カルプ文字は、細かい気泡を含んだ軽い樹脂の板(看板の業界では「カルプ」と呼びます)を文字の形に切り抜き、表面を塗装やシートで仕上げた立体の文字です。軽くて加工しやすいので、手頃な金額で厚みのある文字を作れます。
金属の板を箱の形に組むチャンネル文字(箱文字)と比べると、材料も手間も少なく済みます。軽いぶん、平らな室内の壁なら両面テープや接着剤でも付けられます。
たとえば会社の受付の壁に社名を付けるとき、厚み20mmほどのカルプ文字にすると、横から見たときに文字の厚みと影が出て、印刷のシートを貼るよりもしっかりした印象になります。
受付や店内の壁に、手頃に立体の文字を付けたいときの有力な候補です。
この記事では、カルプ文字の作り方、厚みと見え方、仕上げ、屋外で使える条件、壁への付け方と賃貸の壁での注意、箱文字・ステンレス切り文字との選び分け、金額が動く要素をまとめました。看板の製作・取り付けをしている会社の目線で書いています。
カルプ文字は、軽い発泡材の板を切り抜いて作る立体の文字
カルプ文字は、1枚の板を文字の形に切り抜いて作ります。中が空いた箱を組むチャンネル文字と違い、文字の中まで材料が詰まっているので、組み立ての工程がありません。
板は、スポンジのように細かい気泡を含んだ樹脂でできています。見た目の厚みのわりにとても軽く、カッターやルーター(板を削って切り抜く機械)で形を切り出しやすいのが特徴です。

作り方の流れは、次の4つです。
| 順番 | やること | 決まること |
|---|---|---|
| 1 | 文字やロゴのデータを作る | 書体、文字の高さ、文字と文字の間隔 |
| 2 | 板から文字の形を切り抜く | 文字の形と厚み |
| 3 | 表面と側面を塗装やシートで仕上げる | 色と質感、屋外で使えるかどうか |
| 4 | 壁に付ける | 付け方(テープ・接着剤、ピン、浮かし) |
文字だけでなく、ロゴマークの形も切り抜けます。社名とロゴを一緒に立体にして、受付の壁にまとめて付けることもよくあります。
よく使われる場所は、会社の受付の壁、店内の壁、展示会のブースの社名などです。看板の種類全体の中での位置づけは、看板の種類と、依頼から取り付けまでの流れにまとめています。
厚みは、文字をどの角度から見られるかで選ぶ
カルプ文字の厚みは、10mm・20mm・30mmあたりがよく使われ、50mmほどの厚い文字も作れます。厚いほど、斜めや横から見たときの存在感と、壁に落ちる影が大きくなります。
どの厚みにするかは、文字を正面から見る人が多いか、斜めや横から見る人が多いかで考えると決めやすいです。
| 厚み | 見え方 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 10mm前後 | 正面からは厚みがあまり目立たず、すっきりした印象。斜めからは薄い縁と小さな影が見える | 正面から近くで見る受付カウンターの前の壁、ドアの横の小さな表示 |
| 20〜30mm | 斜めから見ても厚みが分かり、壁に影が落ちて立体に見える | 受付の後ろの壁の社名、店内の壁のロゴ |
| 50mm前後 | かなり斜めの角度からでも厚みと影がはっきり分かり、存在感が大きい | 通路の奥から斜めに見られる壁、天井の高い広い空間 |

たとえば、エレベーターを降りて正面に受付がある会社なら、来た人は社名をほぼ正面から見ます。この場合は厚みを増やしても見え方の差が小さいので、20mm前後で十分なことが多いです。
反対に、廊下を歩きながら横目で見る壁や、入口から斜めに見える壁では、厚みのある側面と影が目に入るので、厚みを増やすほど文字に気づいてもらいやすくなります。付けたい壁の前に立って、来た人がどの位置からその壁を見るかを確かめておけば、厚みの選び方で迷いにくいはずです。
厚みを増やすと、材料が増えるぶん金額も上がります。また、文字が小さいのに厚みだけを増やすと、ずんぐりした見え方になりやすいので、文字の高さとのつり合いも見て決めます。
仕上げは塗装かシートで、側面の色も選べる
カルプ文字の色は、表面に塗装をするか、色の付いたシートを貼って出します。ロゴの色に合わせることも、金属のような質感のシートを貼ることもできます。
表面と側面を同じ色にするか、表面だけに色を付けて側面は白や黒にするかでも、見え方が変わります。
| 仕上げ方 | 見え方 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 表面も側面も同じ色に塗る | 文字全体がひとつの塊に見え、色がはっきり出る | ロゴの色をそのまま見せたいとき |
| 表面に色、側面は白か黒 | 正面からはロゴの色、横からは縁取りのように見える | 白い壁や黒い壁に付けて、輪郭を際立たせたいとき |
| 金属調のシートを貼る | 正面から見ると金属の板のような質感になる | ステンレスの文字に近い見え方を、手頃に出したいとき |

