ポップアップストアは、数日から数週間だけ開く期間限定の店を指します。百貨店の催事場に出る場合も、駅やモールの空きスペースに出る場合も、出店者を募る案内ではどちらもポップアップストアと呼ばれています。
常設店のように長い契約と大きな初期投資をせずに、お客さまに商品を直接見てもらえるところが、開く理由の中心です。出店者に聞いた調査では、出店の理由の上位は「売上の向上」(71.3%)、「ブランドの認知向上」(59.4%)、「新規顧客の獲得」(57.4%)でした(出典:COUNTERWORKS「リアル店舗の出店実態調査2024」・2026年10月3日確認。同社の仲介サービスに登録している出店者101名への調査で、ネット通販のみの事業者が4割、店舗とネット通販の両方を持つ事業者が3割強です)。
出店場所は、百貨店、ショッピングセンター、駅や駅ビル、レンタルスペースや空き店舗の4種類に分けて考えると整理しやすくなります。場所によって、申し込み先も、費用の払い方も、守る決まりも違います。
この記事では、期間限定の店を初めて出す企業やブランドの担当者の方に向けて、意味と目的、4種類の場所ごとの申し込み先と決まり、開店までの流れをまとめました。店舗の装飾や催事会場の設営を手がけている会社の目線で書いています。
ポップアップストアとは、数日から数週間だけ開く期間限定の店

ポップアップストアは、空きスペースや既存の店の一部などを借りて、数日から数週間だけ営業する店です。英語のpop-up(突然現れる)が語源で、期間が終わると撤去されます(出典:スペースマーケット「ポップアップストアのやり方完全ガイド」・2026年10月3日確認)。
出店者から見た常設店との違いは、契約の長さと初期投資です。常設店は物件を長く借りて内装を作りますが、ポップアップストアは借りる期間も内装も短く済みます。撤去まで含めて計画するので、店づくりも「会期が終わったら外す」前提で組みます。
催事との違いは、呼び名が混ざっているので、場所の条件で見る
催事は、百貨店などの催事場で期間を決めて開く売り場のことです。実際の案内を見ると、ポップアップストアと並べて、ほぼ同じ出店方法として説明されている例が目立ちます。たとえば、商業施設への出店を説明するSHOPCOUNTERの解説記事は、ポップアップストア・催事・イベントスペースへの出店を同じ方法として1本にまとめています(出典:SHOPCOUNTER MAGAZINE・2026年10月3日確認)。三越伊勢丹グループの店舗への出店を仲介する「イベマチ」も、百貨店への出店を「ポップアップストア」と呼んでいます(出典:イベマチ(makeshop)・2026年10月3日確認)。
呼び名で迷ったときは、申し込み先に「出店の枠は何日単位か」「費用は日額か売上に応じた歩合か」を聞けば足ります。名前よりも、この2つの条件のほうが、準備の中身を決めます。
開く目的は、新商品の紹介・認知・テスト販売、そしてネット通販との接点

目的は1つに絞ります。Canvaの解説は、ポップアップストアの目的を「新商品のプロモーション」「ブランド認知の向上」「テストマーケティング」の3つに分けています(出典:Canva「ポップアップストアとは?」・更新日2026年6月16日、2026年10月3日確認)。テストマーケティングは、価格やデザイン、売れ行き、来場者の反応を、本格的に展開する前に確かめる施策です。
ネット通販のブランドにとっては、実店舗が「ネットだけでは伝えにくい商品を、手に取って試してもらう場所」にもなります。冒頭の調査では、ポップアップストアに出店した人のうち、ネットショップへの好影響を感じた人が約6割でした。内訳は「アクセス数が増えた」が37.5%、「売上が増えた」が29.2%です。回答者は同社に登録した出店者に限られるので、すべての出店者の平均ではありません。
実例もあります。水素ゼリーを作る株式会社新菱は、2022年に銀座三越の地下1階で、商品を試してもらう形のポップアップストアを出しました。購入はネットショップに案内する方式で、運営側のインタビュー記事によると、売上は1.5倍から2倍になり、購入に至る割合は約1%から約5%に上がりました(出典:makeshop「新菱のポップアップ出店」・2022年6月29日付、2026年10月3日確認。売上の比較条件は記事に詳しく書かれていません)。
目的が決まると、場所も絞れます。次の章の早見表にある「向く場面」の列は、Canvaの解説が挙げている場所ごとの特徴(駅ビルは通勤・通学の方への訴求力が高い、商業施設は滞在時間が長く家族連れが多い、空き店舗は出店コストを抑えやすい、など)から考えた目安です。
出店場所は4種類|申し込み先・払い方・決まりの早見表
場所は、百貨店、ショッピングセンター、駅や駅ビル、レンタルスペースや空き店舗の4種類です。申し込み先は施設や運営会社ごとに違いますが、募集ページと問い合わせフォームを備えている場所が増えています。
| 出店場所 | 申し込み先 | 費用の払い方 | 主な決まり | 向く場面 |
|---|---|---|---|---|
| 百貨店 | 各店の窓口、またはグループの仲介サービス(例: イベマチ) | 売上に応じた歩合が一般的。最低保証売上が付く場合がある | 売上の見込みと施設のイメージの審査、店づくりは施設のコンセプトに合わせる、防炎の決まり | 1回の買い物の金額が高めの層に伝えたい |
| ショッピングセンター | 運営会社の出店者募集ページと問い合わせフォーム | 施設ごとに違う。募集ページに載っていなければフォームで確認 | 審査(売上の見込み・施設のイメージ)、条件は施設ごと | 家族連れや買い物目的の方に試してもらいたい |
| 駅・駅ビル・専用区画 | 運営会社の募集サイトと問い合わせフォーム | 賃料は契約のときに発生。区画によって日数が違う | 区画の寸法、館内の他の商品との重なり、什器は提供されたもの以外は自分で用意、防炎 | 通勤・通学の方に知ってもらいたい |
| レンタルスペース・空き店舗 | スペースの予約サイトや、貸主への申し込み | 日額または時間単位 | スペースごとの貸出の決まり(搬入・装飾・原状回復) | 小さく始めたい・世界観を作り込みたい |
百貨店は、売上の見込みと施設のイメージで審査される

