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オープンイベントの企画|初日より「2回目の来店」をつくる順番と実例

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オープンイベントの企画|初日より「2回目の来店」をつくる順番と実例

お店のオープンイベントは、オープン当日の企画だけで考えず、「開店前に近所の方へ知らせる」「当日に来てもらう」「もう一度来てもらう」の3つをひと続きで組むのがおすすめです。当日の企画は、3つのうちの真ん中にあたります。

オープンの日は、新しいお店ができたというだけで足を運んでもらいやすい日です。難しいのはその後で、日本政策金融公庫総合研究所の「2025年度新規開業実態調査」では、開業して平均1年余りたった事業者が「現在苦労していること」の1位は「顧客・販路の開拓」(48.8%)でした(出典: 日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」(PDF)・2026年9月17日確認)。この調査は公庫の融資先の全業種が対象なので、お店だけの数字ではありませんが、開業時には1位だった「資金繰り」を、時間がたつと「お客さまを増やすこと」が追い抜く並びになっています。

東京のボードゲームカフェ「JELLY JELLY CAFE 八王子店」のオープン企画は、この順番がよく分かる例です。オープンした月は来店当日の特典、翌月は来店した方に500円の割引チケットを配り、そのチケットが使えるのはさらに翌月、という3か月がかりの組み方をしています(出典: JELLY JELLY CAFE 公式サイト・2026年9月17日確認)。

オープン初日の行列はうれしいものですが、お店の目的はその後も通っていただくことだと思います。

この記事では、開店前・当日・開店後の順に、実際のお店がやったことを手軽なものから並べました。オープン景品にかかわる景品表示法の決まりと、行列・のぼり・祝い花など店頭の扱いも、公的な資料で確認しています。イベントの企画と、お店の看板・装飾の制作をしている会社の目線で書きました。すでに営業しているお店の集客企画は集客イベントのアイデア15選に分けています。

オープンイベントの企画は「開店前・当日・開店後」の3つに分ける

オープンイベントは、開店前・当日・開店後の3つの時期に分けて、それぞれの目的に合うものを1〜2個ずつ選ぶと組みやすくなります。全部を当日に詰め込まないのがコツです。

時期ごとの目的と、この記事で紹介する内容を先に一覧にしました。上にあるものほど、道具もお金もかけずに始められます。

時期目的やること人手と費用の目安
開店前近所の方に「何のお店が・いつ開くか」を知ってもらう工事中から店頭とSNSでオープン日を知らせるいつものスタッフ・ほぼ0円
開店前近所の方に顔と店名を覚えてもらうチラシを持って近所にあいさつに行く店主本人・印刷代
開店前本番の前に練習する知らせる範囲を段階的に広げるいつものスタッフ
開店前練習の日に来てほしい方へ確実に伝えるプレオープンは「誰が来てよいか」を書いて案内するいつものスタッフ
開店前お世話になった方へのお披露目関係者を招く日に祝い花の着日を合わせる連絡だけ
当日来るきっかけをつくる先着で看板商品を渡す商品の原価
当日店頭のにぎわい祝い花を持ち帰ってもらう声かけと札1枚
当日次の来店につなげるハズレなしのくじで、景品を自店の食事券やサービス券にする抽選器・景品代
当日地域へのお披露目テープカットや振る舞い進行役と数人・備品代
当日安全と近所への配慮行列ができたときの備え並び列の係1人
開店後もう一度来てもらう期限つきの次回割引券を配る印刷代
開店後3回、4回と通ってもらう回数ごとに特典が変わるカード印刷代・特典の原価
開店後連絡できる相手を増やすLINEの登録は来店の理由とセットで月額は使い方しだい
開店後落ち着いた頃にもう一山1か月後に小さな感謝企画配る物の原価

オープンの日そのものを何にするかだけでなく、「オープンの日の前後90日をどう使うか」で考えると、当日の企画に求めるものが変わってきます。当日は派手でなくても、次に来る理由を1つ持って帰ってもらえれば十分です。

開店前:まず近所の方に「何のお店が、いつ開くか」を知ってもらう

開店前は、歩いて来られる範囲の方に、何のお店がいつ開くかを知らせるところから始めます。お金をかけた広告より先に、店頭・チラシ・あいさつの3つに手を付けてください。

