イベント装飾を頼める会社は、装飾・ディスプレイの専門会社、空間デザイン事務所、イベントの制作・施工会社、花・グリーンの会社、バルーン装飾の専門店、看板・サインと大判出力の会社、装飾品・什器のレンタル会社の7種類に分けると整理しやすいです。
どこに頼むかは、会社の良し悪しより先に「飾る場所の決まり」と「作りたいもの」でかなり絞れます。
7種類は、作れるものと、現場で作業できる範囲が違います。花の会社は生花の手配と入れ替えに強く、サインの会社は大判の印刷物に強い、という具合です。
見落としやすいのは、施設の側の決まりのほうかもしれません。商業施設やイベントスペースでは、施設が指定する業者でないと触れない作業があったり、施工の前に図面や作業員の名簿を出す決まりがあったりします。その書類を作れない会社には、デザインが良くても頼みにくいんです。
なので頼み先は、次の順番で絞っていくと迷いにくくなります。
- 最初に、飾る場所の決まりを読む
- 次に、作るものから専門の会社を決める
- 最後に、窓口を1社にまとめるか分けるかを決める
この記事では、7種類の会社の違いと、この順番で頼み先を絞る方法、見積りを頼む前にそろえることを、装飾の企画・制作・施工をしている会社の目線でまとめました。
イベント装飾を頼める会社は7種類|得意なことと頼める範囲
7種類の会社は、どれも「装飾」を扱いますが、自社で作れるものと、現場の作業まで持てるかどうかが違います。先に表で並べます。
| 会社の種類 | 自社で作れる・できること | 向く場面 | 頼むときに確かめたいこと |
|---|---|---|---|
| 装飾・ディスプレイの専門会社 | 装飾のデザイン・造作・設営・撤去。ウインドウや催事場、館内の季節装飾 | 商業施設の催事場や館内、店頭の装飾をまとめて任せたいとき | 花・バルーン・電気など、自社で持たない部分をどこに頼むか |
| 空間デザイン事務所 | コンセプト・デザイン・図面 | 世界観やブランドの見せ方から考えたいとき | 施工は誰がやるか。図面が施設の決まりに合っているか |
| イベントの制作・施工会社 | ステージ・ブース・会場の造作と装飾、設営・撤去 | 装飾だけでなく、ステージや受付など会場全体を作るとき | 装飾の仕上げ(花・布・小物)まで自社でやるか |
| 花・グリーンの会社 | 装花・植栽・グリーンのレンタルと入れ替え | 式典や周年、格式を出したい場面 | 会期中の入れ替え・水やりの回数と、その費用 |
| バルーン装飾の専門店 | バルーンのアーチ・ガーランド・装飾一式 | 手早く華やかにしたい場面、子ども向けの催し | 会期の長さと、もつ日数の合わせ方 |
| 看板・サイン、大判出力の会社 | 懸垂幕・タペストリー・のぼり・パネル・シートの印刷と取り付け | 告知を兼ねた大きな印刷物、屋外の掲示 | 屋外に出すものは、許可と業者の登録 |
| 装飾品・什器のレンタル会社 | 季節の装飾品・ツリー・展示台・什器の貸し出し | 毎年同じ時期に使うもの、短い会期 | 設置と撤去を誰がやるか。防炎のラベルの有無 |
実際には、この7種類をまたぐ会社も多いです。装飾の専門会社が花やバルーンを協力会社と組んで一緒に出すこともありますし、施工会社が装飾の仕上げまで持つこともあります。それでも「この会社の軸足はどこか」を見ておくと、頼んだあとに「そこはうちではやっていません」となる場面は減らせるはずです。
イベント全体の発注先(広告代理店・企画会社・施工会社・スタッフ派遣会社)の違いはイベント会社の種類の記事に、展示会ブースの頼み先は展示会ブースはどこに頼むかの記事に書いているので、ここでは装飾に絞ります。
装飾・ディスプレイの専門会社
商業施設の催事場や館内、ショーウインドウ、店頭の装飾を、デザインから設営・撤去まで受ける会社です。施設の搬入の決まりや、閉店後の夜間作業に慣れているのが、この種類の一番の強みでしょう。
季節ごとに装飾を入れ替える施設なら、クリスマスの撤去と迎春の設営を同じタイミングでまとめる、といった段取りも頼めます。
花や電飾など、自社で持たない部分は協力会社と組むことが多いです。見積りの段階で「どの部分を協力会社に出すか」を聞いておくと、当日の作業の顔ぶれまで見えてきます。
空間デザイン事務所
「どんな世界観で見せるか」から一緒に考えたいときの頼み先で、成果物はコンセプトとデザイン、図面です。施工は別の会社が受け持つ形が多く、費用はデザイン費と施工費の2つに分かれます。