百貨店への出店は、各店の窓口か、グループの仲介サービスを通して申し込みます。三越伊勢丹グループでは、株式会社レオマートが運営する「イベマチ」が、全国70か所以上の店舗でのポップアップストアの出店を仲介しています(makeshopの利用者向けのサービスです)。
SHOPCOUNTERの解説記事によると、商業施設の出店は、問い合わせ、申し込み(過去の実績や売上の資料を提出)、審査(売上の見込みと施設のイメージの適合性)、契約と準備の順に進みます。賃料は、当月の売上に施設が決めた率をかけた歩合方式が一般的で、最低保証売上が設定されている場合があります。レイアウトやデザインは、施設のコンセプトに合わせることが求められ、路面店より自由度が下がります。
百貨店は、消防法で防炎物品の使用が義務づけられる施設の例にも挙がっています。壁面に張る布や、展示用の合板、暗幕などが対象になり得るので、店づくりの材料を決める前に、売り場の管理側へ確認します(出典:総務省消防庁「防炎品」・2026年10月3日確認)。
百貨店の催事に出店する側の準備は、催事の集客方法の記事で、施設へ確認する8項目と一緒にまとめています。
ショッピングセンターは、募集ページで条件を確かめて、フォームで問い合わせる

ショッピングセンターは、運営会社が募集ページを設けている例があります。京阪流通システムズは、京阪シティモール、京阪モール、くずはモール、枚方モールの4施設で、ポップアップストアの出店者を募集しています(出典:京阪流通システムズ「ポップアップストア出店者募集」・2026年10月3日確認)。募集ページには期間や料金の記載がなく、施設ごとの詳細ページにある問い合わせフォームで確かめる形でした。
条件が募集ページに出ていない場合は、フォームやメールで「日額か歩合か」「最低日数」「使える電気の容量」を先に聞いておくと、比較しやすくなります。払い方ごとの料金の実例や、店づくり・人・配送まで含めた費用の内訳は、ポップアップストアの費用の記事にまとめています。
SHOPCOUNTERのように、ショッピングモールや駅などのスペースを日額で予約できる仲介サービスもあります。スペースは日額で掲載され、売上に応じた歩率で出店できるスペースの特集も用意されていました(出典:SHOPCOUNTER・2026年10月3日確認)。
駅や駅ビルは、区画の寸法と、用意するものを先に確かめる

