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展示会の壁面装飾は何で作る?4素材の使い分けと入稿・防炎・締切

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展示会の壁面装飾は何で作る?4素材の使い分けと入稿・防炎・締切

展示会ブースの壁面装飾は、「システムパネルにスチレンパネルを貼る」「布のタペストリーを吊る」「出力シートをパネルに貼り込む」「木工の壁に出力を貼る」の4つのどれかで作るのが基本です。どれを選ぶかは、見え方・設営にかかる時間・次も使うか・予算の4つを軸に選びます。

理由は、壁面の見た目はデザインより先に「何に印刷して、どう固定するか」で大きく変わるからです。同じデータでも、布に印刷して吊ればやわらかく見え、板に貼れば継ぎ目のないきれいな面になり、その分だけ設営の手間と運搬の荷物が増えます。

たとえば主催者が用意するシステムパネルは、パネル面にビスや釘を打てず、両面テープで貼るかS字フックで吊るかに限られることが多いです。素材を先に決めておかないと、「貼れると思っていたものが貼れない」という行き違いが設営日に起きます。

この記事では、4つの作り方を同じ軸で比べたうえで、継ぎ目に文字や顔を掛けないサイズの決め方、入稿データで困らない決め方、防炎と会場の壁面規程、床材、入稿の締切の逆算までをまとめました。展示会ブースの設計と施工をしている会社の目線で書いています。何を大きく載せるかというデザインの話は、展示会ブースの装飾アイデアおしゃれな展示会ブースの7つの要素に書いたので、この記事の範囲は作り方の仕様です。

壁面装飾の4つの作り方|見え方・設営時間・再利用・費用で比べる

4つの作り方は、おおむね「きれいに見える作り方ほど、設営に手間がかかる」という関係にあります。見え方と手間のどちらを取るかが、素材選びの中心です。

作り方何をどう作るか見え方設営の手間再利用費用が動くところ
スチレンパネル貼り発泡樹脂の板に印刷面を貼り合わせ、システムパネルに両面テープで固定平らで継ぎ目が目立ちにくい。写真がきれい板の枚数ぶん貼る。角の合わせに時間がかかる板が反る・角が潰れるので基本は1回面積、板の厚み、ラミネート加工、枚数
タペストリー(布・ターポリン)布や合成樹脂の生地に印刷し、上端にハトメやパイプを付けて吊るやわらかく、大きな1枚で継ぎ目なし。近くで見ると生地の目が出る吊るだけで早い。荷物も軽いたためるので繰り返し使える面積、生地の種類、縫製・ハトメ加工
出力シートの貼り込み塩ビの粘着シートに印刷し、パネルの面に直接貼る面と一体になって一番きれい。光沢の調整もできる貼りにシワや気泡が出やすく、慣れた人の作業が要る。剥がして原状回復する手間もある1回限り面積、シートの種類、貼り手間、剥がし手間
木工壁への出力貼り木で壁そのものを作り、その面に出力を貼る高さや形を自由に作れ、造作と一体に見える木工の組み立てが要り、設営時間が一番長い木工部分は保管すれば再利用も可木工の面積と形、出力、運搬と廃棄

システムパネルと木工造作のどちらでブースを組むかは、システムパネルの展示会ブースとは?木工造作との違いに詳しく書いています。ここからは壁面の仕上げに絞って、それぞれの向く場面を書きます。

壁面に使う素材の見本を見比べる担当者

スチレンパネル貼り

主催者が用意するシステムパネルの面に、印刷したスチレンパネルを1枚ずつ両面テープで貼る方法です。1小間や2小間の出展で一番よく見る作り方だと思います。

写真を大きく使いたいときに向いています。板が平らなので、布のように生地の目やたわみが出ず、通路の向こうから見ても面がきれいです。

弱点は、板が割れる・反る・角が潰れることです。搬入の荷姿が大きくなるのと、会期が終わったあとの処分の手間もあります。次の展示会でも同じ壁面を使うつもりなら、後で書くタペストリーのほうが向いています。

タペストリー(布・ターポリン)

大きな1枚の生地に印刷して、上端のハトメやパイプで吊る方法です。設営が一番早く、荷物は筒1本で済みます。

同じデザインで年に何回も出展する会社に向いています。生地の種類はいくつかあり、屋内の展示会では布系、屋外や汚れやすい場所では合成樹脂のターポリンが選ばれやすいです。

