看板の製作・設置費用は、看板の大きさや素材に加えて、どこにどう付けるかで大きく動きます。同じ大きさの看板でも、1階の入口の上に昼間付けるのか、2階の外壁に夜間に高所作業車で付けるのかで、工事の段取りがまるで変わるからです。
見積書には、デザイン、製作、運搬、取付工事、足場・高所作業車、電気工事、許可申請、既存看板の撤去と処分、保証と、9つほどの項目が並びます。会社によって「一式」にまとめたり「別途」にしたりするので、合計額だけを見比べると、どこが高いのか安いのかが分かりにくくなります。
一方で、屋外広告物の許可の手数料や道路の占用料は、自治体が金額を公表しています。たとえば福岡市なら、照明のない広告板で表示面積2平方メートル以上5平方メートル未満の許可の手数料は800円です(出典は本文の表に記載)。
この記事では、見積りの9つの項目がそれぞれ何で動くか、看板の種類ごとに金額が動く所、自治体に払う費用、見積りの比べ方、削ってよい所と残す所をまとめました。看板のデザイン・製作・施工をしている会社の目線で書いています。
看板の費用は「作る」「付ける」「手続き」の3つに分かれる
看板の費用は、看板本体を作る費用、現場で付ける費用、許可などの手続きの費用の3つに分けると整理しやすいです。このうち「付ける」と「手続き」は場所によって大きく変わるので、相場を一言で言いにくいんですよね。

作る費用は、看板の大きさ・素材・照明の有無で決まります。工場の中の作業なので、仕様を決めれば金額が固まりやすい部分です。
付ける費用は、取り付ける壁や地面の状態、高さ、作業できる時間帯で決まります。同じ看板でも、現場の条件しだいで人数も機材も違ってきます。
手続きの費用は、屋外広告物の許可、道路の上に出す場合の道路占用、高さ4mを超える場合の工作物の確認申請などです。どれが要るかは、看板の場所と大きさで決まります。
看板の種類そのものの違いや、相談から取り付けまでの流れは看板の種類と選び方の記事にまとめています。この記事は費用の話に絞って書きます。
見積りに並ぶ9つの項目と、それぞれ金額が動く理由
看板の見積りに並ぶ項目は、おおむね次の9つです。項目ごとに「何で金額が動くか」を知っておくと、見積書のどこを質問すればよいかが分かります。
デザイン
デザインの費用は、元になるデータがあるかどうかで変わります。ロゴのデータ(aiやpdfの形式)が手元にあれば、看板の大きさに合わせて配置するところから始められます。
名刺や今の看板の写真しかない場合は、ロゴを描き起こすところから入るので、その分の作業が加わります。案をいくつ出してもらうか、修正を何回までにするかも、見積りの段階で確かめておくと安心です。
製作(看板本体)
製作費は、表示面の大きさ、素材、照明の部品、看板を支える枠や支柱で決まります。両面に表示する袖看板なら、片面の看板の倍の表示面を作ることになるでしょう。

表示面は、アルミの複合板にシートを貼るもの、アクリルの板、ステンレスの切り文字など、素材で値段も見え方も変わります。シートの貼り方と費用の動き方はカッティングシートの施工の記事でも触れています。
内側から光らせる看板は、LEDの部品と電源装置が加わります。光らせ方を変えるだけで製作費がかなり変わるので、夜も営業するかどうかは早めに伝えておくと話が早いです。
運搬
運搬費を決めるのは、看板の大きさと現場までの距離です。大きな看板やポール看板の支柱は、トラックやクレーン付きの車両で運ぶことになります。
小さな看板は取付工事に含めて書かれることも多いので、行が見当たらないときは「運搬は含まれていますか」と聞いてみてください。
取付工事
取付工事の費用のもとになるのは、作業する人数と時間、使う金具、壁や地面の状態です。タイルやALC(軽量気泡コンクリートの板)の外壁は、しっかり固定できる位置が限られるので、金具や下地の補強が加わることがあります。
ポール看板のように地面に立てる看板には、支柱を固定するコンクリートの基礎工事も入ってきます。お店の営業時間を避けて夜間や早朝に作業する場合も、そのぶん費用が上がりやすいです。
足場・高所作業車
はしごで届かない高さに付けるときは、足場を組むか高所作業車を使います。2階より上の外壁や、高い位置の袖看板では、この行が加わることが多いです。

