看板広告の費用は、看板会社が持っている広告枠を借りるのか、土地を借りて自社の看板を建てるのかで、払うお金の種類と払う時期が変わります。広告枠を借りるなら毎月か毎年の広告料が中心で、自社で建てるなら、最初に製作と基礎工事のまとまったお金がかかり、そのあと毎年の地代と許可の更新が続きます。
同じ「野立て看板」という言葉でも、この2つは中身がかなり違うんです。誰が看板を持ち、誰が許可を取り、やめるときに誰が片付けるかが変わるので、見積りの金額だけを並べても比べにくくなっています。
たとえば福岡市では、広告板の許可期間は1年以内で、照明を付けると手数料が2倍になります。自社で建てる場合は、この更新を毎年自分で続けることになりますが、広告枠を借りる場合は、看板の持ち主が許可を受ける形が基本です。
この記事では、2つの出し方の違いと、それぞれの費用の内訳、置く場所の決め方、許可と契約で先に決めておくことを、自治体と国の公表資料をもとにまとめました。看板のデザイン・製作・施工をしている会社の目線で書いています。
野立て看板の出し方は、広告枠を借りるか、土地を借りて建てるかの2つ
野立て看板(店や会社の敷地から離れた道路沿いの土地に立てる看板)を出す方法は、大きく分けて2つあります。看板会社が立てている看板の表示面を借りるか、土地の持ち主から土地を借りて自社の看板を建てるかです。

| 比べること | 広告枠を借りる | 土地を借りて自社の看板を建てる |
|---|---|---|
| 看板を持っているのは | 看板会社など、枠の持ち主 | 自社 |
| 屋外広告物の許可を受けるのは | 基本は看板の持ち主(表示が変わるときも持ち主が変更の許可を申請) | 自社(書類の準備や提出は看板の会社に頼めることもある) |
| 主に払うお金 | 広告料。表示面の製作や貼り替えが別になることもある | 製作・基礎工事・設置の費用、毎年の地代と許可の更新 |
| 出しておける期間 | 枠の契約期間ごと | 土地の契約期間と、許可の更新を続ける限り |
| 場所と大きさ | 空いている枠の中から選ぶ | 土地が借りられれば、条例の範囲で選べる |
| やめるとき | 契約を終えて表示面を外す | 看板と基礎を撤去し、土地を元に戻す |
広告枠を借りる場合の許可について、福岡市の屋外広告物のQ&Aは、広告業者が広告板を設置・所有して広告主を募る貸看板では、基本的に広告板の所有者が許可を受け、表示の内容が決まったときや変わるときに、所有者が変更の許可を申請するとしています(出典:福岡市「福岡市屋外広告物Q&A」 問3-16・2026年10月30日確認)。
どちらが向いているかは、出しておきたい期間と、場所へのこだわりで分かれやすいです。まず数か月出して反応を見たいなら広告枠、店までの道順の決まった場所に何年も出したいなら自社で建てる、という考え方で比べてみてください。
看板広告の費用は、最初に払うお金・毎年のお金・やめるときのお金に分けて比べる
野立て看板の費用は、最初に払うお金、出している間に毎年かかるお金、やめるときにかかるお金の3つに分けると比べやすくなります。広告枠と自社の看板では、この3つの重さの配分が逆になりやすいのが特徴です。
| 払う時期 | 広告枠を借りる | 土地を借りて自社の看板を建てる |
|---|---|---|
| 最初 | 表示面のデザインと製作・取り付け(料金に含まれるかを確かめる) | デザイン、看板の製作、柱と基礎の工事、設置、許可の申請手数料、高さが4mを超えるなら工作物の確認申請 |
| 毎年・毎月 | 広告料 | 地代、許可の更新手数料、照明の電気代、点検と補修、草刈りなどの管理、保険 |
| やめるとき | 表示面を外す費用(料金に含まれるかを確かめる) | 看板と基礎の撤去、穴の埋め戻しなど土地を元に戻す費用 |
広告枠を借りるときは、料金に何が入っているかで比べる
広告枠の料金は、主に場所と表示面の大きさ、照明の有無、契約期間で変わります。料金表を見るときは、金額と一緒に、表示面の製作と取り付け、途中で表示を替えるときの貼り替え、契約が終わったときの取り外しが料金に入っているのかを確かめておくと、あとで別の請求が来て驚かずに済みます。