弱点は、近くで見ると生地の目が出ることと、下端が固定されていないと風や人の動きで揺れることです。小間の壁いっぱいに張るなら、下端も止める前提で寸法を決めてください。

出力シートの貼り込み

塩ビの粘着シートに印刷して、システムパネルの面に直接貼る方法です。きれいに貼れれば面と印刷が一体になり、4つの中で一番きれいに見えます。

会場のパネルに貼ってよいかは、必ず先に出展者マニュアルを確認してください。たとえば JECA FAIR 2026(第74回電設工業展)の出展者マニュアルでは、システムパネルの面に彩色シートを貼ることはできるが、展示会終了時には出展者の責任で原状復旧すると定められています(出典:JECA FAIR 2026 出展者マニュアル「4 展示と小間の装飾」・2026年9月15日確認)。

つまり貼る手間と剥がす手間の両方を見込む必要があります。シワや気泡を出さずに貼るには慣れが要るので、自社で貼るより施工会社に頼むことが多い作り方です。

木工壁への出力貼り

木で壁そのものを作り、その面に出力を貼る方法です。高さや形を自由にできるので、システムパネルの2.7mを超える壁や、曲面や切り抜きのある壁が作れます。

弱点は、設営時間と運搬の荷物が一番多いことです。1小間の出展で木工壁を全面に回すことは少なく、正面の1面だけ木工にして、側面はスチレンパネルやタペストリーにする組み合わせが現実的です。木工造作のブース全体の考え方は、展示会ブースのデザイン|1小間のレイアウトと造作の選び方に書いています。

サイズと分割|継ぎ目に文字や顔を掛けない

壁面のサイズは「壁の実寸」と「1枚で印刷できる幅」の2つで決まり、その差が継ぎ目になります。継ぎ目の位置を先に決めてからデザインを当てはめるのが、失敗の少ない順番です。

壁の実寸は主催者のマニュアルに載っています。JECA FAIR 2026 の例では、1小間の寸法は間口2,970mm×奥行2,970mm(パネルの芯から芯)で、隣接する小間との境界には高さ2.7mのシステムパネルが立ちます(出典:前出の JECA FAIR 2026 出展者マニュアル)。この間口を3枚のパネルで割ると、1枚の幅は約990mmです。

ここで大事なのは、パネルの幅が展示会ごとに違うことです。主催者が使うシステムパネルの規格や、パネルの芯で測るか内寸で測るかで、数十mm単位のずれが出ます。マニュアルの数字を書き写したうえで、施工会社か主催者の指定業者に「1枚の有効寸法」を確認してください。

スチレンパネルは1枚ずつ貼るので、パネルの継ぎ目がそのまま壁面の継ぎ目になります。継ぎ目に人の顔・社名ロゴ・製品写真の輪郭・小さな文字が掛かると、そこだけ目立ってしまうんです。写真を4分割のパズルにして、人の顔のど真ん中に切れ目が来るのを想像してもらうと分かりやすいと思います。

対策はシンプルで、原寸の壁面の図に継ぎ目の線を先に引き、その線を避けて要素を置くことです。大きな文字は継ぎ目をまたいでもよいのですが、文字の細い部分が線に重なると読みにくくなるので、文字の途中で切れないように調整します。

タペストリーは1枚で作れば継ぎ目がありません。ただし生地の幅には上限があり、幅の大きい壁面では縫い合わせが入ります。縫い目の位置も、印刷会社に確認したうえでデザインを当ててください。

高さ方向も忘れやすいところです。システムパネルの上には社名板(パラペット)が付くことが多く、照明の器具が壁の上端に掛かることもあります。壁の一番上に大事な文字を置くと、社名板や照明に隠れます。上端から200〜300mm程度は余裕を見ておくと安心です。

入稿データで困らない決め方

入稿データで行き違いが起きやすいのは、原寸か縮尺か・解像度・書き出しの形式・フォント・塗り足しの5つです。印刷会社によって指定が違うので、ここに挙げるのは「何を聞くか」の一覧だと思って読んでください。

