人が増えて手狭になってきた。会議室が足りない。この機会に少しきれいにしたい。——オフィスの相談は、だいたいこのあたりから始まります。移転するのか、いまの場所を直すのかさえ決まっていない段階も珍しくありません。
オフィスの内装工事は、「レイアウトを決める → 設計と見積り → 工事 → 什器の搬入」という流れで進みます。相談から入居まで、規模にもよりますが2〜4ヶ月ほど。そして、いちばん時間がかかるのは工事ではなく、レイアウトを決めるところです。
この記事では、レイアウトの決め方、店舗の内装との違い、働きながら改装するときの段取り、費用が動く要因までを、事務所の内装を施工している立場からまとめました。
オフィスの内装工事の流れと期間の目安
流れは「相談 → 現地調査 → レイアウト・設計 → 見積り → 工事 → 什器搬入・引き渡し」の6段階です。100坪前後のオフィスなら、相談から使い始めるまで2〜4ヶ月が一つの目安になります。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 3〜4ヶ月前 | 現状の課題を洗い出し、移転か改装かを判断。物件が絡むなら契約条件の確認 |
| 2〜3ヶ月前 | 現地調査。レイアウト案の検討、社内の意見の吸い上げ |
| 1.5〜2ヶ月前 | 設計確定、見積り、什器の選定と発注 |
| 1ヶ月前 | 消防・ビル管理会社への届出、工事日程の確定 |
| 1ヶ月前〜直前 | 内装工事(工事期間は2週間〜1ヶ月が目安。規模により変動) |
| 引き渡し前 | 什器搬入、配線、清掃、確認 |
日程がずれる原因は、工事の遅れよりも社内の意思決定にあることが多いです。部署ごとに希望が出て、まとまるまでに時間がかかる。そこを見込んで、レイアウトの検討期間は多めに取っておくのが安全です。
店舗の内装と、オフィスの内装はどこが違うのか
いちばん違うのは、使う人と決める人が別だという点です。店舗はお客様に向けてつくりますが、オフィスは毎日そこで働く人のためにつくり、予算を決めるのは経営や総務の側になります。
だから「かっこいいオフィス」が必ずしも正解にならない。写真映えする什器を入れても、書類を置く場所がなければ、半年後には段ボールが積み上がります。
もう一つの違いは、営業しながら工事をする場面が多いことです。店舗は休業して一気に仕上げられますが、オフィスは働きながら区画ごとに直していくケースが少なくありません。
工事そのものの流れは店舗と共通する部分も多いので、店舗の内装工事の流れもあわせてご覧ください。物件契約前の確認事項など、オフィスでもそのまま使える話が入っています。

レイアウトは席から決めない。通路から決める
レイアウトで最初に引くのは、机ではなく人が通る線です。通路と出入口、コピー機や給湯室への動線を先に押さえてから、席を配置していきます。見た目のデザインやテイストの決め方はおしゃれなオフィス内装のつくり方に分けてまとめました。
机を並べてから通路を考えるのは、家具を全部運び込んでから間取りを考えるようなものです。人がどう動くかを見ないまま机を並べると、あとで動かせない部分にぶつかります。席は動かせても、柱と入口は動かないからです。
決める順番は次のとおりです。
- 人数と働き方。 固定席かフリーアドレスか、来客の頻度、在席率
- 通路と動線。 出入口、避難経路、コピー機・給湯室・書庫への行き来
- 会議室と集中スペース。 何人用が何室要るか。web会議の音漏れ対策も含めて
- 収納。 書類・備品の量を実際に測る。ここを甘く見ると床に物が出ます
- 席の配置。 ここでようやく机を並べる
- 電源とネットワーク。 席が決まってから配線の経路を決める
法令が決めている数字もあります。事務所衛生基準規則では、常時働く部屋の気積を、設備の占める容積と床から4メートルを超える高さの空間を除いて、労働者1人あたり10立方メートル以上とすることが求められています(第2条)。
作業面の照度も決まっています。一般的な事務作業で300ルクス以上、付随的な事務作業で150ルクス以上です(第10条第1項。令和4年12月1日施行)。
出典はe-Gov法令検索「事務所衛生基準規則」と厚生労働省のリーフレット(PDF)・いずれも2026年8月26日確認。
天井高2.5メートルの部屋なら、1人あたり4平方メートルが下限という計算になります。ここから什器や設備の占める分を引くので、実際にはもう少し要ります。「詰めれば入る」で席を増やす前に、一度この数字で確かめてみてください。
働きながら改装するとき、先に決めること
営業を止めずに工事をするなら、決めるのは「時間」と「区切り方」です。この2つを最初に押さえると、あとの調整がぐっと楽になります。
- 工事の時間帯。 日中に音の出る作業ができるか、夜間・休日に限定するか。ビルの管理規約で作業できる時間が決まっていることもあります
- 区画の分け方。 どの範囲を何日で仕上げ、その間どこで働くか。仮の席をどこに置くか