最低の契約期間が決まっている枠もあるので、途中でやめたくなったときの扱いも、申し込みの前に聞いておきましょう。
自社で建てるときは、基礎と高さと照明で金額が動く
自社で建てる看板の費用を大きく動かすのは、看板の大きさと高さ、柱を支える基礎、照明の3つです。

道路沿いの看板は風を正面から受けるので、柱と基礎は看板の大きさに合わせてしっかり作ることになります。地面の固さや、土地に重機が入れるかでも工事の手間が変わるので、見積りは現地を見てから出してもらうと確実です。
高さが4mを超える広告塔・広告板は、建築基準法の工作物として確認申請が要り、図面と手続きの日数が加わります。福岡市のQ&Aでは、高さが4mを超える広告物の管理者には所定の資格が要るともされています(出典は前の章と同じ福岡市のQ&A 問3-19・問7-4)。工作物の確認申請の流れと見積りの項目ごとの見方は、看板の製作・設置費用の記事にまとめています。
照明を付けると、夜も見てもらえる代わりに、電気を引く工事と毎月の電気代がかかり、許可の手数料も上がります。福岡市の許可の手数料は表示面積ごとに決まっていて、照明を伴うものはその2倍、許可期間は1年以内です(出典は前の章と同じ福岡市のQ&A 問4-3・問5-1)。面積の区分ごとの手数料の額は、上で挙げた看板の製作・設置費用の記事に表で載せていますが、看板全体の費用から見れば大きな額ではありません。金額より「毎年更新が続く」ことのほうを覚えておくと、手続きの漏れを防げます。
地代は土地の持ち主との話し合いで決まる
土地を借りるときの地代は、国や自治体が公表している相場が見当たらず、土地の持ち主との話し合いで決まります。交通量の多い道沿いや、交差点の手前など見てもらいやすい土地ほど、希望する人が多くなりやすいと考えておくと、話し合いの準備がしやすいでしょう。
地代に加えて、看板のまわりの草刈りや、看板に電気を引くための電柱や配線の位置も、持ち主と話しておく必要があります。看板が建ったあとで「ここに配線を通すとは聞いていない」とならないよう、図面を見せながら話すと安心です。
野立て看板を置く場所は、店までの道順と、車から読める文字の量で選ぶ
野立て看板の場所は、交通量の多さだけでなく、その看板を見た人が迷わず店にたどり着けるかで選びます。看板を見てから曲がる交差点までに、ハンドルを切る準備ができる距離があるかがポイントです。

中小企業基盤整備機構の創業の手引きは、看板の設置場所で重要なのは「お店からの距離」と「通行量」だとして、通る方が進む方向や目を向けやすい方向もよく観察するよう勧めています(出典:J-Net21「看板の設置方法」・2026年10月30日確認)。
候補の場所を見に行くときは、次のことを確かめておくと、あとで「思ったより見えない」となりにくくなります。
- 上りと下りのどちらの車に見せたいか。反対車線からは見えにくい向きの土地もある
- 何m手前から看板が目に入るか。木や電柱、ほかの看板、建物の陰になっていないか
- 看板の先で曲がる交差点や店の入口までの距離。看板を過ぎてすぐ曲がる場所だと、車線を変える余裕が無い
- その道の車の速さ。速い道ほど、看板を見ていられる時間が短くなる
- 夜に通る方にも見せたいか。周りが暗い道なら、照明が要るかもしれない
できれば、候補地の前を実際に車で走ってみて、助手席の人に「どこで看板に気づいたか」を言ってもらうと、見え方がよく分かります。
載せる文字は、店名・何の店か・方向と距離に絞る
車から見る看板は、読んでもらえる文字の量が限られています。京都市の屋外広告物のガイドラインは、移動中の人が看板に気づいて視線を向ける時間は0.3秒ほどで、そこから通り過ぎるまでに無理なく読み取れる文字は、運転中の方で7文字程度と紹介しています(出典:京都市「京の景観ガイドライン 広告物編」・2026年10月30日確認)。
