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業種別の店舗内装のポイント|飲食店・美容室・物販の違い

B_0401 店舗・オフィス内外装
業種別の店舗内装のポイント|飲食店・美容室・物販の違い

「店舗 内装」で調べると、坪単価、居抜き、工期。だいたい同じ話が並びますよね。読んだあとに残るのは、「で、うちの店の場合はどうなの」というモヤモヤだったりします。

業種で変わるのは、内装の見た目ではありません。決める順番と、設備の量と、行政の手続きです。飲食店は厨房と排気、美容室は給排水と開設届、物販は什器と動線。ここを外すと、あとから直せない場所でつまずきます。

飲食店・美容室・物販の3業種について、先に決めておく項目、金額が動くところ、よくあるつまずきを、内装の施工を手がける立場から並べました。工事の進み方そのものは店舗の内装工事の流れに、坪単価と費用の内訳は店舗の内装費用の相場にまとめてあるので、必要になったらそちらへどうぞ。

業種で違うのは「設備」「手続き」「見せ方」の3つ

業種差が出るのは、設備工事の量・必要な許可や届出・お客様への見せ方の3か所です。仕上げ材の選び方や工事の進み方は、業種が変わってもそれほど変わりません。

飲食店美容室・サロン物販・アパレル
最初に決めるもの厨房の位置と排気の経路シャンプー台とセット面の位置入口からの動線とレジの位置
金額が動くところ給排水・ガス・排気ダクト・グリストラップ給排水と給湯、床の立ち上げ什器の数と造作、照明の本数
行政の手続き保健所の営業許可保健所への開設届と施設検査原則なし(用途変更に注意)
見せ方で効くところオープンキッチンの見え方鏡まわりの照明の色商品の色が正しく見える照明
あとから直しにくい部分厨房の区画と排気の経路給排水の位置電源とレール照明の位置

内装のイメージは、いちばん最後に乗るものです。それより先に決まってしまう設備と書類のほうが、店の使い勝手も金額も握っている。だから業種別に見ておくべきなのは、デザインではなく段取りのほうです。

飲食店の内装は、客席ではなく厨房と排気から決める

飲食店のレイアウトは、席数から決めません。厨房の位置と排気の経路を先に押さえて、残った面積に客席を並べる。

この順番が逆になっている図面は、たいてい途中で組み直しになります。

キャンプで焚き火の場所を決めてからテントの向きを決めるのと同じです。煙の出るほうを後回しにすると、あとで全部並べ替えることになる。

排気ダクトは、屋外まで通す経路が要ります。ビルの区画によっては経路そのものが取れず、業態を変えるしかなくなることもあるので、物件を押さえる前の確認が肝心です。

保健所の施設基準は、図面の段階から効いてくる

令和3年6月以降に営業許可を取る施設では、手洗い設備の水栓に「洗浄後の手指の再汚染が防止できる構造」が求められます。センサー式、レバー式、足踏み式など、手を触れずに水を止められるものです(出典:福岡県「営業施設基準の改正について」・2026年8月28日確認。基準の詳細は自治体の条例によります)。

手洗い器がひとつ増えるだけに見えて、実際には給排水の配管が1系統増える話です。仕上げの図面が固まってから足すと、床を開ける工事になることもあります。

火を使う部屋は、選べる仕上げ材が限られる

こんろなど火を使う設備を置く調理室は、壁と天井の室内に面する仕上げを準不燃材料などにすることが定められています。建物が耐火構造の場合など、対象から外れるケースもあります(建築基準法施行令第128条の4第4項・第128条の5第6項。出典:e-Gov法令検索「建築基準法施行令」・2026年8月28日確認)。

オープンキッチンで木の質感を見せたい、というのはよくある要望です。火の近くは材料が絞られるので、早めに相談していただければ、見せ方の代案を用意できます。デザインを描き切ったあとに材料でひっくり返るのが、いちばんもったいない。

同じ飲食でも、業態でお金のかかる場所が変わる

業態内装でとくにお金と時間がかかりやすいところ
居酒屋個室・半個室の間仕切り。壁が増えるほど空調の吹き出しと排煙の割り付けを見直すことになります
レストラン・カフェ客席の居心地に予算を回しやすい一方、席ごとの電源と空調の当たり方が使い勝手を左右します
ベーカリー(パン屋)オーブンの電気容量とガス。作業場を売り場から見せる場合は、粉と熱の扱いも設計に入ります
ケーキ屋冷蔵ショーケースの配置と電源。温度帯の違う什器を並べると、空調の効かせ方が難しくなります