中小企業基盤整備機構が運営するJ-Net21も、飲食店の開業前の集客として、近隣の方へチラシを持ってあいさつに行くことを勧めていて、近隣の方を招いて開店前にイベントを行えば、来店のハードルが下がり、スタッフの練習にもなると書いています(出典: J-Net21「飲食業が開業前にやっておきたい集客販促」・2026年9月17日確認)。

工事中から、店頭とSNSでオープン日を知らせる

一番手軽なのは、工事中のお店の前に「何のお店が・何月何日にオープンするか」を貼り出すことと、SNSで準備の様子を発信することです。工事をしている建物は、近所の方がすでに気にして見ています。

佐賀市のテークアウトスイーツ店「おやつやみみ」の店主は、オープンの約1年前にインスタグラムのアカウントを作り、作ったおやつや試作品を載せてフォロワーを増やしていきました。2020年10月のオープン後は、会ったことのないフォロワーの方からお祝いの花が届き、多くの方が並んで連日1時間ほどで完売したと報じられています(出典: 佐賀経済新聞・2026年9月17日確認)。

SNSで発信するときは、完成した写真だけでなく、試作や内装の途中を見せるほうが向いています。見ている方が、オープンの日を一緒に待ってくれるようになるからです。

店頭に貼る告知は、紙1枚でも十分働きます。オープン日・営業時間・何のお店かの3つを、道路の反対側からでも読める大きさで書いてください。看板がオープンに間に合うなら、看板の種類と頼み方は看板の種類と選び方にまとめています。

チラシを持って、近所にあいさつに行く

次に手軽なのが、チラシのポスティングと近所へのあいさつです。古い方法に見えますが、住宅街のお店で実際に来店につながった例があります。

京都のコーヒーショップ「Laughter」の店主は、2020年のオープン前に、店名・住所・お店の概要を載せたチラシを、自分で近所の家に1軒ずつ配りました。最初は1,000枚ほど用意していたものの、思ったより狭い範囲にしか配れず、追加で発注して約1,500枚を配ったと書かれています。

オープン後は、配ったエリアの方の多くが「チラシを見てきた」と話してくれて、折りたたんだチラシを持って来店された方もいたと書かれています。工事が始まった頃から「あそこに何ができるんだろう」と近所で話題になっていて、チラシで「コーヒー屋さんなんだ」と分かってもらえた、というのが店主の見立てです(出典: note「綴人」・2026年9月17日確認)。

東京・高田馬場の「おすしや太喜」は、さらに踏み込んでいます。出店を決めてからの半年間、店主は包丁研ぎ、卵焼きの試食とすし店についてのアンケート、前売り券の販売、自己紹介を兼ねた開店告知チラシのポスティング、Facebookでの準備の報告を続けて、地域の方とのつながりを作ってから開店しました(出典: 高田馬場経済新聞・2026年9月17日確認)。

チラシに載せるのは、お店の名前と場所、オープン日、何のお店か、そして店主の顔か一言です。配る枚数は、Laughterの例のとおり、思ったより多く要ると見ておいてください。

知らせる範囲を段階的に広げて、練習してから本番を迎える

オープン当日にいきなり満員になると、レジも厨房も回らなくなりがちです。知らせる範囲を少しずつ広げて、来店の数を段階的に増やしていく方法があります。

東京都東大和市のベーグル店「クリカ食堂」は、9月のグランドオープンまでに、告知を4段階に分けました。最初は友人知人にLINEで伝えるだけ、次にFacebookの友人限定とInstagramのフォロワー向け、その次に店頭へ9月のカレンダーを張り出し、グランドオープンの日は個人とお店のSNSすべてで告知する、という順番で進めています。

2段階目でも来店が想定より多く、見学に来ていたアルバイトの方に急きょレジの補助に入ってもらったそうです。グランドオープンの日はプレオープンよりずっとにぎわって、厨房は大混乱だったと店主は書いています。それでも「段階を追ったことで、多少の問題は減らせていたのでは」というのが振り返りです(出典: note「クリカ食堂」・2026年9月17日確認)。

お金はかからず、必要なのは告知の順番を決めることだけです。スタッフが入る日、レジを2台にする日など、体制を増やす日と告知を広げる日を合わせておくと、無理がありません。