文字の大きさは、道路の速さと見せたい距離から考えます。参考になるのが道路の案内標識で、国の標識の決まりでは、案内標識の文字の大きさを、道路の設計速度が時速70km以上なら30cm、40〜60kmなら20cm、30km以下なら10cmを基準とし、必要なら1.5倍から3倍に大きくできるとしています(出典:e-Gov法令検索「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」別表第二 備考一(五)・2026年10月30日確認)。速い道ほど大きな文字が要る、という考え方は看板にもそのまま当てはまります。
なので、野立て看板に載せるのは、店名、何の店か、方向と距離(「この先300m左」など)くらいに絞るのがおすすめです。電話番号や営業時間まで入れると、どれも小さくなって、結局どれも読まれにくくなります。ラーメンでいうと、トッピングを全部乗せると何の味か分からなくなるのと同じです。クリニックの野立て看板に載せる項目はクリニックの看板の記事、歩く方と車の方で看板の役目を分ける考え方は飲食店の看板の記事にも書きました。
野立て看板の許可は、自分の店に付ける看板とは扱いが違う
野立て看板は、自分の店や事業所に付ける看板と違って、小さくても屋外広告物の許可の対象になると考えておくのが安全です。立てられない地域もあるので、土地を決める前に、その場所の自治体の決まりを確かめます。

福岡市のQ&Aでは、許可が要らない場合がある「自家用広告物」を、自分の住所や店舗・事業所などに、自分の名前や店名、事業の内容などを表す広告物としています(問3-2)。店から離れた土地に立てる野立て看板は、この自家用広告物には当たりません。
立てられない地域も決まっています。福岡市では、風致地区とその周辺、九州縦貫自動車道と両側500mの範囲(道路から見えないものを除く)、古墳と墓地を、広告物を表示できない地域としています(問8-1)。どこが禁止の地域かは自治体ごとに違うので、土地の持ち主と話を進める前に確かめておくと、無駄な交渉をせずに済みます。
許可を受けたあとも、手続きは続きます。福岡市のQ&Aには、次のような決まりが書かれています(出典はいずれも前の章と同じ福岡市のQ&A・2026年10月30日確認)。
- ほかの人の土地に広告物を出すときは、許可の申請の前に、土地の持ち主や管理者の承諾を得る(問3-19)
- 広告板の許可期間は1年以内で、続けて出すなら更新の許可を受ける(問5-1)
- 設置から5年がたった広告板は、更新の申請のときに安全点検の確認書を付ける(問3-14)
- 広告物を管理する人には、壊れたり倒れたりするおそれが無いようにし、信号機や道路標識の効き目を妨げない状態を保つ義務がある(問7-1)
許可の要る・要らないの判定と、申請の窓口と日数は看板設置の許可の記事、点検の時期と頼む範囲は看板の点検の記事で詳しく書いています。
土地を借りて建てるなら、期間・やめ方・事故のときの責任を契約書で決めておく
自社の野立て看板のために土地を借りるときは、契約の期間と更新、やめるときの片付け方、看板で事故が起きたときの責任の3つを、契約書で先に決めておくと揉めにくくなります。

看板のための土地の貸し借りは、建物を建てるための借地とは扱いが違います。借地借家法の「借地権」は、建物の所有を目的とする地上権や土地の賃借権と定められているので(第2条)、看板のための土地の賃貸借は、民法の賃貸借の決まりで考えることになります。民法では、賃貸借の期間は50年を超えられず(第604条)、借りた人は、契約が終わったら、借りたあとに生じた損傷(普通に使っていて生じる傷みや経年の変化を除く)を元に戻す義務を負うとしています(第621条。出典:e-Gov法令検索「借地借家法」、e-Gov法令検索「民法」・いずれも2026年10月30日確認)。
建物の借地のような決まりで守られるわけではないので、更新や途中解約の条件は、契約書に書いてあることが判断のよりどころになります。契約書で決めておきたいことは、次のとおりです。
| 決めておくこと | 確かめる中身 |
|---|---|
| 期間と更新 | 何年契約か。自動で更新するか、更新のときに地代を見直すか |
| 途中でやめるとき | どちらから、何か月前に伝えればやめられるか |
| 地代 | 金額、払い方、見直しの時期。照明の電気を誰の契約で引くか |
| 許可の手続き | 屋外広告物の許可の申請に使う、土地の持ち主の承諾書を書いてもらえるか |
