物件の内見を終えて、頭の中はもうオープン当日。でも内装工事って、いつ誰に頼んで、どれくらいかかるものなのか。初めての開業だと、そこが真っ暗ですよね。
店舗の内装工事は、「物件の確認 → 設計・見積り → 契約・着工 → 検査・引き渡し」の順で進みます。期間は規模や工事内容で変わりますが、設計の開始からオープンまで2〜4ヶ月ほど見ておく計画が多いでしょう。
そして、ここが意外に思われるところです。内装の成否をいちばん左右するのは、工事中ではありません。物件を契約する前の確認です。
初めて開業・改装する方に向けて、内装工事の流れと期間の目安、見落としやすいポイントを、内装の施工を手がける立場から整理します。
店舗の内装工事はどう進む?全体の流れと期間の目安
全体は5ステップ。順番は、どんな店でもほぼ変わりません。
| 工程 | やること | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 1. 物件の確認 | 内見・設備と工事条件の確認(契約前) | 物件探しと並行 |
| 2. 設計・デザイン | コンセプト・レイアウト・仕上げを決める | 2週間〜1ヶ月程度 |
| 3. 見積り・契約 | 内容と金額を確定する | 1〜2週間程度 |
| 4. 施工 | 解体・造作・設備・仕上げ | 2週間〜1ヶ月半程度 |
| 5. 検査・引き渡し | 施主検査・是正・引き渡し | 数日〜1週間程度 |
表の期間は小規模な店舗の目安です。規模や工事内容、ビルの条件で前後しますし、後で触れますが、資材の入荷のような外からの事情で延びることもあります。
もうひとつ。引き渡し=オープンできる、ではないんです。厨房機器や什器の搬入、備品の準備、スタッフのトレーニングがその後に続きます。オープン日は引き渡しの直後に置かず、数日から1週間の余裕を挟んでください。ここを詰めた計画は、たいてい後で苦しくなります。
契約前の物件確認が、内装のいちばんの分かれ目
工事の話は契約してから、と思いますよね。実際には、契約前の確認で内装費の大枠が決まってしまいます。
テントを張る前に地面を見るのと同じです。傾きや石に気づかずに張ると、あとからどれだけ道具を足しても快適にはなりません。
見るのは、主にこの3つです。
- 居抜きかスケルトンか:前の店の内装・設備が残る居抜きは初期費用を抑えやすい一方、設備の状態次第では撤去や入れ替えでかえって高くつくこともあります(両者の違いと見極め方はスケルトン物件の内装工事の記事へ)
- インフラの容量:電気の容量、ガス、給排水の位置と径。とくに飲食店は排気(ダクト)の経路が確保できるかが大きな分かれ目です
- 建物のルール:工事ができる時間帯、搬入経路、看板を出せる位置と大きさ。ビルやテナント区画ごとに規程があります
どれも、図面を眺めているだけでは判断がつきません。候補が絞れた段階で、内装業者を内見に連れて行ってください。契約後に「排気が通らない」「電気が足りない」と分かっても、打てる手はほとんど残っていないんです。

設計・見積りで決めること
設計の順番は決まっています。コンセプト(誰に来てほしい店か)→ レイアウト(客席・動線・厨房やバックヤードの配分)→ 仕上げ(床・壁・天井の素材、照明、什器)。この順で固めます。
素材や色から入りたくなる気持ちは、よく分かります。いちばん楽しいところですから。ただ、レイアウトが動くたびに仕上げの検討は全部やり直しになるので、順番だけは守ってください。
見積りの比較で見るべきは、合計金額よりも「一式」と書かれた項目の中身です。同じ「内装工事一式」でも、照明器具や什器、看板が含まれているかどうかで比較の前提がまるで違います。含まれていないものを一覧にしてもらってください。後からの追加費用は、だいたいここから生まれます。
それと、外から見える看板は集客に直結する要素です。内装と看板を別々の会社に頼むとデザインのトーンがずれやすいので、看板のデザイン・製作・施工までまとめて相談できる会社だと調整が楽になります。どんな種類があって、どう進むのかは看板の種類と選び方にまとめました。
飲食店・美容室は許可とレイアウトの関係に注意
業種によっては、工事の前に確認しておくべき行政の許可・届出があります。飲食店なら保健所の営業許可です。
食品衛生法に基づく営業許可の申請先は、店舗の所在地を管轄する保健所です(出典:福岡市「食品関係の営業許可・営業届出について」・2026年8月21日確認。制度全体は厚生労働省の営業規制のページにまとまっています)。