金属調のシートは、正面から見ると金属らしく見えますが、側面や近くで見たときの質感は、本物のステンレスの切り文字とは違います。エントランスで来た人が近くを通る壁なら、その距離で見たときの印象も考えておくと、仕上がってからの「思ったのと違う」を避けられます。
屋外でも使えるが、日差しと雨が当たり続ける場所では傷みやすい
カルプ文字は、表面を屋外向けの塗装やシートで仕上げれば、屋外でも使えます。ただ、発泡材なので、強い日差しや雨が当たり続ける場所では、反りや色あせが金属の文字より早く出やすいです。
屋外で使えるかどうかは、「屋外か屋内か」よりも、付ける場所に日差しと雨がどれだけ当たるかで考えると、判断がしやすくなります。

条件が比較的おだやかなのは、次のような場所です。
- 深い庇(ひさし)や軒の下で、雨が直接かかりにくい外壁
- 北向きなど、一日を通して直射日光が当たる時間が短い外壁
- 商業施設の通路や、建物の中の吹き抜けのように、屋根の下にある場所
反対に、庇の無い南向きや西向きの外壁で、日差しと雨を正面から受け続ける場所は、傷みが早く出やすい条件です。また、濃い色は白っぽい色より日差しで熱を持ちやすいので、日の当たる場所に付けるなら、色を決めるときにその点も看板の会社に相談しておくと安心です。
日の当たる外壁で長く使う看板なら、ステンレスの切り文字やチャンネル文字と見比べて決めると、作り直しの手間を減らせます。カルプ文字は、軽くて手頃なことが一番の良さなので、条件の厳しい場所に無理に使うより、得意な場所で使うほうが満足しやすいです。
付け方は3通り。壁の材質と、落ちたときの危なさで決める
カルプ文字の付け方は、両面テープや接着剤で貼る、ピン(ボルト)で固定する、金具で壁から浮かせて付ける、の3通りが基本です。壁の材質と、付ける高さ(落ちたときに危ないかどうか)で選びます。
| 付け方 | どう付けるか | 向いている場面 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 両面テープ・接着剤 | 文字の裏にテープや接着剤を付けて、壁に貼る | 平らな室内の壁。手の届く高さ | 凹凸のある壁や、壁紙の上では付きが弱くなることがある。はがすと跡が残りやすい |
| ピン(ボルト)で固定 | 文字の裏に差したピンを、壁に開けた穴に差し込んで固定する | 屋外、落ちると危ない高い位置、凹凸のある壁 | 壁に小さな穴が開く |
| 浮かして付ける | 金具で壁から少し離して付ける | 壁に影を落として立体感を出したいとき | 穴が開く。金具のぶん手間がかかる |

