展示会ブースの準備は、「出展の目的 → 見せる中身 → デザインと施工 → 当日の運営」の順で決めていきます。
デザインはいちばん楽しい工程ですが、最初に手を付ける場所ではありません。そして施工会社への相談は、会期の3ヶ月前までに。
初めて出展を任された方に向けて、準備の流れとデザインの決め方、申請まわりで見落としやすいポイントを、ブースの制作・施工を手がける立場から整理します。
展示会ブースづくりは何から始める?
「何のために出展するのか」です。目的によって、ブースに必要なものが変わります。
- 見込み客の名刺集め:通路側に開いた間口、配布物、立ち寄りやすいカウンター
- 新製品の披露:製品が主役になる展示台、照明、デモや体験のスペース
- 商談:落ち着いて話せる商談席。内容によっては目隠しのある半個室
どれも正解です。ただ、全部を1つのブースに詰め込むと、ラーメンの全部乗せと同じで何の味か分からなくなります。小間が小さいほど、目的は1つに絞った方が伝わる。目的が一言で言えるようになってから、スケジュールに進んでください。
出展準備のスケジュール — いつ、何をする?
ブースの準備が本格的に動くのは、会期の3ヶ月ほど前からが一般的です。ただし施工会社選びとデザインの依頼だけは、早く動くほど選択肢が広がります。
会期3ヶ月前まで:目的・予算・依頼先を決める
出展の申込みが済んだら、目的と予算の枠、そしてブースづくりを頼む会社を決めます。
依頼するときに渡してほしいものが2つあります。主催者から届く出展規程(小間のサイズ・高さ制限・装飾のルールが書かれた資料)と、小間位置がわかる会場図面。規程と図面を見せてください。話はそれからで大丈夫です。この2つがないと、施工会社は正確な提案がしづらくなります。
3ヶ月前〜2ヶ月前:デザインを固め、展示物を準備する
デザイン案のやり取りを経て、レイアウトと造作を確定します。並行して、展示物・デモ機材・カタログやノベルティといった配布物の手配を。
ブース本体よりも、こうした「中に置くもの」の納期が間に合わないケースが意外と多いのです。
2ヶ月前〜1ヶ月前:主催者への申請を出し切る
展示会では、装飾の内容・電気工事・火気や重量物の持込みなどを主催者へ申請する必要があり、締切は会期の1ヶ月前前後に集中しがちです。
申請書の多くは施工会社が代行できます。ただし、ブースの内容が固まっていないと出せません。替え玉は麺がなくなってから頼むと遅い。申請も同じで、デザイン確定のデッドラインは締切から逆算して決まります。
直前〜会期・撤去
搬入・設営は前日(規模の大きな展示会では前々日から)が一般的です。設営が終わったら、照明の当たり方や配布物の置き場所を自分の目で確認しておきましょう。
会期が終わればすぐ撤去。数時間の短時間勝負なので、廃棄するもの・持ち帰るものの仕分けを事前に決めておくと慌てません。
ここまでの流れは、そのまま使えるチェックリストにまとめました。
展示会ブースのデザインの決め方
判断の軸は1つです。「通路を歩く来場者に、3秒で『何のブースか』が伝わるか」。
来場者は、目当てのブース以外は歩きながら流し見しています。立ち止まってもらうための情報を、来場者との距離ごとに設計します。
| 来場者との距離 | 伝えること | ブース側の手段 |
|---|---|---|
| 遠く(通路の先) | 何ができる会社・製品か | 壁面上部の大きなキャッチコピー |
| 近く(ブースの前) | 立ち寄ると何が見られるか | デモ・実物展示・映像 |
| ブースの中 | 詳しい説明と次の約束 | 説明パネル・商談席・配布物 |
壁面のキャッチコピーは、社名ではなく「誰の・何を解決するか」で書くのが基本です。社名をまだ知らない来場者にとって、社名は立ち止まる理由にならないでしょう。