飲食店のほかにも、美容室の開設届のように保健所への手続きが必要な業種があります。開業予定の業種の手続きは、自治体の窓口で早めに確認しておいてください。業種ごとに何が変わるのかは、業種別の店舗内装のポイント|飲食店・美容室・物販の違いで設備と手続きの両面から整理しています。飲食店の業態ごとの違いは飲食店の内装の記事、美容室の設備と検査までの段取りは美容室の内装の記事でさらに掘り下げました。
ここで気をつけたいのが、許可の要件はレイアウトと結びついている、ということです。手洗い設備の位置や厨房の区画など、施設側の基準を満たさないと許可が下りません。完成してからの手直しは、費用も時間も倍かかる感覚です。
だから、設計の段階で管轄の保健所に図面を見てもらう段取りを組み込んでおく。申請や検査の日程も、オープン日から逆算して先に押さえておく。これだけで直前の慌ただしさがだいぶ減ります。
施工の現場から見た、見落とされやすい4つのポイント
1つ目は、居抜き設備の「使えるか」です。 厨房機器や空調は、見た目がきれいでも内部の傷みは分かりません。譲り受けてから故障が見つかると、撤去と入れ替えの二重の費用になってしまいます。居抜きを検討するなら、設備の状態確認までを契約前に済ませておきたいところです。
2つ目は、工事時間の制約です。 商業ビルやテナントでは、騒音の出る工事が夜間や休館日に限られることがあります。同じ工事内容でも、日中に進められる路面店とは工期が変わってくるわけです。スケジュールを引く前に、建物側の工事ルールを確認してください。
3つ目は、資材が入ってこないことによる遅れです。 工期が延びる原因として、現場で実際に多いのがこれです。ウクライナの戦争の影響で材料が届かず、工事を待つしかなかった現場が実際にありました。国際情勢で起きる遅れは、業者にも施主にも止められません。
止められない雨と同じです。できるのは、雨具を用意しておくことの方。工期に余裕を持たせる、代わりの材料を提案できる業者を選ぶ、遅れたときの扱いを契約のときに話しておく。この3つで、遅れが出ても計画は立て直せます。
4つ目は、解体後に出てくる追加工事です。 既存の壁や床を剥がして初めて、下地の傷みや配管の劣化が見つかることがあります。予算は見積り額ちょうどではなく、ある程度の予備費を持たせた計画にしておくと、途中の判断が楽になります。

費用はどう考えればいい?
店舗の内装費は、おおまかに「広さ × 仕上げのグレード × 設備工事の量」で決まります。
同じ広さでも、居抜きで設備を活かす場合とスケルトンから作る場合、物販店と飲食店とでは金額の桁が変わることもあります。だから、坪単価の相場だけで予算を組むのは危ないんです。
坪単価の目安と費用の内訳、抑え方のコツは店舗の内装費用の相場の記事に詳しくまとめました。物件の図面と「やりたい店のイメージ」を持って、早めに見積りを取るのが近道でしょう。
AGSは内装仕上工事業の建設業許可(福岡県知事許可(般-30)第112032号)を持ち、店舗・オフィスの内外装をデザイン提案から施工まで手がけています。オフィスや店舗の内装施工の実例は制作実績でご覧いただけます。見積りは無料です。事務所の内装は、レイアウトの決め方も工事の進め方も店舗とは少し違うので、オフィスの内装工事の進め方を別にまとめています。
よくある質問
Q. 居抜きとスケルトン、どちらが安く済みますか?
一般には、設備や内装を流用できる居抜きの方が初期費用を抑えやすいといえます。ただし設備の状態が悪いと撤去・入れ替えで逆転することもあるため、「居抜きだから安い」と決めつけず、契約前に状態を確認するのが確実です。
Q. 工事が予定どおり終わらないこともありますか?
あります。解体後に追加工事が見つかるほか、資材の入荷遅れのような外部要因で延びることもあります。引き渡しとオープンの間に余裕を挟み、遅れたときの扱いを契約時に業者と話しておくと、計画を立て直しやすくなります。
Q. 営業を続けながらの改装はできますか?
内容によっては可能です。定休日や夜間に工事を分割して進める方法がありますが、通常より工期は延びやすくなります。休業とどちらが得かも含めてご相談ください。
Q. デザインだけ、工事だけの依頼もできますか?
設計から施工まで一括のご依頼はもちろん、工事のみなど一部だけのご依頼もご相談いただけます。
Q. 福岡以外の店舗でも対応できますか?
対応しています。拠点は福岡・博多ですが、現場は全国です。
店舗の内装は、オープン後に毎日使い続ける「商売の道具」です。デザインの好みだけで決めず、契約前の確認・許可との整合・オープンからの逆算まで段取りに入れておけば、工事は思ったよりすんなり進みます。まずは候補物件の図面を手に、気軽に相談から始めてみてください。
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