こうして並べると、変わっているのは「デザインの好み」ではなく設備の量だと分かるはずです。

美容室・サロンの内装は、シャンプー台の位置で工事量が決まる

美容室の内装。鏡付きのセット面が3席並び、奥にシャンプー台が見える

美容室の内装で最初に決めるのは、シャンプー台の位置です。既存の排水からどれだけ離すかで床をどれだけ上げるかが決まり、工事の量と金額の大枠がそこで固まります。

ジョジョの奇妙な冒険に出てくるスタンドに射程距離があるように、排水管にも届く範囲があります。遠ざけるほど勾配を確保するために床を上げることになり、段差やステップの相談が後ろに付いてくる。

私も若い頃、既存の排水位置を確かめないまま水まわりの配置を提案して、床を大きく上げ直したことがあります。図面の上ではきれいに収まって見えるので、なおさらたちが悪いんです。

開設届と、構造設備の基準

美容室は、開設前に保健所へ開設届を出し、施設の検査を受けます。福岡市の案内では、事前相談 → 開設届の提出 → 施設の検査 → 検査確認済通知書の交付という順で進み、書類の提出から交付までは1週間程度(出典:福岡市「理容所・美容所の営業について」・2026年8月28日確認)。

提出書類には施設の平面図が入ります。内装の図面が、そのまま届出の書類になるわけです。

構造設備の基準は自治体の条例で決まります。東京都の場合はこうです(出典:東京都保健医療局「美容所の開設に関する基準等について」・2026年8月28日確認)。

  • 美容の業務を行う1作業室の床面積は13平方メートル以上
  • 1作業室に置ける美容いすは6台まで。6台を超えるなら、1台増やすごとに3平方メートルを加えた面積以上
  • 美容の直接の作業を行う作業面の照度は100ルクス以上
  • 作業前のお客様は、作業室と明瞭に区分された待合場所で待たせる

数値も運用も自治体ごとに違うため、開業予定地の保健所で確認してください。

面積といすの台数がセットで決まる。これが図面にそのまま効きます。「あと1台置きたい」は、レイアウトのやりくりではなく面積の話になるわけです。

鏡まわりの照明は、明るさより色で選ぶ

セット面は、カラーの仕上がりをお客様と一緒に確認する場所です。照明の色温度や、色の見え方の指標(演色性)まで見て選ばないと、店内で見た色と外で見た色がずれてしまいます。

顔に影が出るかどうかも、照明の位置と数で変わります。天井からの1灯だけに頼らず、鏡の両側や前方から回す配置を検討したいところです。

エステ・ネイルは、音と空調が個室の質を決める

個室のあるサロンは、間仕切りをどこまで遮音するかが満足度に直結します。壁を天井裏まで立ち上げるか、天井までで止めるかで音の抜け方はまるで違う。

空調も見落としがちです。ベッドの真上に吹き出し口があると、施術中の風が気になります。間仕切りを増やすと部屋ごとの空調と換気を見直すことになるので、レイアウトと同時に検討しておくと手戻りが減ります。

物販・アパレルの内装は、什器を「動かす」前提で組む

アパレル店の売り場。壁面の棚と中央の平台什器、天井のレール照明と広く取った通路

物販の内装でいちばん効くのは、什器の配置を変えられるかどうかです。売り場はシーズンごとに組み替えるので、動かせない造作を増やすほど、あとの自由度が下がります。

野球の守備シフトと同じで、並びは相手に合わせて変えるもの。売り場でいう相手は、季節と商品です。

だから、造作でつくり込むのは壁面と什器の「軸」になる部分にとどめて、中身は可動の什器で組む。この配分が、開店後の運用のしやすさを決めます。

決めておきたいのは次の4つです。

  • 動線とレジの位置。 入口から奥まで自然に足が向くか。レジからどこまで見渡せるかは、防犯にも接客にも効きます
  • 電源とレール照明の位置。 什器を動かしたときに、照明と電源が追いかけられるか。ここを後から足すのは天井を開ける工事です
  • 照明の色。 アパレルは生地の色、食品は鮮度の見え方。売り場ごとに色温度を変えるかどうかを設計時に決めます
  • 搬入経路の寸法。 大型什器やショーケースが、エレベーターの内寸と開口を通るか。分割できる什器なのかも含めて確認します

搬入は、実際に多いつまずきです。図面上は置ける什器が、廊下の曲がり角を回れない。現場合わせで切るわけにもいきません。

事務所だった区画を店舗にするなら、用途変更の手続きを確認する

建物の用途を変えて、建築基準法別表第一(い)欄に掲げる特殊建築物にする場合、その用途に供する部分の床面積の合計が200平方メートルを超えるときは、確認申請の規定が準用されます(建築基準法第87条第1項・第6条第1項第1号)。