道路にはみ出して作業する場合は、警察署の道路使用の許可も要ります。道路交通法では、道路で工事や作業をしようとする人は、その場所を管轄する警察署長の許可を受けなければならないとされています(出典:e-Gov法令検索「道路交通法」第77条・2026年10月16日確認)。歩行者や車を誘導する警備員の費用が、この行にまとめて書かれることもあります。
電気工事
光る看板には、電源から看板まで配線する電気工事が要ります。近くに電源があるか、既存の配線を使えるかで、工事の量はかなり違うものです。
電気の配線は、資格のある人がやる工事と法律で決まっています。電気工事士法では、一般用電気工作物等の工事は第一種か第二種の電気工事士でなければ、原則として作業に従事してはならないと定められています(出典:e-Gov法令検索「電気工事士法」第3条・2026年10月16日確認)。看板の会社が自社でやるのか、電気工事の会社に頼むのかで、見積りの書き方も変わります。
許可申請の代行と手数料
この行には、自治体に払う手数料と、書類を作って申請する手間賃の2つが入ります。手数料は自治体が決めて公表している金額で、手間賃は看板の会社が決める金額です。
手数料は、後で紹介する福岡市や東京都の例では数百円から数千円で、看板全体の費用から見ると小さな金額でしょう。それよりも、許可が出るまでは看板を出せないので、取り付けの日程に関わる点に気をつけてください。
既存看板の撤去と処分
作り替えのときは、今ある看板を外して処分する費用が加わります。外したあとの壁に残るビスの穴や日焼けの跡を補修するかどうかでも、金額は違ってきます。

古い看板の裏側の下地や配線は、外してみないと状態が分からないこともあります。見積りに「撤去後の状況により別途」と書かれていたら、どんな場合に追加になるのかを先に聞いておくと、あとで慌てずに済みます。
保証・点検
保証は、期間と範囲(電気の部品か、取り付けか)を確かめておきたい項目です。屋外の看板は風雨で少しずつ傷むので、付けたあとに誰が点検するかも費用に関わります。
福岡市では、許可の申請や更新のときに、設置から5年以上たった看板は安全点検の確認書を出すことになっています(出典:福岡市「屋外広告物の手びき」・2026年10月16日確認)。点検の中身と頼む範囲は看板の点検の記事にまとめています。
看板の種類で金額が動く所|壁面看板・袖看板・ポール看板
看板の種類によって、9つの項目のうち金額が大きく動く行が違います。壁面看板は付ける高さと壁、袖看板は道路との関係、ポール看板は基礎と高さが分かれ目になりやすいです。
壁面看板
壁面看板の費用を分けるのは、表示面の大きさに加えて、付ける高さと壁の材質です。1階の入口の上ならはしごで作業できることが多いですが、2階より上になると高所作業車の行が加わります。

壁に板を付ける代わりに、文字だけを立体で付ける方法もあるんです。文字の数と大きさで金額が決まるので、店名が短いお店では選択肢に入ります。違いはチャンネル文字(箱文字)の記事に書いていて、AGSの文字サインの金額の目安はチャンネル文字の製作・取り付けのページとカルプ文字・切り文字のページに載せています。
袖看板
袖看板は建物から道路側に突き出すので、表示面が両面になることが多く、取付の金具にも落ちないための強度が求められます。突き出す先が道路の上なら、道路占用の許可と、毎年の占用料が加わります。