プレオープンは「誰が来てよいか」をはっきり書いて案内する

プレオープンをするなら、案内に「どなたでもどうぞ」なのか「ご招待の方だけ」なのかを、はっきり書いてください。ここが曖昧だと、来てほしい方が遠慮してしまうことがあります。

京都のカフェ「ネクタイコーヒー」は、2024年1月のオープン前に1週間のプレオープンをしました。営業時間を10時〜16時に短くし、メニューをドリンクとお菓子に絞って、誰でも来てよいことをインスタグラムで伝えたそうです。

ところが、初日は多くの方が来てくれたものの、その後はお菓子が毎日売れ残っていた、と書かれています。地域の方は「プレオープンは友人だけのもの」と思い、友人のほうは「プレオープンは地域の方のためのもの」と思って、どちらも遠慮していたのが理由でした。店主のご家族は「プレオープンという名前ではなく、短縮営業とか試し営業という名前で始めたら良かった」と振り返っています(出典: note「ネクタイ・ヨメ」・2026年9月17日確認)。

「プレオープン」という言葉は、お店を開く側にはなじみがあっても、来る側には分かりにくい言葉なんですよね。一般の方に来てほしいなら「お試し営業中・どなたでもどうぞ」、招待制にするなら「ご招待の方のみ」と書くだけで、この行き違いは防げます。

関係者を招く日があるなら、祝い花が届く日をその日に合わせる

工事関係者やお世話になった方を招くレセプションをする場合は、祝い花の届く日をレセプションの日に合わせてもらうのがおすすめです。細かい話ですが、実際にやった方の反省が参考になります。

大阪の焼肉店「高麗ガーデン 北花田店」は、2026年6月8日・9日に関係者向けのレセプションを行い、12日にグランドオープンしました。店主は、オープン当日に一番きれいな状態で花を飾りたいと考えて、贈ってくださる方に「12日着で」とお願いしていたそうです。

ところがレセプションの当日に、花を贈った方が自分の花が飾られているところを見られない、と気づきました。次に出店するときは、レセプションに来る方の花は先に届けてもらい、ご自身の目で見てもらえるようにしたい、と書いています(出典: 高麗ガーデン 店主ブログ・2026年9月17日確認)。

「お花は何日に届けたらいいですか」と聞かれたら、その方が来る日を答えるのがよさそうです。

告知の手段ごとの届く相手と締切はイベントの告知方法10選にまとめています。オープン日から逆算して、チラシの入稿日・配る日・SNSの投稿日を1枚に書き込めるシートも用意しました。

当日の企画は、手軽なものから選ぶ

当日の企画は、先着の特典、祝い花、くじ、セレモニーの順に手間が増えていきます。小さなお店なら、上の2つだけでも形になります。

先着で、お店の看板商品を渡す

一番手軽で、しかもお店の紹介になるのが、先着の方に看板商品そのものを渡す企画です。ノベルティを別に作らなくて済み、もらった方は味や品質をその場で知ることができます。

埼玉県春日部市のメロンパン専門店「MELON LAB 豊春店」は、2021年9月のオープンから2日間、先着100人に看板商品の「あのメロンパン」を進呈するとチラシやインスタグラムで案内しました。結果は両日とも300人以上の行列で、初日は10時の開店に対して8時ごろから並び始め、1日で650人以上が来店してメロンパン2,000個が完売しました(出典: 春日部経済新聞・2026年9月17日確認)。

数字は業態と立地で大きく変わるので、同じ結果になるとは限りません。ただ、先着100個という小さな約束でも、オープンの日に来る理由としては十分働くことが分かります。

注意点は、先着の数より多くの方が並んだときの対応です。配り終わったことを列の後ろまで早めに伝える係を1人決めておくと、長く並んだのにもらえなかった、という不満を減らせます。

祝い花は、持ち帰ってもらうと店頭がにぎわう

オープンの日に届く祝い花を、来店された方に持ち帰ってもらう方法もあります。愛知県を中心に、開店の祝い花を近所の方が持ち帰る風習があり、「花がすぐ無くなるのはお店が繁盛している証拠」とされてきました。