飲食店と、床面積10平方メートルを超える物品販売業を営む店舗は、この別表第一(い)欄(四)項に類する用途として政令で指定されています(建築基準法施行令第115条の3第三号。出典はe-Gov法令検索「建築基準法」同「建築基準法施行令」・いずれも2026年8月28日確認)。

つまり、事務所だった200平方メートル超の区画を物販店や飲食店にする計画では、内装工事の前に手続きがひとつ増えます。一方で美容室は、この用途区分そのものには入りません。同じ「店舗の内装」でも、業種によって必要な段取りが変わる分かりやすい例でしょう。

類似の用途どうしの変更は対象外になるなど例外もあり、判断は建物の状況にもよります。該当しそうなら、所管の建築指導部署へ早めに相談してください。

業種を問わず、つまずくのは同じ3か所

ここまで違いを並べてきましたが、実際につまずくところは、業種に関係なく共通しています。

1つ目は、搬入経路の採寸です。 厨房機器も、シャンプー台も、什器も、通れなければ設置できません。エレベーターの内寸・開口の幅・廊下の曲がり・搬入できる時間帯。この4点は、発注の前に押さえておきたい情報です。

2つ目は、看板と内装のトーンのずれです。 外の看板を別の会社に頼むと、書体も色も店内と噛み合わなくなることがあります。看板の種類と依頼の進め方は看板の種類と選び方にまとめました。看板のデザイン・製作・施工まで同じ窓口にすると、外と中の見え方を揃えやすくなります。

3つ目は、許可や届出の日程を工期に入れ忘れることです。 保健所の検査も、用途変更の手続きも、日数がかかります。オープン日から逆算して、工事の完了日ではなく検査の完了日を先に置いてください。

なお、事務所の内装はレイアウトの決め方も工事の進め方も店舗とは別物なので、オフィスの内装工事の進め方に分けてまとめています。

AGSの店舗内装

AGSは内装仕上工事業の建設業許可(福岡県知事許可(般-30)第112032号)を持ち、店舗・オフィスの内外装をデザイン提案から施工まで手がけています。設計と施工を分けないので、業種ごとの設備や手続きの制約を織り込んだうえで図面が描けるのが強みです。

飲食では小倉競馬場「UMAJO SPOT」様 UMAJO CAFE 内装施工、外装と内装をまとめて手がけた「キンギンハイBEACH」様 店舗外装・内装装飾施工。物販の売り場まわりでは福岡三越様「ミッソーニ」ショーウィンドウ施工GEOX様 ヴィジュアルマーチャンダイジングがあります。ほかの実例は制作実績にまとめています。

お客様の「なんとなく、こんな感じ」を形にするのが、私たちの仕事です。手元にあるのが物件の図面と、やりたい店のイメージだけ。その状態からで大丈夫です。見積りは無料で、拠点は福岡・博多、現場は全国で対応しています。

よくある質問

Q. 前が別の業種だった居抜き物件でも、内装を使い回せますか?

仕上げや造作は流用できることがありますが、設備は業種が変わると作り直しになる部分が多くなります。物販だった区画を飲食店にする場合は、給排水・ガス・排気の新設が必要になりやすく、居抜きの利点が小さくなりがちです。契約前に、設備の状態と経路の確認までしておくと判断を誤りにくくなります。

Q. 保健所や消防への確認は、内装業者に頼めますか?

図面をそろえて、事前相談に必要な資料を用意する部分はご一緒できます。施設基準に合うレイアウトかどうかを設計の段階で確認しておけば、完成後の手直しは避けられるはずです。届出や申請そのものの窓口・様式は自治体で異なるため、管轄の保健所・消防署への確認も並行して進めてください。

Q. 開業準備のどの段階で、内装業者に声をかければいいですか?

物件を決める前です。候補が2〜3件に絞れた時点で内見に同行してもらうと、排気の経路が取れない、電気容量が足りないといった、契約後では手の打ちにくい問題を先に見つけられます。

Q. 飲食も物販も、同じ会社にまとめて頼んで問題ありませんか?

内装工事の技術そのものは業種で大きく変わりません。差が出るのは、業種ごとの設備と手続きを設計に織り込めるかどうかです。相談の段階で、その業種で何を先に決めるべきかを説明してくれるかを見ると、判断しやすいと思います。


業種の違いは、内装のセンスの違いではありません。何を先に決めるかの違いです。厨房から決めるのか、シャンプー台から決めるのか、動線から決めるのか。そこさえ間違えなければ、あとの工事はずいぶん素直に進みます。図面と、やりたい店のイメージを持って、気軽にご相談ください。

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