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展示会ブースのデザイン|1小間のレイアウトと造作の選び方

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展示会ブースのデザイン|1小間のレイアウトと造作の選び方

1小間、間口はおよそ3メートル。区画図を眺めながら、受付カウンターと商談テーブルと展示台を並べてみたら、人の立つ場所がなくなった。この計算、出展担当になった方はだいたい一度やっています。

小さい小間は、置きたいものを並べる順番で考えるとまず入りません。先に決めるのは9平方メートルの配分で、そのあとに、システムパネル(規格の部材を組み立てる作り方)でいくか、木工造作(合板などで一から作る作り方)でいくかを選びます。

この記事では、1小間のレイアウト、造作の選び方、小間の位置ごとの開き方、高さの使い方、そして図面やパースを見るときのポイントを、ブースの設計・施工をしている立場から整理しました。出展が決まってから会期までの段取りは、展示会ブースの作り方にまとめています。

展示会ブースのデザインは、絵ではなく間取りから

ブースのデザインを決める作業は、きれいな絵を選ぶことではありません。9平方メートルの間取りを決めることです。

デザインが上がってきた瞬間のパースは、たいてい格好よく見えます。ただ、会期中にじわじわ効いてくる問題——荷物の置き場がない、二組目のお客さんを待たせる場所がない、スタッフが通路に出っぱなし——は、絵からは読み取れません。

決める順番はこうなります。①小間の位置と通路の向きを確認する ②置くものと、その面積を決める ③壁と天井をどう作るかを決める ④仕上げと見せ方を決める。

色や素材の話は、いちばん最後で間に合います。④の段に進んだら、壁面グラフィック・照明・床材といった見せ方の手法を展示会ブースの装飾アイデアにまとめているので、そちらをどうぞ。

1小間(3m×3m)のレイアウト — 面積の配分から決める

多くの展示会で、1小間は3m×3m。畳にすればおよそ5畳半で、置きたいものを無理なく収められるのは2つ、多くて3つでしょう。

基準になる小間のサイズは主催者が決めています。3m×3mが一般的ですが、4m×4m、2.7m×2.7m、3m×2mを基準とする展示会もあります(出典:経済産業省「展示会産業概論」2014年・2026年8月28日確認)。

まずは出展規程で、自分の小間の実寸を確かめてください。

そのうえで、置きたいものが何平方メートルを食うかを並べてみます。数字は一般的な什器・家具の寸法から逆算した目安で、実際は選ぶ什器で前後します。

置くもの占める広さの目安1小間での扱い
受付カウンター間口1.5〜2m × 奥行0.5m前後通路側の真ん中に置くと入口が塞がる。端に寄せる
商談テーブル(2人掛け)2m × 2m前後これだけで小間の面積の半分近くになる
展示台・製品製品のサイズ + 見る人が立つ0.6m前後奥行きを取るのは製品より人の側
荷物・在庫置き場0.9m × 0.9m前後から決めておかないと、足元が段ボール置き場になる
スタッフの立ち位置1人あたり0.5m四方程度3人立つと、来場者の入る余地が消える

1小間で決めるのは、何を置くかではなく、何を置かないかです。

受付・商談・展示・荷物置き場の4つを9平方メートルに詰めると、どれも中途半端に終わります。名刺を集めたいなら商談テーブルを捨ててカウンターを長くする。製品をじっくり見せたいなら展示台に面積を寄せ、立ち話は通路側で済ませる。

捨てる決断が先で、レイアウトはその後からついてきます。何のために出展するのかの決め方そのものは、展示会ブースの作り方で扱いました。

面積の計算から抜け落ちやすいのが、荷物です。カタログの予備、ノベルティの箱、スタッフの上着とカバン。会期2日目の午後、これが全部足元に出ているブースは会場でよく見かけます。

カウンターの下を収納にするか、隅に0.9m四方の物入れを立てるか。図面の段階で置き場所を決めておくと、当日の見え方がまるで変わります。

システムパネルと木工造作、どちらで作るか

規格の部材を組み立てるシステムパネルは、費用と納期が読みやすい。合板や角材で作る木工造作は、形も仕上げも自由に決められます。

野球のグラブに近いかもしれません。既製品はすぐ手に入って値段も読めますが、オーダーは手に馴染む代わりに時間とお金がかかります。

システムパネル木工造作
作り方規格の柱とパネルを組み立てる(部材はレンタルが中心)合板・角材で製作し、現場で建て込む
形の自由度直線と直角が基本。曲面や特殊な形は苦手曲面・アール・造形物まで作れる
費用部材を使い回すため抑えやすい材料費と製作の手間がのる
準備期間比較的短い期間でも組みやすい図面確定から製作の時間が要る
仕上げパネルの規格色、シート貼り塗装・木目・質感のある仕上げまで自由
向く場面1〜2小間、初出展、毎回同じ形でよい場合世界観を作りたい、造作を複数回使う場合