確認すること印刷会社に聞く内容聞かずに進めたときに起きやすいこと
原寸か縮尺か原寸で作るか、1/10などの縮尺で作るか縮尺のデータを原寸と取り違え、10分の1の大きさで出力される
解像度原寸で何dpiあれば足りるかWeb用の小さい写真を引き伸ばして粗くなる
書き出しの形式PDFかai形式か、バージョンの指定開けない・レイアウトが崩れる
フォントアウトライン化が必要か別のフォントに置き換わって文字が崩れる
塗り足し仕上がりの外側に何mm延ばすかカットのずれで端に白い線が出る
CMYKか、企業色の色番号を指定できるか、色見本を出せるか画面の色と出力の色が違い、当日に気づく

原寸で作るか、縮尺で作るか

壁面のデータは、原寸(幅2,970mm×高さ2,700mmなど)で作るか、1/10のような縮尺で作るかのどちらかです。原寸で作れる場合はそのほうが行き違いが少ないですが、ソフトの上限で原寸にできないときは縮尺で作り、データの中に「1/10で作成」と明記します。

どちらで作るかは、印刷会社の指定に合わせてください。縮尺で作ったデータを原寸のつもりで送ると、出力が10分の1の大きさで上がってきて作り直しになります。

解像度

壁面のような大きな出力は、手元で読む印刷物ほどの解像度は要りません。通路の向こうから見るものなので、原寸で100〜150dpi程度あれば足りることが多いです(印刷会社の指定が優先です)。

問題になるのは、Webサイトやプレゼン資料から持ってきた写真です。画面用の写真は小さいので、壁面いっぱいに引き伸ばすと粗くなります。写真は撮影時の元データ(できるだけ大きいサイズのもの)を探しておいてください。見つからない場合は、写真を小さく使うか、色面と文字を主役にした構成に変えたほうがきれいに仕上がります。

書き出しの形式とフォント

一般的には PDF か Illustrator の形式で入稿することが多いです。文字はアウトライン化(文字を図形に変換すること)して、フォントの置き換わりを防ぎます。アウトライン化すると後から文字が直せないので、直す可能性がある間はアウトライン前のデータも手元に残しておきます。

ロゴは、画像の貼り付けではなくベクターの元データ(ai形式など)を使うと、どれだけ拡大してもきれいです。ロゴの元データが社内のどこにあるか、早めに探しておくと後が楽になります。

塗り足しと色

塗り足しは、仕上がりの寸法より外側に数mmから数十mm、絵柄を延ばしておく余白のことです。カットのずれで端に白が出るのを防ぐためのもので、必要な幅は素材と加工で変わります。印刷会社の指定に合わせてください。

色は、画面で見た色と印刷の色が同じにならないのが前提です。企業色を正確に出したい場合は、色番号(DICやPANTONEなど)を伝え、可能なら小さな色見本を先に出してもらうと、当日に「思っていた色と違う」となる場面が減ります。

ここまでの項目を、壁面ごとに書き込んで印刷会社・デザイン会社・施工会社に渡せるシートにしました。

床はどうする?パンチカーペット・タイルカーペット・フロアグラフィック

床は、パンチカーペットを敷くのが一番手軽で、色を変えるだけで通路との境目ができます。壁面ほど目立ちませんが、床が会場のコンクリートのままだと、壁をどれだけきれいにしても「区画」の印象が残ります。

床の作り方は主に3つです。

  • パンチカーペット: 繊維を針で刺し固めたフェルト状のカーペットで、カッターで切れて軽く、色の種類が多いです。1小間から大きな島型の小間まで、一番使われる床材です
  • タイルカーペット: 50cm角などのタイル状のカーペットで、厚みがあり足ざわりが良く、商談スペースの床に向きます。パンチカーペットより重く、費用も上がりやすいです
  • フロアグラフィック: 床用の印刷シートで、足元に製品写真や誘導の矢印を出せます。滑り止めのラミネートが必要で、貼る面積が広いほど手間がかかります

固定のしかたは会場の決まりに従ってください。たとえば国際航空宇宙展の装飾規定(主催者事務局が定めたもの)では、小間内の床にカーペット類を敷く場合はすべて弱粘着性の両面テープで固定することになっています(出典:国際航空宇宙展2018 装飾規定・2026年9月15日確認)。床に跡が残る強いテープを使うと、原状回復の費用を請求されることがあるので、テープの種類まで施工会社と合わせてください。

床のカーペットは、後で書く防炎の対象でもあります。カーペットを敷いたら防炎ラベルが見える位置にあるか、設営の最後に確認する項目に入れておくと安心です。

私たちが施工した実例では、マリンメッセ福岡での展示会ブース(両面LEDビジョン施工)で、LEDビジョンの組み上げと合わせてパンチカーペットの敷設と木工造作まで一括で対応しています。床と壁と映像を一つの会社で段取りすると、色や寸法を合わせやすいのが利点です。