| 管理 | 看板のまわりの草刈り、木の枝の手入れ、点検のときの立ち入り |
| 事故のとき | 看板が倒れた・部品が落ちたときの責任をどちらが負うか。保険に入るか |
| やめるときの片付け | 看板だけでなく、地面の下の基礎まで撤去するか。穴の埋め戻しまで含めるか |
| 土地の持ち主が変わったとき | 土地が売られたり相続されたりしたとき、契約を引き継いでもらえるか |
この中で、あとから揉めやすいのが最後の片付けです。キャンプの撤収と同じで、片付け方は始める前に決めておくほうが楽なんですよね。基礎を全部掘り出すのか、地面の高さで切るのかで費用がかなり変わるので、撤去の費用が何で決まるかは看板の撤去費用の記事で先に見ておくと、契約の話がしやすくなります。
地代の消費税の扱いも、契約の前に確かめておきたいことの1つです。国税庁のタックスアンサーでは、土地の貸付けは原則として消費税が非課税で、貸付期間が1か月に満たない場合などは課税されるとしています(出典:国税庁「No.6213 土地の譲渡及び貸付け」・2026年10月30日確認)。看板の契約の中身によって扱いが変わることもあるので、迷ったら税理士か税務署に確かめてください。
広告枠を借りる場合も、契約で確かめることがあります。最低の契約期間、途中でやめるときの扱い、表示面の製作と貼り替えの費用が料金に入っているか、照明が点く時間帯、看板が壊れたときに直す費用を誰が持つか、の5つは、申し込みの前に書面で確かめておくと安心です。
ここまでの、出し方の比べ方、候補地の見え方、載せる文字、お金の内訳、許可と契約の確かめを1枚に書き込めるシートを用意しています。土地の持ち主や看板会社との話し合いに持って行けます。
野立て看板の新設や作り替えは、立てたい場所の写真からご相談ください
AGSの看板のデザイン・製作・施工では、自立看板をはじめ、店舗や会社の外に出す看板の新設と作り替えをお引き受けしています。野立て看板を自社で建てる場合は、載せる文字とデザイン、柱と基礎の作り方、屋外広告物の許可の手続きまで、まとめてご相談いただけます。

店の外に立てる看板の施工例は、いーすと様の新規店舗の自立看板やCafe Lamp様の街頭看板をご覧ください。看板の種類と依頼の流れは看板デザイン・製作・施工のページにまとめています。夜も目立たせたいときは、LED看板の種類の記事も参考になります。古くなった野立て看板を外して建て替えるときの撤去も、あわせてご相談ください。
立てたい場所の住所と、道路から見た写真、載せたい文字やロゴ、どちら向きの車に見せたいかが分かれば、土地の契約が決まる前でもご相談いただけます。AGSは福岡市の屋外広告業の登録事業者です。現地調査とお見積りは無料で、拠点は福岡・博多、現場は全国にお伺いします。
よくある質問
Q. 広告枠を借りるのと、自社で建てるのでは、どちらが安いですか?
出しておく期間で変わるので、一概には言えません。自社で建てる看板は最初に製作と基礎工事のお金がかかる代わりに、そのあとは地代と許可の更新などが中心になり、広告枠は最初の負担が軽い代わりに広告料が続きます。何年出すつもりかを決めて、その期間の合計で比べるのがおすすめです。
Q. 野立て看板の許可は誰が取りますか?
自社で建てる看板なら、看板を出すことを決めた自社が申請者になります。福岡市のQ&Aでは、申請者は工事を請け負った屋外広告業者ではなく、表示することを決めて業者に依頼した広告物の持ち主やスポンサーなどとしています(問3-17)。書類の準備を看板の会社に頼む場合も、申請者は自社です。広告枠を借りる場合は、基本は看板の持ち主が許可を受ける形です。
Q. 野立て看板をやめるときは、何をすればいいですか?
自社の看板なら、看板と基礎を撤去し、土地を契約で決めた状態に戻して、自治体に屋外広告物の除却の届けを出します。基礎をどこまで撤去するかで費用が変わるので、土地を借りるときの契約で決めておくと安心です。広告枠なら、契約の終わりに表示面を外してもらう流れになります。
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