福岡市の市道の場合、看板の占用料は表示面積1平方メートルにつき1年17,000円です(出典は次の章の表に記載)。製作費と違って毎年かかる費用なので、見積りとは別に、年間の費用として見込んでおいてください。
ポール看板
ポール看板は、地面に支柱を立てるので、基礎のコンクリート工事と、支柱を運んで立てるクレーンの費用が入ります。郊外の店の駐車場や、道路沿いの敷地に立てることが多い看板です。

高さが4mを超える広告塔・広告板は、建築基準法の工作物の確認申請が要ります。福岡市では、先に工作物の確認申請をして、受け付けられてから屋外広告物の許可申請をする流れになっていて、工事が終わったあとの完了検査もあります(出典:福岡市「屋外広告物許可申請の手続き(工作物確認申請が必要な場合)」・2026年10月16日確認)。図面づくりと手続きの日数が加わるので、4mを少し超える計画なら、4m以下に収めた場合と比べてみる価値があります。
自治体に払う費用|許可の手数料と道路占用料は公表されている
看板の費用のうち、自治体に払う許可の手数料と道路の占用料は、金額が公表されています。製作費や工事費と違って、事前に自分で計算できる部分なんですよね。
福岡市の屋外広告物の許可の手数料を、表示面積の区分ごとに並べると次のようになります。
| 広告板・広告塔・突出広告物などの表示面積 | 手数料(1個につき) |
|---|---|
| 1平方メートル未満 | 200円 |
| 1以上2平方メートル未満 | 400円 |
| 2以上5平方メートル未満 | 800円 |
| 5以上10平方メートル未満 | 1,600円 |
| 10以上20平方メートル未満 | 3,200円 |
| 20以上30平方メートル未満 | 5,000円 |
| 30以上50平方メートル未満 | 8,000円 |
| 50平方メートル以上 | 8,000円に、1平方メートル増すごとに200円を足した額 |
(出典:福岡市「屋外広告物の手びき」の許可申請の手数料の表・2026年10月16日確認)
同じ表には、照明を伴うものは上の額の2倍、許可期間は1年以内、変更や更新の申請にも手数料がかかる、非営利の広告物は手数料が要らない、とあります。たとえば照明付きで表示面積3平方メートルの看板なら、800円の2倍で1,600円を、許可を更新するたびに納める計算です。
自治体が違えば、手数料も許可の期間も同じではありません。東京都多摩建築指導事務所の案内では、広告板・広告塔の手数料は面積5平方メートルまでごとに3,220円、許可期間は2年以内です(出典:東京都多摩建築指導事務所「屋外広告物」・2026年10月16日確認)。
袖看板が道路の上に出る場合は、道路の占用料もかかります。福岡市の市道では、看板(アーチを除く)の占用料は表示面積1平方メートルにつき1年17,000円、一時的に設けるものは1か月1,700円です(出典:福岡市道路占用料徴収条例 別表・2026年10月16日確認)。国道や県道の上に出す場合は、道路を管理するところが違うので、占用料もそれぞれの決まりで確かめることになります。
許可が要るかどうか、どの手続きが要るかは、看板の場所と大きさしだいです。屋外広告物の規制は、都道府県・指定都市・中核市などが条例で定める仕組みです(出典:国土交通省「屋外広告物制度の概要」・2026年10月16日確認)。看板を付ける場所の市区町村の担当課か、看板の会社に確かめてください。
見積りの比べ方|条件をそろえて、同じ行どうしで比べる
見積りを2〜3社から取るなら、依頼の前に同じ条件を伝え、届いた見積りを同じ項目の行に並べて比べると、取り違えが起きにくくなります。会社ごとに書き方が違うので、合計額だけを比べると、ある会社では含まれている費用が別の会社では「別途」になっていて、安く見えただけということが起きます。