防炎と会場の壁面規程

展示会場では、カーテンや布の幕・カーペット・展示用の合板などに「防炎性能のあるもの」を使うことが消防法で決まっています。壁面と床に使う素材を決めるときは、その素材が防炎の対象に入るかを最初に確認してください。

根拠は消防法第8条の3です。消防庁の資料によると、百貨店やマーケットなどの物品販売店舗と展示場は防炎規制の対象になる防火対象物で、防炎の対象となる物品はカーテン、布製ブラインド、暗幕、じゅうたん等、展示用の合板、どん帳などの舞台で使う幕、工事用シートです。「じゅうたん等」にはニードルパンチカーペット・人工芝・合成樹脂製の床シートが含まれ、「展示用の合板」は展示用パネル・掲示板・バックボード・仕切用パネルに使う合板を指します(出典:消防庁「防炎の知識と実際」(防炎普及用資料)・2026年9月15日確認)。

壁面装飾に当てはめると、タペストリーの布や幕、木工壁に使う合板、床のパンチカーペットが対象です。会場によってはさらに広く求められます。

壁面・床に使う素材消防法の防炎対象に入るか発注時に確認すること
タペストリー(布・ターポリン)入る(壁に沿って下げる布・装飾幕)防炎品の生地か、物品ラベルが付いて納品されるか
木工壁の合板入る(展示用の合板)防炎合板か、裏面に防炎表示があるか
スチレンパネル法令の列挙には無いが、会場や主催者が防炎性能を求めることが多い(発泡樹脂の板を原則不可とする展示会もある)防炎性能のある板を使えるか、主催者と会場に確認
出力シート(塩ビ)法令の列挙には無いが、貼る下地と合わせて会場に確認会場のガイドラインの扱い、貼る下地が防炎品か
パンチカーペット入る(じゅうたん等)防炎ラベルの有無と、施工時にラベルを出入口近くに残すこと

東京ビッグサイトの防災ガイドラインでは、「装飾のために壁等に沿って下げられる布製のもの」「布製の装飾幕」「合板で台やバックスクリーン、仕切りに使われているもの」などが防炎処理の必要な物品として挙がり、それ以外の装飾品にも防炎性能のあるものを使うよう求めています(出典:東京ビッグサイト「防災ガイドライン」(令和7年3月18日施行)・2026年9月15日確認)。

防炎性能があることを示すのが防炎ラベルです。日本防炎協会の説明では、防炎ラベルを付けられるのは消防庁長官に登録された「登録表示者」だけで、ラベルには完成品に付ける「物品ラベル」と加工前の材料に付ける「材料ラベル」の2種類があります(出典:日本防炎協会「防炎表示と防炎ラベル」・2026年9月15日確認)。

ラベルは「付いている」だけでは足りず、「見える位置にある」ことが求められます。東京ビッグサイトのガイドラインでは、施工したカーペット類の防炎ラベルは簡単にはがれないように主要な出入口の近くに付け、色違いを含めて2種類以上使う場合は種類ごとに付けること、合板は表面のラベルだけでは不十分なので裏面に表示のあるものを使うこと、施工後もラベルが確認できるようにすることが書かれています(出典:前出の東京ビッグサイト「防災ガイドライン」)。

主催者のマニュアルにも防炎の項があります。JECA FAIR 2026 のマニュアルでは、装飾資材は必ず防炎性能のあるものを使い、防炎表示を一つ一つ見やすい位置に付けること、防炎合板の表面に貼る壁紙は全面密着させる場合以外は防炎性能のあるものを使うこと、会場で防炎加工はできないこと、発泡スチロールなどは防炎性能を得ることが難しいため原則として使えないことが定められています(出典:前出の JECA FAIR 2026 出展者マニュアル)。スチレンパネルも発泡樹脂の板なので、こうした規定のある展示会では、防炎性能のある板を使えるかを主催者に先に確認してください。

私も若い頃、防炎ラベルの付いていないカーペットが搬入されてきて、設営日の朝に手配し直したことがあります。素材を決める段階で「防炎品か・ラベルはどこに付くか」を印刷会社と施工会社に聞いておけば、この手戻りは防げるはずです。