東海テレビが2020年に名古屋市内の新しいお店を取材した記事では、オープン当日の寿司店「すし葵」の店主が「(花が無くなると)嬉しいですね、それだけ人が見られたってことになるので」と話しています。同じ記事によると、店頭に飾るスタンド花の発注は全盛期の3割ほどに減っていて、風習を知らない若い方も増えているそうです(出典: 東海テレビ「愛知の伝統文化『開店の祝い花持ち帰り』は絶滅したのか」・2026年9月17日確認)。

この風習になじみのない地域では、花を置いておくだけでは、持ち帰ってよいことが伝わりません。やるなら、スタンド花の横に「お祝いでいただいたお花です。よろしければ1本お持ち帰りください」と札を立てて、スタッフが一言声をかけてください。何時から配るかを決めておけば、贈ってくださった方に飾った状態を見てもらう時間も取れます。

もう1つ気をつけたいのが置き場所です。スタンド花は店頭に置くことが多く、歩道にはみ出しやすいものの1つなので、後半の「店頭の決まり」も見ておいてください。

ハズレなしのくじは、景品を「次に来る理由」にする

くじや抽選会をやるなら、景品をお店の食事券やサービス券にしておくと、当たった方がもう一度来る理由になります。景品を外から買ってくるより原価も抑えられます。

千葉県野田市に2026年8月にオープンした「越後つけ麺維新 野田店」は、開店から3日間、ハズレなしのガラポン抽選会を行うと発表しました。1等はお食事券3,000円分、2等はトッピングパスポート6か月分、3等はお食事券1,000円分またはトッピングパスポート3か月分、4等は餃子一皿無料で、景品は合計500点です(出典: 株式会社サンライズサービス プレスリリース・2026年9月17日確認)。

景品がすべて自店で使えるものになっているのがポイントです。6か月使えるパスポートなら、当たった方は半年のあいだ、このお店を選ぶ理由を持ち続けることになります。

くじの景品には法律の上限があります。後半の「オープン景品と割引の決まり」で確認してから、景品の金額を決めてください。空くじなしにする、景品を見えるところに並べるといった抽選会のコツは、面白いイベント企画のアイデア17選の抽選会の項目にも書きました。

テープカットや振る舞いで、地域へのお披露目にする

人手と場所に余裕があれば、開店の直前にテープカットなどの短いセレモニーをして、地域へのお披露目にする方法があります。地元の方に参加してもらえると、その方のご家族や知り合いも来てくれます。

2015年にセブン‐イレブンが青森県弘前市に初めて出店したときは、開店の15分前にテープカットを行い、弘前市の公式キャラクター「たか丸くん」が駆けつけました。紅白まんじゅう付きの整理券を150枚用意したところ、すぐに配り終わり、開店前には約100人の行列ができました(出典: 弘前経済新聞・2026年9月17日確認)。

商業施設の例では、横浜市の「ブランチ横浜南部市場」が2019年9月のグランドオープンの日に、祝辞と地元キャラクターを招いたテープカットのセレモニーを行い、そのあと広場で来場者に向けて「振る舞い 餅まき」をすると発表しています(出典: 大和リース ニュースリリース(横浜市サイト掲載・PDF)・2026年9月17日確認)。

小さなお店なら、ここまで大がかりにしなくても大丈夫です。開店の5分前に店主があいさつをして、近所の方や家族と一緒にテープを切るだけでも、写真に残るオープンの場面になります。入口まわりをバルーンやフラッグで飾る方法はバルーン装飾のやり方イベントの入口装飾に書きました。

行列ができたときの備えを決めておく

オープンの日に行列ができるかどうかは、やってみないと分かりません。できたときにどうするかだけ、先に決めておいてください。

実際に行列ができたお店の対応を3つ紹介します。東京・不動前のベーグル店「BAGEL CHECK」は、2023年4月のオープン初日から開店待ちの行列ができて、13時前後には完売する日が続きました。「並んでも買えなかった」という声を受けて、2日目から1人が買える個数に制限を設け、来店が落ち着いたらなくす見通しだと報じられています(出典: 品川経済新聞・2026年9月17日確認)。

広島駅ビル「ミナモア」は、2025年3月のグランドオープン当日、開店前に約400人が並んだため、混雑の緩和と安全を考えて開店時間を1時間早めました(出典: 広島経済新聞・2026年9月17日確認)。