あわせて効くのが間口の使い方です。カウンターや壁で間口を塞ぐと、来場者は心理的に入りにくくなります。角小間(通路が2面以上に接する区画)なら開いた面を最大限に活かし、中小間なら通路に向けて展示の正面を置く。小間の位置でレイアウトは変わります。
映像の存在感も年々増しています。壁面にモニターやLEDビジョンを組み込み、動きのある画面で目を引くブースは多くなりました。静止したパネルより遠くから認識されやすいのが強みです。
なお、レイアウトが固まったあとの「見せ方」——壁面グラフィック・照明・床材といった装飾の具体的な手法は、展示会ブースの装飾アイデアで別途まとめています。

施工の現場から見た、見落とされやすい3つのポイント
直前に発覚すると打つ手が限られるものを3つ挙げます。どれも地味です。でも、地味な確認の積み重ねが本番を決めます。
1つ目は、防炎です。 展示会場を含む消防法の規制対象施設では、装飾に使う幕・カーテン・じゅうたん・展示用の合板に、防炎性能のあるもの(防炎物品)の使用が義務付けられています(出典:公益財団法人日本防炎協会「防炎製品・防炎物品とは」・2026年8月21日確認)。
防炎物品には防炎ラベルが付いており、会場の検査で確認されることがあります。自社で用意したタペストリーが防炎品ではなく、当日掲示できなかった。そんな事態は実際に起こり得ます。装飾に布や木を使う予定があるなら、早めに施工会社へ共有してください。
2つ目は、電気です。 ブースのコンセントは会場に元からあるわけではなく、小間ごとに申請して工事してもらうものです。使う機材の消費電力を洗い出し、必要な容量と口数・位置を図面の段階で確定させます。締切後の変更や当日の増設は難しい、と考えておいた方が安全でしょう。
3つ目は、搬入出です。 大きな展示会場では、搬入車両の事前登録や時間帯の指定があります。特に撤去は、会期終了後の数時間に全出展社が集中する時間との戦いです。「誰が・何を・どの車で持ち帰るか」まで決めてあるかどうかで、最終日の疲労がまるで違います。

費用はどう考えればいい?
展示会の出展費用は、主催者に払う「出展料(小間料)」と、ブースをつくる「施工・装飾費」の2階建てです。この記事で扱ってきたのは後者になります。
施工・装飾費は、小間数と造作の量(壁・床・照明・什器・グラフィック)、そして会場までの輸送距離で変わります。相場の数字を探し回るより、小間位置の図面と「やりたいこと」を渡して見積りを取ってしまう方が早く、確実です。
展示会ブース設営のサービス内容に依頼の流れをまとめています。見積りは無料で、デザインが固まる前のラフな段階からのご相談も歓迎です。これまでのブース設営の実例は制作実績でご覧いただけます。
よくある質問
Q. 1小間だけの小さな出展でも依頼できますか?
できます。多くの展示会で、1小間は3m×3m前後です。小さいからこそ目的を1つに絞った設計が効くので、規模の大小で対応が変わることはありません。
Q. 会期まで2ヶ月を切っています。間に合いますか?
造作の内容によっては可能です。主催者への申請締切が最優先になるため、まず出展規程と小間図面を持ってご相談ください。既製の什器やシステム部材を組み合わせるなど、短い準備期間でも成立させる組み方があります。
Q. 施工だけ、装飾だけの依頼もできますか?
設計から施工まで一括のご依頼はもちろん、施工のみ・装飾のみといった一部だけのご依頼もご相談いただけます。
Q. 東京や大阪など、福岡以外の展示会でも対応できますか?
対応しています。拠点は福岡・博多ですが、現場は全国です。
展示会ブースの成否は、デザインの見た目だけで決まるわけではありません。目的を絞り、締切から逆算し、当日の運営まで設計する。この段取りこそがブースづくりの本体です。チェックリストを手元に、まず「何のために出展するのか」の一文から始めてみてください。
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