高さ制限と、隣の小間に向く面の処理

壁面の高さと、隣の小間に向く面の処理も、主催者マニュアルで決まっています。壁面を2.7mより高く作る予定があるなら、素材より先にここを確認してください。

JECA FAIR 2026 の例では、横並びの小間で1小間の場合は装飾の高さが2.7m以下、2小間以上なら4m以下で、2.7m以上の装飾をするときは通路と隣接小間との境界線から1mのセットバックが必要です。さらに、2.7m以上の高さの背面に社名や製品名を表示することはできず、隣接する小間が1小間の場合はその方向にも表示できません(出典:前出の JECA FAIR 2026 出展者マニュアル)。

国際航空宇宙展の装飾規定では、主催者が施工する2.7mのシステムパネルを超える装飾を行う場合、装飾物の隣接小間側の面は無地の白色系(アイボリー等)に処理すること、隣接小間から1.0m以内で高さが2.7mを超える場合は隣接小間側に社名等のサインを出せないことが定められています(出典:前出の国際航空宇宙展2018 装飾規定)。

つまり、高い壁の裏側は「白い面」として作る必要があり、その白い面の分も素材と費用に入ってきます。パネルの面に穴を開けたり釘を打ったりする加工が原則禁止という点も両方のマニュアルに共通していて、パネルを傷めた場合の補修費用を請求する規定を置く展示会もあります。

締切の逆算|主催者への図面提出が、入稿より先に来る

壁面装飾の締切で見落としやすいのは、印刷会社への入稿より前に、主催者への装飾図面の提出期限が来ることです。壁面のデザインが決まっていないと、この図面が描けません。

主催者の締切は展示会で違いますが、JECA FAIR 2026(会期2026年5月27〜29日)の例では、装飾図面届(平面図・立面図)、装飾業者届、装飾物の高さ制限解除の申請がいずれも3月27日で、会期の2か月前です。立面図には通路面の装飾物と展示品の高さを明記し、2.7mを超える装飾物は各方面のサイン計画まで書くことになっています(出典:前出の JECA FAIR 2026 出展者マニュアル)。

印刷会社への入稿は、この図面提出のあとに来ます。出力と加工にかかる日数は素材と数量で変わり、会期の2〜3週間前を締切にしている印刷会社が多い印象です。ただしここは会社ごとに違うので、見積りの段階で「データはいつまでにもらえれば間に合うか」を聞いて、その日付を基準に逆算してください。

逆算の順番を、会期から遡って書くと次のようになります。

時期の目安やること
会期の3か月前までブースの図面を決め、壁面の実寸とパネル割りを施工会社に確認する。素材を4つの中から決める
会期の2か月前まで主催者へ装飾図面を提出する(展示会によって前後する)。壁面のデザインをこの時点で固める
会期の1か月前まで入稿データを完成させ、印刷会社に色見本や試し刷りを依頼する
会期の2〜3週間前まで入稿(印刷会社の指定日が優先)。防炎品の確認とラベルの位置を印刷会社に伝える
会期の1週間前出力の仕上がりを確認し、搬入の荷姿とパネル枚数を施工会社と合わせる
設営日貼り込み・吊り込み。継ぎ目・色・ラベルの位置を確認する

キャンプの撤収と同じで、「暗くなる前に片づけ終わる」時刻から逆算して夕飯の時間が決まりますよね。壁面も「主催者に図面を出す日」から逆算すると、デザインをいつまでに決めるかが自然に決まります。出展準備全体の流れは、展示会ブースの作り方|準備の流れとデザインの決め方にまとめています。

費用は何で動くか

壁面装飾の費用は、主に面積・素材・加工・枚数・設営の手間・データ制作の6つで動きます。相場の金額を探すより、この6つのどこにお金が乗るかを見積りで確かめるほうが、比べやすくなります。

面積は壁面の合計㎡で、1小間なら背面と側面2枚で最大3面分です。素材はこの記事の4つの中でどれを選ぶかで、同じ面積でも変わります。加工はラミネート(表面の保護)、ハトメや縫製、ライナーを剥がす貼り込みの手間などです。

枚数は分割の数で、継ぎ目を減らそうと大きな1枚にすると生地や板の規格に収まらず、かえって高くなることがあります。設営の手間は貼り込みが一番大きく、タペストリーが一番小さいです。データ制作は、デザインを外に頼むかどうかで乗るかどうかが決まります。