当日の作業を前に出しておく方法もあります。スーパーのオーケー高井田店(大阪府東大阪市)は、オープン日の混雑を少しでも減らそうと、1週間前から店舗の入口で会員カードの事前発行を受け付け、オープン前に約3,000人がカードを作りました(出典: 東大阪経済新聞・2026年9月17日確認)。

規模は違っても、小さなお店で使える考え方は同じです。

備え決めておくこと
並ぶ場所列を店の敷地の中か建物沿いに作り、隣のお店の入口と歩道の真ん中をふさがない向きにする
買える数作れる量に限りがあるなら、最初から「お1人◯個まで」を決めておく
売り切れの知らせ方売り切れそうな時点で、列の後ろとSNSに知らせる係を決める
会計当日の登録や説明に時間がかかるもの(会員カード・アプリ)は、前日までに済ませられるようにする
近所へのあいさつ両隣と向かいのお店・お宅には、オープン日と混雑の可能性を事前に伝えておく
新しくオープンしたお店の入口で、スタッフが先着の記念品を手渡している様子

オープン景品と割引の決まり(景品表示法)

オープン記念の景品には景品表示法の上限がありますが、新規オープンの「開店披露」で配る物には、もれなく配る景品の上限が適用されない扱いがあります。ただしリニューアルオープンは原則として対象外なので、注意してください。

消費者庁の「景品に関するQ&A」をもとに、オープンのときによく出てくる場面を整理しました。

やりたいこと扱い
購入を条件にせず、来店した方全員に記念品を配る通常は取引の価額を100円とみなし、景品は200円まで。お店の一番安い商品が100円を超えるなら、その額を基準にできる(基準の額が1,000円以上なら、その2割まで)
先着◯名に配る抽選ではないので、「もれなく配る景品(総付景品)」と同じ扱い
新規オープンの記念として配る「開店披露」にあたり、正常な商慣習の範囲なら上の上限は適用されない
改装で休んだ後のリニューアルオープンで配る休業が長期にわたったなど、新規の開店と同じとみなせる場合を除いて、通常の上限が適用される
「◯円以上お買い上げの方だけ」など条件を重ねて配る開店披露でも、極めて限定的な配り方は認められにくく、通常の上限が適用される
購入を条件にせず、来店した方を対象に抽選をする通常は取引の価額を100円とみなし、景品の最高額は20倍の2,000円まで。お店の一番安い商品が100円を超えるなら、その額の20倍(上限10万円)まで。景品の総額は、期間中の売上予定総額の2%以内
自店で使える割引券を配る妥当な範囲の割引券は値引きにあたり、景品の規制は適用されない
「ドリンク1杯無料券」など特定の商品と引き換える券を配る割引券ではなく景品として扱われ、もれなく配る景品の上限の対象になる

(出典: 消費者庁「景品に関するQ&A 総付景品について」のQ109・Q111・Q112・Q127、同「一般懸賞について」のQ88、同「景品類とは」のQ11・いずれも2026年9月17日確認)

表は要点だけを抜き出したものです。「正常な商慣習の範囲」に入るかどうかは配る物と配り方で変わるので、高額な記念品や大がかりな抽選を考えている場合は、企画を固める前に消費者庁のQ&Aの原文を読むか、消費者庁や都道府県の景品表示法の相談窓口に確認してください。

購入金額に応じた抽選や、商店街で一緒にやる抽選の上限は、集客イベントのアイデア15選の景品表示法の章に書いています。

店頭の決まり:行列・のぼり・祝い花を歩道に出すとき

のぼり旗・置き看板・スタンド花を置いてよいのは、お店の敷地の中です。歩道などの道路に許可なくはみ出して置くことは、オープンの日だけであっても認められていません。

福岡市は、歩道上に商店などの置き看板やのぼりを置くことは道路法違反になり、各区役所が設置した方に撤去の指導をしていると案内しています(出典: 福岡市「歩道上の置き看板やのぼりを撤去してください。」・2026年9月17日確認)。道路法は全国共通の法律なので、ほかの地域でも考え方は同じです。

道路の上で何かをする場合は、警察署長の道路使用許可が必要になります。警察庁の案内では、道路に広告板やアーチなどの工作物を設ける行為、場所を移動しないで道路に露店や屋台を出す行為、道路で祭礼行事などをする行為が許可の対象に挙げられていて、申請先はその場所を管轄する警察署です。内容によっては、道路管理者の道路占用許可もあわせて必要になります(出典: 警察庁「道路使用許可の概要、申請手続等」・2026年9月17日確認)。