付ける位置は、実際の大きさで印刷した型紙を壁に貼って決めるのが確実です。図面の上では良く見えても、壁に当ててみると、受付カウンターや照明との釣り合いが違って見えることがあるからです。
賃貸のオフィス・店舗の壁は、先に管理会社に確かめる
賃貸のオフィスや店舗では、退去のときに壁を元に戻す決まり(原状回復)があることが多いので、付け方を決める前に、穴を開けてよいか、テープの跡が残ってよいかを管理会社に確かめておくと安心です。
原状回復というと、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を思い浮かべる方もいると思います。ただ、このガイドラインは「賃料が市場家賃程度の民間賃貸住宅を想定しています」と書かれていて、オフィスや店舗の壁にそのまま当てはまるものではありません(出典:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について・2026年10月17日確認)。オフィスや店舗では、賃貸借の契約書と、ビルの内装の決まりが基準になります。
管理会社に確かめるときは、次のことを聞いておくと、付け方をすぐに決められます。
- 壁に穴を開けてよいか。よいなら、穴の大きさや数に決まりはあるか
- 両面テープや接着剤で貼ってよいか。退去のときに壁紙の張り替えが要るか
- 付けた看板を退去のときに外して、壁を直すのはどちらの負担か
- 工事をするときに、事前の届け出や、ビル指定の業者の立ち会いが要るか
テープで貼った文字をはがすと、壁紙ごとめくれることがあります。「テープなら穴が開かないから大丈夫」とは限らないので、テープで貼る場合も、跡が残ったときの扱いをあわせて確かめておくと、退去のときに慌てずに済みます。
外壁に付けるなら、建物の持ち主の承諾と屋外広告物の許可も確かめる
外壁に付けるカルプ文字は、建物の持ち主の承諾に加えて、屋外広告物の許可が要る場合があります。建物の中の受付の壁に付ける社名なら、ふつうはこの手続きの対象になりません。

賃貸の店舗やビルに入っている場合、外壁は共用の部分にあたることが多く、付けてよいか、どの位置・大きさまでならよいかは、建物の持ち主や管理会社が決めます。上の賃貸の壁と同じく、デザインを決める前に確かめておくと、作り直しを避けられます。
屋外広告物は、常時または一定の期間続けて、屋外で、公衆に表示されるもので、看板や建物に表示されたものなどが含まれます。規制は都道府県・指定都市・中核市などが条例で定めています(出典:国土交通省「屋外広告物制度の概要」・2026年10月17日確認)。
福岡市は、「屋外広告物の許可申請について」(2026年10月17日確認)で、屋外広告物を表示するには原則として事前に許可が要ると案内していて、オンラインでも申請できます。
許可が要らない条件や手数料は自治体ごとに違います。室内でも、窓ガラス越しに外へ向けて見せる表示は対象になることがあるので、看板を付ける場所の市区町村の担当課か、看板の会社に確かめてください。申請が要らない場合の条件は、チャンネル文字(箱文字)の記事の「屋外広告物の許可」で福岡市の例を詳しく書いています。AGSは福岡市屋外広告業登録事業者で、必要な申請もあわせてお引き受けしています。
付けたあとの点検の考え方は、看板の点検は誰がいつやるかの記事にまとめました。
箱文字・ステンレス切り文字とは、光らせるか・質感・使う年数で選び分ける
カルプ文字と迷いやすい文字には、チャンネル文字(箱文字)とステンレスの切り文字があります。夜も光らせたいならチャンネル文字、金属の質感で長く使いたいならステンレスの切り文字、手頃に厚みを出したいならカルプ文字、が基本の選び分けです。

| 種類 | 作り方 | 光らせられるか | 見え方 | 向いている場所 |
|---|---|---|---|---|
| カルプ文字 | 発泡材の板を切り抜き、塗装やシートで仕上げる | 基本は光らせない | 軽く、手頃に厚みが出る。色を自由に付けられる | 受付・店内の壁、展示会のブース、庇の下の外壁 |
| ステンレス切り文字 | 数ミリのステンレス板を切り抜く | 基本は光らせない(浮かせて裏から照らす付け方はある) | 薄くても金属の質感で高級感が出る | エントランスの社名、屋外の壁、長く使う看板 |
| チャンネル文字(箱文字) | 表の板と側面の板で、1文字ずつ箱の形に組む | 中にLEDを入れて光らせられる | 厚みがあり、遠くからでも存在感がある | 外壁の店名・社名、夜も見せたい看板 |
迷ったときは、「夜も見せたいか」を最初に決めると絞りやすいです。夜も光らせたいならチャンネル文字が候補になり、光らせ方の違いや作り方はチャンネル文字(箱文字)の記事で詳しく書いています。
光らせなくてよいなら、次は「屋外の日の当たる場所か」「何年使うか」で、カルプ文字とステンレスの切り文字を比べます。室内で、内装の模様替えにあわせて数年で変えるかもしれない、という使い方なら、手頃なカルプ文字が合いやすいです。
金額は、文字の高さと数・厚み・付け方で決まる
カルプ文字の金額は、主に文字の高さと数、厚み、付け方の3つで決まります。同じ社名でも、文字の大きさや付ける場所によって金額に差が出ます。
| 金額を動かす要素 | どう変わるか |
|---|---|
| 文字の高さ | 大きい文字ほど材料と手間が増える |
| 文字数・ロゴマークの有無 | 1文字ずつ切り抜くので、文字数がそのまま効く |
| 文字の形 | 漢字のように線が多い文字や、細かい形のロゴは手間が増える |
| 厚み | 厚いほど材料が増える |
| 仕上げ | 塗装の色数や、側面の塗り分け、金属調のシートなどで変わる |
| 付け方 | 浮かせて付けると、金具と手間が加わる |
| 付ける高さと場所 | 高い位置や屋外は、足場や高所作業車が要ることがある |
| ロゴのデータ | 線の形が正確なデータが無いと、データを作る作業が加わる |