1小間の初出展なら、背面と側面はシステムパネル、正面と受付まわりだけ造作、という混ぜ方が現実的です。全部を木工で組むと、面積のわりに金額が伸びます。

主催者が用意する「パッケージ小間」を選ぶ道もあります。壁面パネル・パラペット(小間の上部に回す社名表示の帯)・照明・受付・カーペットがセットになった小間のことで、出展者は商品とカタログを持ち込むだけで成立する(前掲・経済産業省「展示会産業概論」)。

逆に、場所だけを借りる「小間貸し(スペース渡し)」は、設計も製作も自前になる代わりに、表現の自由度が上がります。

判断の分かれ目になるのは、「次も出るか」です。年に何度も同じ形で出展するなら、造作したパーツを保管して回す方が結果的に安く付くことがある。単発の出展なら、レンタル部材で組んで返す身軽さが効きます。

もうひとつ、早めに決めてほしいのが映像です。壁面に大型のモニターやLEDビジョンを載せる予定があるなら、規格パネルの耐荷重では足りないことが多く、下地を入れた造作壁に切り替える判断が要ります。

あとから「やっぱり付けたい」となると、壁の作り直しになりかねません(機材そのものの費用感はLEDビジョンの価格にまとめています)。

小間の位置で、ブースの開き方は変わる

壁は3面立てるもの、と思い込まないでください。通路に接している面の数で、壁を立てる場所は変わります。

ブースは通路との接し方で3つのタイプに分かれます。一列の中に並び正面だけが通路に面する「スタンダードブース」、列の端で3面が通路に面する「ペニンシュラブース」、四方が通路に面して独立している「アイランドブース」(前掲・経済産業省「展示会産業概論」・2026年8月28日確認)。

出展料も、この順に高くなるのが一般的です。

小間のタイプ通路に面する数壁の立て方気をつけること
スタンダード(中小間)1面背面と両側面。正面は開ける奥行き方向で見せる。正面中央の什器で入口を塞がない
ペニンシュラ(半島型)3面。列の角に付く「角小間」は2面背面1枚が基本。角は開ける角に柱や什器を置くと、せっかくの開口が活きない
アイランド(島小間)4面中央に自立する構造物。壁は最小限どこから見ても成立する形が要る。裏面の処理まで見られる

角小間を引いたのに、正面だけを飾り込んで側面は壁で塞ぐ。これ、もったいない使い方です。2面が通路に接しているなら、来場者は角から入ってきます。角を空けて、そこに動線をつくる方が人は流れる。

通路を挟んで向かいにも小間がある配置では、自分の正面の壁が「向かいのブースの背景」にもなります。相手の照明や色が強いと、こちらの壁面が沈んで見えることもある。

小間割図(会場内の小間の割り振りを描いた図面)が出たら、自分の区画だけでなく周りに何が来るかまで眺めておくと安心です。

高さをどう使うか — 上に伸ばすときの制約

遠くの来場者に届くのは、人の頭より上の面です。ただし高さは、好きなだけ伸ばせるわけではありません。

上限は主催者の出展規程で決まります。小間数によって段階を分けている展示会もあり、数字は展示会ごとに違う。規程の「装飾の高さ制限」にあたる項目を、デザインに入る前に読んでおいてください。

上に伸ばす前に確認したい制約が3つあります。

天井を張れるか。 小間に天井や屋根を設けると、会場のスプリンクラーの散水を妨げることがあります。防災上の理由から、小間装飾時に天井を設けることに制限がある場合が多い(前掲・経済産業省「展示会産業概論」の用語解説「展示規制」)。

東京ビッグサイトの「展示施設利用の手引き」でも、既存の消火設備の散水障害になる小間装飾を行う場合は、パッケージ型消火設備や補助散水栓の設置を事前に協議するよう求めています(2026年8月28日確認)。

天井付きのブースが作れないわけではなく、追加の設備と手続きが要る、という話です。

天井から吊れるか。 大きな社名サインを頭上に吊りたい、という相談はよくあります。同じ手引きでは、吊り物は所定の吊り物用フックを使い、設置位置と重量を記した図面を提出して承認を受けること、ホールを跨いだ吊り物は禁止であることが定められています。