気をつけたいのは、図面が施設の決まりに合っているかを誰が確かめるかです。施設の天井の高さや作業できる時間が図面に入っていないと、施工の段階で描き直しになります。デザイン事務所に頼むなら、施工する会社に早めに図面を見てもらう段取りにしておくと安心です。
イベントの制作・施工会社
ステージやブース、受付、会場の造作と一緒に装飾も作る会社です。会場全体を1つの図面で考えるので、ステージの背景と入口の装飾の色をそろえる、といった調整がしやすくなります。
施工会社に頼める仕事の範囲はイベント施工とは?の記事に書いています。会社によっては、花や布の仕上げは協力会社に頼むこともあるので、どこまでを自社でやるかは確かめておいてください。
花・グリーンの会社
式典や周年記念、ホテルの会場のように、格式を出したい場面で頼りになるのが花・グリーンの会社です。生花は季節で使える花材が変わるので、その時期に合う花の提案はこの会社が一番詳しいと思います。

生花は会期が長いと入れ替えや水やりが要るので、会期の日数で費用が動きやすいです。数週間続く館内の装飾なら、造花やグリーンのレンタルと組み合わせる方法もあります。
バルーン装飾の専門店
アーチやガーランドを短い時間で組めるのがバルーンの強みで、子ども向けの催しやオープンの演出によく使われます。色の自由が利くので、ブランドの色に合わせやすいのも利点です。
一方で、バルーンは膨らませてからもつ日数に限りがあり、会期が長いと作り直しが要ることがあります。形の種類や頼み方はバルーン装飾の記事にまとめています。
看板・サイン、大判出力の会社
懸垂幕やタペストリー、のぼり、パネル、窓ガラスのシートといった印刷物を作って取り付ける会社です。告知を兼ねた大きな装飾は、この会社の得意分野になります。
屋外に出す懸垂幕やのぼりには、自治体の屋外広告物の決まりがかかってきます。このあとの章で書くとおり、屋外の掲示を請け負うには業者の側にも登録が要る自治体があるので、屋外に出すものがあるときは確かめておいてください。
装飾品・什器のレンタル会社
クリスマスツリーや季節の装飾品、展示台や棚などを貸し出す会社です。毎年同じ時期に使うものや、数日だけの催しなら、買うより借りるほうが保管の手間もかかりません。

レンタル会社によっては、運ぶだけで設置は借りた側、という形もあります。設置と撤去を誰がやるか、壊したときの扱い、防炎のラベルが付いているかを先に確かめておくと、当日に慌てずに済みます。
最初に、飾る場所の決まりを読む|指定業者・提出書類・作業時間
頼み先を選ぶ前に、飾る施設の利用規約や出店の手引きを読んでください。施設が指定する業者、施工の前に出す書類、作業できる時間の3つで、頼める会社がかなり絞られます。
1つ目は、施設が指定する業者です。たとえば大阪駅の北側にあるグラングリーン大阪のイベントスペースの利用規約では、警備と一次電気工事(施設の電源から催しの区画まで電気を引く工事)は施設が指定業者を案内する決まりで、音響・照明・美術・施工については事前に問い合わせるよう書かれています(出典:グラングリーン大阪「イベントスペース 利用規約 Ver.3」2025年12月(PDF)・2026年10月16日確認)。
指定業者が決まっている作業は、どの装飾会社に頼んでも、原則は施設の業者が入ると考えておくのが無難です。同じ規約には「持ち込みをご希望の場合は、ご相談ください」ともあるので、自分で選んだ業者を使いたいときは施設に相談する形になります。
施設の業者の分を装飾会社の見積りに入れるか、施設に別に払うかを最初に整理しておくと、金額を比べるときに迷いません。
2つ目は、施工の前に出す書類です。同じグラングリーン大阪では、仮設物の配置と図面(平面図・立面図・配線図・設置や固定の方法)を実施計画として出し、施設の承認を受ける決まりになっています。景観のガイドラインに沿って、広告の色や表現の改訂を指示する場合があるとも書かれています(前掲・利用規約)。
東京駅前のKITTEのイベントスペースでは、利用日の1か月前の事前打ち合わせで施工プランなどの資料を出し、10〜7日前の最終打ち合わせでは、搬出入の経路図、養生計画図(床や壁を傷めないための覆い方の計画)、搬入時と搬出時の作業員名簿、作業届を出す流れになっています(出典:KITTEイベントスペース運営事務局「KITTEイベントスペース 利用規約」2024年11月(PDF)・2026年10月16日確認)。
こうした図面や名簿は、装飾を作る会社が用意することが多いものです。見積りを頼むときに「施設に出す図面と書類も作ってもらえますか」と聞いておくと、その会社が商業施設の現場に慣れているかも分かります。