なので、オープンの日に店の前の歩道でセレモニーや振る舞い、キッチンカーの出店をしたいときは、早めに管轄の警察署に相談してください。お店の敷地や駐車場の中で収まる形にできれば、この手続きは要りません。

行列についても、歩道の真ん中や隣のお店の前をふさがない並び方を、先に決めておくと安心です。商業施設やビルのテナントなら、共用部に物を置いたり列を作ったりできるかは、施設の管理会社の決まりが先にあります。オープン日が決まった時点で、管理会社に確認しておいてください。

開店後:もう一度来てもらう仕掛けは、オープンの日に仕込む

2回目の来店のきっかけは、オープンの日に来てくれた方へ、その場で渡しておくのがおすすめです。その場で渡せば、後から連絡する手段がない方にも届きます。

期限つきの次回割引券を配る

一番手軽なのは、次回の来店で使える割引券です。期限を付けておくと、「そのうち行こう」が「今月中に行こう」に変わります。

冒頭で紹介したJELLY JELLY CAFE 八王子店は、2026年9月19日のグランドオープンにあわせて、10月1日〜31日に来店した方へ500円の割引チケットを配り、使える期間を11月1日〜30日にしています。オープンの月に来た方を翌月にもう一度、さらにその翌月にもう一度、という流れを作る設計です(前掲・JELLY JELLY CAFE 公式サイト)。

リニューアルオープンの例もあります。新潟市の「フルマチコーヒー。by SUZUKI COFFEE」は、2026年4月のリニューアルオープンで4日間の記念イベントを行い、各日先着50名にドリップバッグと次回から使える割引券を配りました(出典: ガタチラ・2026年9月17日確認)。持ち帰ったドリップバッグを家で飲んで、気に入ったら割引券を持ってまた来る、という流れになっています。

上の表のとおり、自店で使える妥当な範囲の割引券は値引きの扱いで、景品の上限は適用されません。オープンの特典を「その日の値引き」だけにせず、一部を「次回の値引き」に回すと考えると、費用を増やさずに始められます。

来店の回数ごとに特典が変わるカードを渡す

2回目だけでなく、3回、4回と通ってもらいたいなら、回数ごとに特典が変わるカードが向いています。

那覇市に2026年7月にオープンした飲食店「MOO-MOO SPARK」は、オープンから7月31日までの初回来店でOPEN記念スタンプカードを配りました。2回目の来店でデザート無料、4回目で会計から500円引き、6回目でトッピング1品無料、8回目でドリンク1杯無料、10回目で国産牛ランプステーキ(150g)無料、という内容です(出典: 沖縄タイムス+プラス(運営会社のプレスリリース)・2026年9月17日確認)。

最初の特典を2回目の来店に置いているのが大事なところです。10回ためて初めて特典が出るカードだと、特典までが遠く、財布の奥にしまわれたままになりやすいと思います。

なお、「デザート無料」「ドリンク1杯無料」のように特定の商品と引き換える特典は、割引券と違って景品として扱われます。金額の上限は上の章で確認してください。

LINEの登録は、来店の理由になるものとセットにする

LINE公式アカウントなどの登録は、ただお願いするより、ショップカードのように来店の理由になる機能とセットにしたほうが増えやすいようです。

LINEヤフーの事例ページに、ラーメン店「中華そば紅」の声が載っています。オープン当初は限定メニューのお知らせ用にLINEの友だちを募っていたものの、1年で100名程度でした。オープン1年の記念をきっかけにショップカードとリッチメニューを使うようになると、そこから1年もたたずに新たに200名以上増えたと書かれています(出典: LINEヤフー for Business「飲食店の活用事例」・2026年9月17日確認)。

お店の側から見ると、登録してくれた方は「次の企画を直接知らせることができる相手」になります。オープンの日に登録をお願いするなら、レジの横にQRコードを置くだけでなく、「登録でカードのスタンプ1個」のように、その場で得になることを添えてください。