会場と主催者の両方が絡むので、デザインの初期に相談しておくのが安全でしょう。

床に固定できるか。 高い造作を自立させるには、重りを積むか、床にアンカーボルトを打つかになります。東京ビッグサイトでは、打設できるボルトの径や深さが決められており、事前の届出と、使用本数に応じた床補修費の負担も定められています。

「倒れないように固定すればいい」で済む話ではありません。

制約を踏まえたうえで、高さは上下で役割を分けると設計が楽になります。頭より上は、遠くの人に社名と一言を届ける場所。目線の高さ(1.2〜1.6m前後)では、通りかかった人に中身を見せます。

手の届く0.8〜1.0mあたりは、実際に触ってもらうために空けておきたいところ。同じ壁でも、高さによって届く相手が変わります。

展示会ブースの壁面を建て込む設営スタッフ

図面と3Dパースの見方 — 当日とのギャップはどこで出るか

パースは、いちばん条件のいい瞬間を描いた絵です。人がいない、隣のブースも描かれていない、照明も理想的。

当日と違って当然だと思って見てください。

展示会ブースの平面図と3Dパースを確認する打ち合わせ

見るときのポイントを5つ挙げます。

  1. 人を立たせてみる。 パースに人物が描かれていないなら、スタッフ2人と来場者3人を頭の中で置いてみる。それで通路が残るかどうか
  2. 正面ではなく、斜めから見る。 来場者は正面から近づいてきません。通路を歩いてきて、斜めから視界に入ります。その角度のパースを1枚もらうと、実際の見え方に近づきます
  3. 目線の高さで見る。 俯瞰のパースは、実物より広く整って見えるもの。立った人の目の高さからの絵も出してもらってください
  4. 隣を想像する。 左右には他社のブースが建ちます。白い壁が続く前提の配色は、隣が濃い色だったときに沈みます
  5. 分割して運べるか。 図面上で一体に見える大きな造作も、搬入口やエレベーターを通るサイズに割る必要があります。割り位置は仕上がりの見え方にも影響します

図面には寸法だけでなく、「どこに何を置くか」まで書き込んでおくと当日が速い。コンセントの位置、モニターの高さ、カタログの置き場所。図面は設計図であると同時に、当日の設営指示書でもあるわけです。

スラムダンクの桜木花道が、素人同然の状態から大会前の合宿で基本のシュートを2万本打ち込んだのと同じで、本番の余裕はこういう地味な作業の量で決まります。

AGSは展示会ブースの設計・施工を、図面とパースの作成から現場の建て込みまで一括で手がけています。1小間からのご相談で構いませんし、システムパネルと造作を混ぜたご提案・お見積りも可能です。

壁面にLEDビジョンを組み込んだブースを含め、これまでのブースの実例は制作実績でご覧ください。見積りは無料です。区画図と「やりたいこと」のメモだけあれば、その段階からご相談いただけます。

よくある質問

Q. 1小間はどのくらいの広さですか?スタッフは何人まで立てますか?

多くの展示会で3m×3m、9平方メートルです。畳にしておよそ5畳半。スタッフは2人までが目安で、3人が常に立っていると来場者の入る場所がなくなります。交代で1人は小間の外に出る、という運用にしているブースも珍しくありません。

Q. システムパネルと木工造作は、1つのブースで混ぜられますか?

混ぜられます。1小間なら、背面と側面をシステムパネル、正面と受付まわりだけを造作、という組み方がよく使われます。費用を抑えながら、来場者から見える面だけ作り込む考え方です。

Q. 出展規程に「壁面は出展者が設置」とありました。何を用意すればいいですか?

小間の境界に壁がない引き渡し方(スペース渡し・小間貸し)です。床・壁・照明・電気工事・什器まで、自分たちで手配することになります。壁面パネルや照明が付いてくる「パッケージ小間」との違いなので、申込みの前に確認しておくと予算が読みやすくなります。

Q. 手描きのラフしかありません。この段階でも相談できますか?

大丈夫です。むしろ出展規程と小間割図を一緒にいただけると、寸法と規定に収まる形で図面に起こせます。イメージ写真の切り抜きや、他社ブースの「こういう雰囲気」でも構いません。


ブースのデザインは、9平方メートルという条件の中で何を諦めるかを決める作業です。置くものを減らすほど、残ったものは大きく見せられる。まずは区画図を開いて、自分の小間が通路に何面接しているかを確かめるところから始めてみてください。

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