3つ目は、作業できる時間です。KITTEのイベントスペースでは、搬入・搬出と設営・撤去ができるのは0:30〜6:00の間に限られ、事務局の立会いが必要で、時間外の対応は別料金と書かれています(前掲・KITTE利用規約)。
深夜の数時間で組み上げる現場では、装飾を工場で組んでおいて、現場では取り付けるだけにする作り方が向いています。夜間の作業に慣れた会社かどうかは、こういう施設では大事な見どころです。営業中の施設ならではの制約は、商業施設のイベント企画の記事にもまとめています。
次に、作るものから専門の会社を決める|屋外の掲示・電気・大きな造作は登録と資格を確かめる
施設の決まりを読んだら、作りたいものを書き出して、それぞれ得意な会社を当てはめます。当てはめるときは、最初の章の表の「向く場面」の列が目安になります。このとき、屋外に出す掲示、電気の配線、大きな造作の3つは、登録や資格を持つ会社でないと請け負えない場合があるので、先に確かめておいてください。
屋外の掲示は、出す側の許可と、作る業者の登録の両方がかかります。福岡市では、屋外広告物を表示するには原則として事前に許可が要り、高さが4mを超えるものは工作物の確認申請、道路の上に出すものは道路占用の許可も要ると案内されています(出典:福岡市「屋外広告物の許可申請について」・2026年10月16日確認)。
業者の側にも決まりがあります。福岡市の案内(福岡市「屋外広告業の登録について」・2026年10月16日確認)では、福岡市内で屋外広告物等の設置を行う個人や法人は、市長への屋外広告業の登録が必要で、有効期間は5年間とされています。
屋外に懸垂幕やのぼり、看板を出すなら、頼む会社がその自治体で登録しているかを聞いておくと確実です。

電気の配線は、電気工事士の資格が要る作業です。電気工事士法第3条は、資格を持つ人でなければ電気工事の作業に従事してはならないと定めています(出典:e-Gov法令検索「電気工事士法」第3条・2026年10月16日確認)。
電飾をコンセントに挿して使うだけなら工事にはなりませんが、照明の配線を新しく引く、分電盤から電気を取るといった作業は、資格のある人がいる会社か、電気工事の会社と組んでいる会社に頼むことになります。
大きな造作を伴う工事では、建設業の許可も確かめどころです。建設業法では、内装仕上工事業などの業種ごとに許可が定められていて、許可が要らない「軽微な建設工事」は、建築一式工事以外では1件の請負代金が税込500万円未満の工事とされています(出典:e-Gov法令検索「建設業法」第3条・別表第一、国土交通省「建設業の許可とは」・2026年10月16日確認)。
装飾の多くはこの金額に届きませんが、催事場の壁や床まで作り込む大きな工事になるなら、許可のある会社かどうかも見ておくと安心です。
材料の側では、防炎も忘れずに確かめてください。総務省消防庁は、百貨店や地下街のように不特定多数の人が出入りする施設などで、カーテン、暗幕、じゅうたん、展示用の合板などに防炎物品を使うよう義務づけていると案内しています(出典:総務省消防庁「防炎品」・2026年10月16日確認)。
紙や造花のような小物にも、施設が独自に防炎を求めていることがあります。天井や壁、床の細かい決まりは店内イベントの装飾の記事に書いています。
最後に、窓口を1社にまとめるか分けるかを決める
専門の会社が2つ以上要るときは、1社に窓口をまとめて頼むか、それぞれの会社に分けて頼むかを決めます。迷ったら、施設に出す書類と当日の立会いを誰がまとめるかで決めると分かりやすいです。

1社にまとめると、デザインの色や素材がそろいやすく、施設との打ち合わせも1つの会社が受け持ちます。夜間の数時間で花・バルーン・サインが同時に入る現場では、誰がどの順番で作業するかを1つの会社が組んでくれるのが助かります。
分けて頼むと、それぞれの専門の会社と直接話せて、間に入る会社のぶんの管理費も乗りにくいでしょう。そのかわり、施設への書類をまとめる人と、当日に作業の順番を決める人は、頼む側で用意することになります。
野球で守備位置が決まっていないと、間に落ちた打球を誰も拾わないのと同じで、こうした取りまとめは担当を決めておかないと抜けやすいところです。
施設の書類は図面・配線・作業員名簿までそろえて1つの計画として出すことが多いので、窓口が分かれていると、その取りまとめを担当の方が引き受けることになるんですよね。小さな装飾を1種類だけ頼むなら分けて頼んでも困りにくく、複数の種類が同じ晩に入るならまとめるほうが楽、というのが1つの目安です。間に入る会社の数と費用の関係はイベント会社の種類の記事でも触れています。
見積りを頼む前にそろえる5つのこと|同じ条件で比べるために
見積りは、同じ条件を伝えて頼まないと比べられません。次の5つを先にそろえておくと、どの種類の会社に頼んでも金額と中身を並べて比べられます。