ロゴのデータについては、少し補足します。文字を切り抜くには、線の形が正確なデータ(イラストレーターのデータやPDF)が必要です。細すぎる線や、文字の中の小さなすき間は、切り抜いたときに折れたり埋まったりしやすいので、立体にしたときに崩れないよう、線の太さを少し整えてから作ることがあります。名刺や今の看板の写真しか無い場合も、データを起こせます。
見積りを比べるときは、文字の代金だけでなく、取り付けの費用やデータ作りが含まれているかも見てください。看板の見積りで、どの項目が含まれているかの見方は、看板の製作・設置費用の記事にまとめました。
AGSでは、カルプ文字とステンレス切り文字の、文字の高さごとの金額の目安を、カルプ文字・切り文字の製作・取り付けのページに載せています。
相談の前に、付ける壁と見せ方を書き出しておくと話が早い
相談の前に、付けたい壁の写真、屋外か室内か、来た人がどこから見るか、賃貸かどうかの4つが分かっていると、素材と付け方の提案がすぐに出せます。
付けたい壁は、正面から1枚と、来た人が歩いてくる向きから1枚、写真を撮っておくのがおすすめです。壁のおおよその幅が分かれば、文字の高さの見当も付けられます。

カルプ文字・ステンレス切り文字・チャンネル文字のどれが合うか、付け方はどれにするかを、質問に答えながら絞り込める紙を用意しました。管理会社に確かめることの欄もあるので、そのまま相談に使えます。
受付の社名や店内のロゴを新しく付けたいとき、店や会社のリニューアルにあわせて文字の看板を作り替えたいときは、看板のデザイン・製作・施工としてまとめてご相談いただけます。現地調査とお見積りは無料です。
よくある質問
Q. カルプ文字とステンレスの切り文字は、どちらが長持ちしますか?
一般に、ステンレスの切り文字のほうが長持ちしやすいです。カルプ文字は発泡材なので、強い日差しや雨が当たり続ける場所では、反りや色あせが金属より早く出やすくなります。室内や庇の下のように条件のおだやかな場所なら、カルプ文字でも十分に使えます。
Q. カルプ文字は光らせられますか?
カルプ文字は、基本は光らせない文字です。夜も文字を光らせたいなら、中にLEDを入れられるチャンネル文字(箱文字)が候補になります。カルプ文字のまま夜も見せたいときは、外から照明を当てる方法を選べます。
Q. 賃貸の事務所でも、穴を開けずに付けられますか?
平らな室内の壁なら、両面テープや接着剤で付けられることが多いです。ただ、はがすときに壁紙ごとめくれることもあるので、テープで貼る場合も、跡が残ったときの扱いを先に管理会社に確かめておいてください。
Q. 手持ちのロゴをそのまま立体にできますか?
多くの場合はできますが、とても細い線や小さなすき間があるロゴは、切り抜いたときに崩れやすいので、線の太さを少し整えてから作ることがあります。線の形が正確なデータ(イラストレーターのデータやPDF)があると話が早く、無い場合はデータを起こすところからお手伝いできます。
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