- 搬入のルール。 荷物用エレベーターの利用時間、養生の範囲、共用部の通行ルート
- 音と匂いの出る工程の日程。 塗装や床工事は、在席者の少ない日に寄せる
ビルによっては、工事の申請から承認まで2週間ほどかかることがあります。日程を組むときは、この承認待ちの時間も工程に入れておいてください。

費用が動くのは、床下と天井裏です
オフィス内装の見積りで金額が動きやすいのは、仕上げ材よりも、床下と天井裏に隠れる部分です。ここが増えるほど金額は上がります。
電源とネットワークの配線、OAフロア、空調のダクト、そして消防設備。配線は、家の中で延長コードを後から這わせるのに似ています。最初に経路を決めていれば床下にすっきり収まりますが、席を増やすたびに継ぎ足すと、見た目も安全性も落ちていく一方です。
金額に効く主な要因は4つです。
1. 間仕切りの量と種類。 会議室を増やすほど壁が増えます。ガラスパーティションは開放感が出る反面、単価は上がります。
2. 床と天井をどこまで触るか。 OAフロアを新設するのか、既存を活かすのか。天井を開けて配線するのかで工事量が変わります。
3. 空調と消防設備の移設。 間仕切りを入れると、部屋ごとに空調の吹き出し口や火災報知器・スプリンクラーの位置を見直す必要が出てきます。これは意匠ではなく設備の工事で、費用も期間もかかります。
4. 什器と原状回復。 什器は内装工事と別枠になることが多い項目です。退去時の原状回復の条件も、契約書で範囲を確認しておいてください。
費用の考え方そのものは店舗と共通する部分が多いので、内訳の見方は店舗の内装費用の相場も参考になります。
なお、「大がかりな造作はしたくないが、エントランスと会議室の印象だけは変えたい」という相談も多くいただきます。AGSではそのために「マルチオフィスシステム」という自社開発の仕組みを用意していて、費用を抑えながら、あとからレイアウトを変えられるのが特徴です。内容は店舗・オフィス内外装のページにまとめています。
忘れやすいのは、消防への届出です
内装工事では、着工前に消防署への届出が必要になる場合があります。間仕切り壁をつくる、部屋の用途を変える、といった工事が対象です。
東京消防庁の案内では、一定の防火対象物(指定防火対象物等)において、建築基準法の確認申請を必要としない建築・修繕・模様替え・用途変更の工事について、着工の7日前までに管轄の消防署へ届け出ることとされています(出典:東京消防庁「防火対象物の工事等計画の届け出をしよう」・2026年8月26日確認)。
届出の要否と様式は自治体の火災予防条例で定められています。実際の手続きは、所轄の消防署に確認することになります。
手続きは施工会社が代行できる部分もあります。ただ、「そういう届出がある」と知らないまま日程を詰めると、着工が1週間後ろにずれる。そこだけ頭に置いておいてください。
AGSのオフィス内装
AGSは店舗・オフィス内外装として、オフィスのリニューアル、レイアウト変更、間仕切り・パーティション工事、エントランス改修、会議室づくりに対応しています。内装仕上工事業の許可(福岡県知事許可(般-30)第112032号)を持ち、デザイン提案から解体・内装仕上げ・電気・空調まで、別発注にせず一貫して管理します。退去時の原状回復工事も承ります。
企画・設計・デザイン・施工のすべてを手がけた新オフィス全面改修の実例は、新オフィスのデザイン・内装・施工の事例でご覧いただけます。
お客様の「なんとなく、こんな感じ」を形にするのが、私たちの仕事です。手元にあるのが手書きの間取り図と要望のメモだけ、という状態からで大丈夫です。見積りは無料で、拠点は福岡・博多、現場は全国で対応しています。
よくある質問
Q. レイアウト案だけを作ってもらうことはできますか?
ご相談いただけます。図面と要望をもとにレイアウト案をお出しし、そのうえで工事の範囲と見積りを検討する進め方も可能です。
Q. 働きながらの改装はできますか?
できます。区画を分けて工事する、夜間・休日に音の出る作業を寄せる、といった方法で業務を止めずに進めます。工事できる時間帯はビルの管理規約にもよるので、早い段階で管理会社への確認を。
Q. 什器やカウンターの造作も頼めますか?
売場やオフィスに合わせた造作家具・カウンターの製作に対応しています。既製のデスク・チェアの選定や搬入日程の調整も、あわせてご相談いただけます。内装と同じ窓口にまとめると、寸法と納期の調整が一度で済みます。
Q. 賃貸オフィスでも内装工事はできますか?
多くの場合できますが、工事の範囲はビルの管理規約と賃貸借契約によります。原状回復の条件とあわせて、着工前に貸主・管理会社へ確認する必要があります。
オフィスの内装は、竣工した日がゴールではありません。そこから何年も毎日使う場所です。
図面と、いま困っていること。この2つが揃えば、話はそこから始められます。
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