足が止まりやすいです
場面別に、よくある第一声と伝わりやすい言い方を並べてみます。
| 場面 | よくある第一声 | 足が止まりやすい言い方の例 |
|---|---|---|
| 店頭セール | 「いらっしゃいませー」 | 「本日限り、タオル全品半額です。見るだけでも大丈夫です」 |
| 試食販売 | 「どうぞー」 | 「焼きたてのウインナー、ひと口どうぞ。いま焼けたところです」 |
| 催事・物産展 | 「安いよー」 | 「北海道から届いたチーズケーキ、本日は試食をご用意しています」 |
| 体験コーナー | 「体験できまーす」 | 「5分で作れる缶バッジ、お子さまは無料です」 |
| イベントブース | 「ご自由にどうぞ」 | 「1分のアンケートで、その場で当たる抽選に参加できます」 |
声のトーンは、張り上げるより「目の前の1人に話しかける音量」がおすすめです。語尾を長く伸ばす声は雑踏に溶けて、言葉として聞き取りにくくなります。
第一声は1種類に固定せず、2〜3種類つくって回してください。時間帯や来られる方の層によって、響く言葉が変わります。
呼び込みの立ち位置は「人の流れの数歩手前」が基本です
立つ場所の基本は、店やブースの真正面ではなく、歩いてくる方から見て数歩手前です。真正面で声をかけると、聞こえて振り向いたときにはもう通り過ぎています。
数歩手前で声が届けば、ちょうど店の前で足を止めてもらえます。人の流れには向きがあるので、まずどちらから歩いてくる方が多いかを見て、立つ側を決めてください。

立ち位置で気をつけたいことが、あと3つあります。
- 通路と入口を塞がない — 立つのは入口の脇、人の流れと並行になる位置です。正面に立ちふさがると、入りたい方の邪魔にもなります
- 視線は商品へ渡す — 目を合わせ続けると圧になります。声をかけたら、手のひらで売場や実演のほうを示してください
- 2人以上なら役割を分ける — 手前で声をかける人と、店頭で受ける人に分けます
役割分担は、野球の守備位置と同じ話です。誰がどこを守るか決めていないと、ポテンヒットが全部落ちます。呼び込みも、せっかく止まってくださった方を受ける人がいないと、そのまま流れてしまいます。
逆効果になりやすい呼び込みと、その言い換え
一番避けたいのは、前を通る方に「捕まりそう」と感じさせることです。強引な呼び込みは、その場の1人だけでなく、周りで見ている方の足も遠ざけます。
| 逆効果になりやすい行動 | 代わりにこうする |
|---|---|
| 歩いている方を追いかける・回り込む | 立ち止まった方、目が合った方にだけ一歩近づく |
| 「いらっしゃいませ」「安いよ」の連呼 | 商品名・催し名の入った第一声を2〜3種類用意して回す |
| 通路の真ん中に立ちふさがる | 入口の脇、人の流れと並行の位置に立つ |
| チラシを胸の前に突き出す | 文字が読める向きにして、相手の手の高さで差し出す |
| ずっと声を張り上げ続ける | 目の前の1人に話しかける音量に落とす |
もう1つ、始める前の確認事項があります。商業施設や催事場では、呼び込みの可否・声の大きさ・立ってよい範囲がルールで決まっていることが多いです。テナント規約や出展規程を先に読んでおいてください。当日に注意を受けて中断するのが、一番もったいないパターンです。 催事場での売り場の作り方と、施設に先に確認することは催事の集客方法の記事にまとめています。
声以外の工夫で、呼び込みはずっと楽になります
声だけで止めようとせず、「見て分かる・匂いで分かる・音で分かる」要素を組み合わせるのがおすすめです。声より先にそちらが仕事をしてくれると、呼び込みの言葉は「どうぞ」で足りるようになります。
よく効くのは実演です。焼く・切る・作るところをお客さまから見える向きでやるだけで、湯気と匂いと手の動きが人を集めてくれます。実演をやっている売場とやっていない売場では、店頭の人だかりが目に見えて違うんです!
ボードやのぼりも、第一声とセットで考えてください。書くのは第一声と同じ内容、つまり商品名・催し名と価格です。声の届かない距離を歩いている方には、文字が呼び込みの代わりになります。
試食やミニ体験を置ける催しなら、それが一番の呼び込みになってくれることが多いです。店頭でできる企画の例は集客イベントのアイデアにまとめているので、あわせて読んでみてください。
展示会のブースでも考え方は同じですが、通路の使い方や声かけの範囲が会場ごとの規程で決まっています。ブースに人を集める工夫は展示会ブースの集客の工夫に分けて書きました。
呼び込みは最後のひと押し。人の流れは事前の告知でつくる
どんなに呼び込みが上手でも、会場の前を人が通らなければ止めようがありません。前を通る人の数そのものは、当日の声ではなく、事前の告知で大きく変わります。
呼び込みの練習と同じくらいの熱量を、開催前の告知に回してください。チラシ・SNS・施設の館内告知など、イベントの集客方法と告知の進め方に開催前からの段取りをまとめています。告知の手段ごとの締切と、掲示・配布に要る許可はイベントの告知方法10選に書いています。
よくある質問
Q. 呼び込みに許可は必要ですか?
自分のお店の敷地内で行う分には、施設や物件のルールの範囲で判断できます。お店の前の公道に出て声をかける場合や、歩道にのぼり・看板を置く場合は、道路の使い方によって警察署長の道路使用許可が必要になることがあります(参考: 警察庁「道路使用許可の概要、申請手続等」・確認日2026-09-10)。迷ったら、施設の管理者や最寄りの警察署に確認してから行ってください。
Q. 呼び込みが得意なスタッフがいません。どうすればいいですか?
第一声を先に決めて紙に書いておくだけでも、かなり変わります。その場で言葉を考えなくて済むからです。人手や経験が足りないときは、販売やイベントの現場に慣れた外部スタッフに頼む方法もあります。仕組みと料金の考え方はイベントスタッフ派遣の頼み方に、展示会の場合は展示会のスタッフ手配にまとめました。
Q. 何人で回すのがいいですか?
1人でも成立しますが、できれば「声をかける人」と「止まった方に対応する人」の2人に分けるのがおすすめです。1人で兼ねると、対応している間に呼び込みが止まり、人の流れが途切れやすいです。
Q. 声を出すのが恥ずかしくて、うまくできません。
大きな声を出す必要はありません。目の前を通る1人に話しかけるつもりで、決めておいた第一声を言うだけで大丈夫です。人の少ない時間帯に何回か言ってみると、声の出し方が落ち着いてきます。
呼び込みの準備は、第一声を決めることと、立つ場所を決めることの2つです。どちらも今日決められるので、次の催事からすぐ試せます。声に足を止めてもらえるようになると、店頭に立つのがだんだん楽しくなってきますよ!
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