依頼の前に決めておきたいのは、看板の種類、表示面の大きさ、付ける位置と高さ、設置面の材質、照明の有無、今ある看板を外すかどうかの6つです。決まっていないものは「相談したい」と書いて渡せば大丈夫ですよ。
見積りが届いたら、次の3つを確かめます。
- 「一式」とだけ書かれた項目の内訳。内訳が無いと、何が含まれているか比べられません
- 「別途」「実費」と書かれた項目。あとから払う費用なので、見込み額を足してから比べます
- 毎年(許可の期間ごとに)かかる費用。許可の更新の手数料や道路の占用料は、製作費とは別に続きます
金額以外では、現地を見てから出した見積りか、写真だけの概算かも大事な違いです。写真だけの概算は、現地で壁や電源の状態が分かったあとに変わることがあります。
屋外広告業の登録も確かめておきたい項目です。福岡市の手びきでは、屋外広告物の施工業者は福岡市の屋外広告業の登録業者であることとされています(前掲「屋外広告物の手びき」)。
見積りを横に並べて書き写せるシートを用意しました。依頼前に伝える条件の欄と、9つの項目の行、毎年かかる費用の行、金額以外の条件の欄が入っています。
費用を抑えるときに、削ってよい所と残す所
費用を抑えるなら、表示面の素材や光らせ方、デザインの進め方で調整し、取り付けの安全と見える位置の検討には予算を残すのがおすすめです。看板の役目はお店に来ていただくきっかけを作ることなので、見えない看板や落ちる心配のある看板では、安く作っても意味がなくなります。

調整しやすいのは、次のようなところです。
- 表示面の素材を、シートを貼る作りにする
- 夜に営業しないなら、光らせない看板や、外から照らすだけの作りにする
- ロゴのデータを用意して、デザインを描き起こす作業を減らす
- 作り替えのときは、撤去と新しい看板の取り付けを同じ日にまとめる
反対に、残しておきたいのは次の3つです。
- 取付の金具と下地の補強。屋外の看板は落ちると大きな事故につながるので、ここは削らない
- 現地調査。歩いてくる方や車からどう見えるかは、写真だけでは分かりにくい
- 夜も営業するお店の照明。暗くなってからも店があることを伝えられる
表示面は素材や光らせ方の工夫で抑えられますが、裏の金具と下地は安全にそのまま関わる部分です。見積りを比べるときも、この行は金額の安さだけで選ばないでください。
AGSは看板のデザイン・製作・施工を、デザインから製作、取り付け、許可の申請までまとめてお手伝いしています(福岡市屋外広告業登録 第2231449号)。店舗の外看板や自立看板の施工も手がけていて、看板の新設や作り替え、閉店や移転にともなう撤去もご相談ください。現地調査とお見積りは無料です。
よくある質問
Q. 看板の製作・設置費用の相場はいくらですか?
看板の種類・大きさ・付ける場所で幅が大きく、共通のものさしが無いのが実情です。同じ大きさでも、高所作業車や夜間作業が要るかどうかで工事費が変わります。付ける場所の写真とおおよその寸法を伝えて概算をもらい、現地調査で金額を固めるのが近道です。
Q. 看板の許可の手数料は毎年かかりますか?
表示を続けるなら、許可の期間ごとに更新の申請と手数料が必要です。福岡市は広告板などの許可期間が1年以内で、更新の申請にも手数料がかかります。東京都多摩建築指導事務所の案内では、広告板の許可期間は2年以内です。
Q. 見積りは何社から取ればよいですか?
2〜3社に、同じ条件を伝えて取るのが比べやすいです。条件がそろっていないと、金額の差が会社の違いなのか条件の違いなのか分かりません。届いたら、9つの項目の行に書き写して、含まれている範囲から比べてください。
Q. 古い看板の撤去だけを頼むこともできますか?
閉店や移転にともなう看板の撤去も、AGSではご相談をお受けしています。看板の大きさと高さ、外したあとの壁をどこまで直すかで費用が変わるので、まずは看板の写真を添えてご相談ください。
看板の費用は、作る費用・付ける費用・手続きの費用に分けて見ると、見積りのどこで差が付いているかが分かります。依頼の前に条件をそろえて、9つの項目の行どうしで比べるところから始めてみてください。
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