1か月後に、小さな感謝企画をもう一度やる

オープン直後のにぎわいは、いつか落ち着きます。落ち着いた頃に、小さな企画をもう1回入れておく手があります。

埼玉県本庄市の「万代書店本庄店/クレゲ倉庫本庄店」は、2025年6月のオープンから1か月後の7月5日に「1ヶ月オープン感謝記念イベント」を行いました。内容は、10時〜11時の1時間限定で、来店した方全員に乳飲料を1本プレゼントするというものです(出典: 同店公式サイト・2026年9月17日確認)。

大きな企画である必要はなくて、「1か月たちました。ありがとうございます」と伝える理由があれば成り立ちます。オープンの日に次回割引券を配るなら、その期限をこの日に重ねておくと、2回目の来店が1つの日に集まって、お店の前にもう一度にぎわいが出ます。

業者に頼む範囲と、自分たちでやる範囲

告知・先着の特典・割引券・カードは、お店の方だけで十分できます。業者に頼むのは、看板と店頭のサイン、入口まわりの装飾、チラシやカードの制作、セレモニーの進行と備品のあたりです。

分け方の目安は「その日だけのものか、オープン後も残るものか」で考えてみてください。看板や店頭のサインはオープン後もずっとお店の顔になるので、ここにお金をかけて、オープンの日に間に合わせるのが先になります。当日だけの装飾やセレモニーは、その後で予算と相談して決めてください。

看板は、内容を決めてから取り付けまでに日数がかかります。内装工事の終わりが見えてから頼むと、オープンの日に看板がない、ということが起きやすいです。内装工事と並行して進める段取りは店舗の内装工事の流れも参考にしてください。

AGSでお手伝いできること

AGSは、イベントの企画・制作・施工と、お店の看板・装飾・販促物の制作をしている会社です。お店づくりの仕事では、いーすと様の新規店舗の自立看板グラッチェ様の店舗外装・看板・タペストリー「キンギンハイBEACH」様の店舗外装・内装装飾などを手がけてきました。

オープンにあわせた企画と当日の進行看板・店頭サイン入口や店内の装飾チラシ・カード・のぼりなどの販促ツールを、まとめてご相談いただけます。拠点は福岡・博多ですが、現場は全国に伺っていて、見積りは無料です。オープン日がまだ決まっていない段階でも、お気軽に声をかけてください。

よくある質問

Q. オープンイベントの準備は、いつから始めればいいですか?

オープン日が決まったら、その日から逆算して始めてください。店頭の貼り紙とSNSは工事中から始められます。この記事で紹介したお店では、関係者向けのレセプションがグランドオープンの3〜4日前、プレオープンが1週間前からで、告知を段階的に広げたお店は2〜3週間前から始めていました。看板やチラシは制作に日数がかかるので、内装工事と並行して早めに頼んでおくと安心できます。

Q. オープン記念の割引セールは、景品表示法の上限にかかりますか?

妥当な範囲の値引きや、自店で使える割引券は、値引きの扱いになり、景品の上限は適用されません。上限が関係するのは、記念品や無料の引換券のような「おまけ」を付ける場合です。どちらに当たるか迷う特典は、本文の表と消費者庁のQ&Aで確かめてください。

Q. リニューアルオープンでも、新規オープンと同じ企画でいいですか?

企画の組み方は同じですが、違いが2つあります。1つは景品で、改装後のリニューアルオープンは原則として「開店披露」の扱いにならず、もれなく配る景品には通常の上限が適用されます。もう1つは相手で、以前から通ってくださっていた方に休業と再開を知らせるのが最初の仕事になります。休業前に、再開日を書いたカードや次回割引券を渡しておくのがおすすめです。

Q. 予算がほとんどない場合、何を優先すればいいですか?

店頭の貼り紙、近所へのチラシとあいさつ、期限つきの次回割引券の3つを優先してください。かかるのはほぼ印刷代だけです。この記事で紹介したコーヒーショップの例のように、店主が自分で配った約1,500枚のチラシが、近所の方の来店につながった例もあります。


オープンの日は、お店にとって1回きりの日です。それでも、企画のゴールはその日に何人来たかより、来てくれた方が次にいつ来てくれるかに置いたほうが、後が楽になると思います。

まずはオープン日を起点に、開店前・当日・開店後のそれぞれで1つずつ、やることを決めてみてください。3つそろえば、オープンイベントの骨組みはもうできています!

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