安くする順番は、素材を落とす前に「面の数を減らす」ことから考えるのがおすすめです。3面全部を全面装飾せず、通路から見える正面の1面に集中して、側面は無地に近い色面にすると、金額が下がるうえに正面が引き立ちます。ブース全体の費用の内訳と安くする順番は、展示会ブースの費用はいくら?1小間の相場と安くする順番に書きました。

壁面は「貼ること」ではなく「遠くから伝わること」が目的

ここまで素材と仕様の話をしてきましたが、壁面装飾の目的は壁をきれいに覆うことではなく、通路の向こうにいる方に「何の会社か・何が見られるか」が伝わって、足を止めてもらうことです。仕様はそのための手段です。

その視点で見ると、素材の選び方も変わります。通路の向こう5〜10mから見えるのは、大きな文字と色面と写真の「かたまり」で、生地の目や小さな継ぎ目はほとんど見えません。逆に、遠くから読める1行が壁の上のほうに無いブースは、どれだけ仕上げがきれいでも通り過ぎられやすいです。

なので、仕様を決める前に「通路の向こうから読んでほしい1行」を先に決めて、その1行が継ぎ目に掛からず、社名板や照明に隠れず、隣の小間の規制にも触れない位置に置けるかを確かめてください。この順番で決めると、素材とサイズと入稿の判断がかなり決めやすくなります。

壁面に動きを足したいときは、壁の一部をLEDビジョンにする方法もあります。映像を流すためのデータの仕様は、LEDビジョンに流す映像はどう作る?内容の決め方とデータの仕様に別でまとめました。

AGSでお手伝いできること

AGSは展示会ブースの設計・施工を、図面から壁面グラフィックの製作・床の敷設・設営と撤去まで一括で手がけています。LEDビジョンを組み込んだブースの実例は、ものづくりワールド九州 展示ブース設計・施工先進建設・防災・減災技術フェア in 熊本2024 展示ブース施工展示会ブース LEDサイネージ導入の実績ページをご覧ください。

拠点は福岡・博多で、現場は全国に伺っています。見積りは無料で、出展者マニュアルと手描きのラフだけの段階からのご相談も歓迎です。上のシートを埋めていただければ、素材の提案までまとめてお返しできます。

よくある質問

Q. 主催者のシステムパネルに、自分たちで貼っても大丈夫ですか?

軽いポスターや説明パネルを両面テープで貼る程度なら、出展者が自分で貼れる展示会が多いです。ただし壁いっぱいのスチレンパネルや出力シートの貼り込みは、寸法合わせと気泡・シワの処理に慣れが要り、パネルを傷めると補修費を請求される規定を置く展示会もあります。全面装飾は施工会社に頼むのが安全です。

Q. 前回のタペストリーをそのまま使い回せますか?

同じ寸法の壁面なら使えます。確認するのは、壁の実寸とパネル割りが前回と同じか、生地に折りジワや汚れが無いか、防炎ラベルが付いたままかの3点です。展示会が変わるとパネルの幅や高さ制限が変わることがあるので、必ず今回のマニュアルの寸法と照らし合わせてください。

Q. 写真がWebサイトの小さい画像しかありません。壁面に使えますか?

そのまま壁面いっぱいに使うと粗くなります。撮影時の元データを探すのが先で、見つからなければ写真を小さく使うか、色面と大きな文字を主役にした構成に変えるほうがきれいに仕上がるはずです。データを送る前に、印刷会社に「この解像度でこの大きさに使えるか」を確認してもらうと安心です。

Q. 入稿データの作成もお願いできますか?

はい、対応しています。AGSではブースの図面と合わせて、壁面の原寸データの制作も、グループのアディザインと連携してお受けできます。すでにデザイン会社が決まっている場合は、この記事のシートに沿って壁面の実寸・分割・入稿条件をお渡しする形で、データの受け渡しだけをお手伝いすることも可能です。


展示会の壁面装飾は、スチレンパネル貼り・タペストリー・出力シートの貼り込み・木工壁の4つから、見え方と設営時間と再利用と予算で選びます。素材を決めたら、壁の実寸と継ぎ目の位置を先に押さえ、主催者への図面提出の日から逆算して入稿の日を決めてください。上のシートに書き込むところから始めると、印刷会社と施工会社への説明がそのまま一枚で済みます。

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