| そろえるもの | 書き出す中身 | そろえておくと |
|---|---|---|
| 飾る場所と寸法 | 場所ごとの幅・高さ・奥行と天井の高さ。写真を添える | 会社の側で、取り付け方と材料の量の見当が付く |
| 会期と、設営・撤去に使える時間 | 会期の日数。閉店後だけか、前日の日中に入れるか | 生花やバルーンの入れ替え、レンタルの日数、作業の人数がそろった条件で見積もられる |
| 作りたいものの写真やラフ | 近いイメージの写真や手描きのラフを1枚 | 「華やかに」の受け取り方が会社ごとにずれず、同じものの見積りがそろう |
| 施設の利用規約や出店の手引き | 指定業者・提出書類・作業時間が書かれたページ | 施設の決まりを入れた金額で出してもらえる |
| 予算の幅と、会期のあとに残すか | 「この幅で考えている」の金額。来年も使うなら保管か毎回借りるか | 現実的な案が返ってきて、何年かで見た費用も比べられる |
中でも、設営・撤去に使える時間は金額に直接効きます。閉店後の数時間しか入れない現場では、人数を増やして短い時間で組むことになります。
金額を大きく動かしやすいのは、造作の量と素材、夜間や早朝の作業、高い場所の作業、会期の長さ、撤去と処分の範囲です。予算が限られるときも、入口のように最初に目に入る場所は残し、それ以外の場所で数を減らすほうが、装飾全体の印象は落ちにくくなります。場所ごとの飾り方はイベント会場の装飾の記事にまとめています。
AGSは、イベント装飾・店舗装飾の企画・デザインから、制作、設営、会期後の撤去までを自社で一括してお手伝いしています。内装仕上工事業の福岡県知事許可と、福岡市の屋外広告業の登録があり、閉店後や夜間の作業にも対応できます。これまでに博多阪急のバレンタイン催事会場や天神地下街の迎春イベント装飾、ネッツトヨタ福岡のクリスマス装飾・クリスマスツリーなどを手がけてきました。
季節ごとの装飾を年間でまとめて相談いただくこともできます。拠点は福岡・博多で、現場は全国に伺っています。イベント装飾・店舗装飾のページから、施設の規約を読む段階のご相談でも大丈夫ですし、見積りは無料でお出しします。
よくある質問
Q. 装飾の会社と施工の会社は、何が違いますか?
軸足が違います。装飾の専門会社は、売場や館内の見せ方と、花・布・小物といった仕上げに強い会社が多いです。施工の会社は、ステージや壁、床などの造作と会場全体の設営に強い会社が多く、どちらも装飾を扱います。会場全体を作るなら施工会社、売場や館内の見せ方が中心なら装飾の専門会社から考えると選びやすいです。
Q. 小さな装飾でも、会社に頼めますか?
受けている会社はあります。ただ、小さな装飾でも、設営と撤去には人が現場に出向くので、装飾そのものより作業と移動の費用の割合が大きくなりやすいです。季節の入れ替えやほかの売場の装飾とまとめて頼めないかも、あわせて相談してみてください。問い合わせの時点で、飾る場所の寸法と会期を伝えると話が早いでしょう。
Q. 施設の指定業者がいるときは、ほかの会社に頼めませんか?
指定業者の対象が、一部の作業に限られている施設があります。たとえばグラングリーン大阪のイベントスペースでは、指定業者の対象は警備と一次電気工事で、ほかの作業は事前に問い合わせる形になっています。指定の対象の作業でも、持ち込みは相談に応じるとしている施設です。まず規約で指定の範囲を確かめ、それ以外の作業を自分で選んだ会社に頼めるかを施設に聞いてみてください。
Q. どのくらい前に相談すればいいですか?
施設に出す書類の締切から逆算して考えます。KITTEのイベントスペースでは利用日の1か月前に施工プランなどを出す流れなので、デザインと見積りはその前に固めておく必要があります。季節の装飾は依頼が重なる時期もあるので、余裕を持って相談しておくと安心です。クリスマス装飾の場合の時期の目安は、店舗のクリスマス装飾はいつからの記事に書いています。
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