駅ビルは、運営会社の募集サイトから申し込む形が整っています。JR九州駅ビルグループの募集サイトは、アミュプラザの博多・小倉・長崎・おおいた・くまもと・鹿児島・みやざきの7施設が対象です。申し込みは、フォームで出店の希望を送り、担当者から連絡を受けて、出店条件と期間を打ち合わせ、必要書類を出す流れでした。サイトを使うだけなら費用はかからず、出店契約が決まったときに賃料が発生します。什器は、施設が提供するもの以外は出店者が用意し、運営スタッフも出店者が手配します。個人事業主も申し込めます(出典:JR九州駅ビルグループ ポップアップ・常設ストア募集サイト・2026年10月3日確認)。
京都駅直結の地下街の京都ポルタは、区画の大きさを公表しています。たとえばパネルブースは約2.7m×4.6m×高さ2.2mで、利用料には電気代・警備費・決済端末の利用料が含まれます。実施できるかどうかは、企画内容、館内の他の商品との重なり、スケジュールで総合的に判断されます(出典:京都ポルタ「ポップアップストア出店者募集」・2026年10月3日確認)。
駅では、小さな区画に合わせた専用の什器もあります。JR東日本スタートアップとCOUNTERWORKSは、2019年6月に、新宿駅と品川駅の改札内で、ロッカー型のポップアップストア「POP-UP BOX」の実証実験を行いました。大きさは横約2.2m・奥行き約0.675m・高さ約1.8mで、期間中は1週間ごとに出店するショップと商品が入れ替わりました(出典:JR東日本スタートアップ・COUNTERWORKSの発表資料・2019年6月4日付、2026年10月3日確認)。実験の発表なので、現在の募集とは別です。区画の広さが小さいほど、飾りより「何を並べるか」の選び方が大事になります。
京都ポルタのような地下街も、消防法で防炎物品の使用が義務づけられる施設の例に挙がっています。駅ビルでも、布や合板を使う店づくりは、管理側に先に確かめます。
レンタルスペースや空き店舗は、自由度が高い代わりに、規約を読んで設営する

レンタルスペースは、カフェやギャラリー、空き店舗などを、日額や時間単位で借ります。SHOPCOUNTERでは、日額が1,100円(商業施設の駐車場スペース)から200,000円(表参道駅近くの路面1階スペース)まで幅広く掲載されていました(出典:SHOPCOUNTER・2026年10月3日確認)。スペースマーケットは、通常は数か月かかる出店審査も、同社経由ならオンラインで完結すると案内しています(同社の紹介文です)(出典:スペースマーケット・2026年10月3日確認)。
貸出の決まり(搬入できる時間、壁や床に貼れるもの、原状回復の範囲)は、スペースごとに違います。ここは、予約の前に規約を読み、不明な点は貸主に聞きます。自由度が高い分、店づくりの設営と撤去は出店者側の段取りになります。
商品の種類によって、事前に決めておくことが変わります。マルシェ形式の場所に出るなら、マルシェ出店のブースの記事で、風や雨への備えと持ち物をまとめています。展示会やイベント会場の屋外・屋内ブースの作り方は、イベントブースのデザインの記事が参考になります。
開店までの流れは、目的決めから振り返りまでの8つ
流れは、目的の決定、場所への問い合わせ、契約と書類、店づくりの設計と手配、告知、搬入と設営、開店と運営、撤去と振り返りの順です。Canvaの解説は、目的とターゲットを決める、出店場所へ問い合わせる、コンセプトとデザインを決める、集客と広報を行う、開催後に効果測定と振り返りを行う、の5つに分けています。スペースマーケットは、商品選定やSNSでの集客、当日の運営を含む7つのステップで案内しています。
公式の情報では、期間を「◯か月前」と決めて示している施設は、確認できた範囲ではありませんでした。JR九州駅ビルグループの募集サイトは、出店期間の審査の内容によって、契約までの期間が変わると書いています。そのため、場所への問い合わせを、開店を考えている日より早めに始めておくと安心です。
| 順番 | やること | 誰が | 補足 |
|---|---|---|---|
| 1 | 目的を1つ決める | 出店する企業 | 新商品の紹介・認知・テスト販売のどれか。数字の目標も1〜2つ |
| 2 | 場所に問い合わせる | 出店する企業 | 2〜3か所を並行して聞くと比べやすい。申し込み先・払い方・審査の有無 |
| 3 | 契約・書類 | 出店する企業と施設 | 実績や売上の見込みの資料、契約書類 |
| 4 | 店づくりの設計と手配 | 出店する企業と制作会社 | 区画の寸法、搬入の時間帯、防炎の確認が先 |
| 5 | 告知 | 出店する企業 | 2〜3週間前から、事前告知・詳細告知・直前告知の3段階(Canvaの解説) |
| 6 | 搬入・設営 | 出店する企業と制作会社 | 施設が決めた時間帯と通路で |
| 7 | 開店・運営 | 出店する企業 | 売上・来店数・ネットの動きを同じ方法で記録 |
| 8 | 撤去・振り返り | 出店する企業 | 原状回復の範囲を確認して、目標と結果を比べる |

店づくりの設計は、場所が決まってから始めます。区画の寸法、使える電気、搬入できる時間帯が決まらないと、什器の大きさも、壁面の作りも決められないためです。制作会社に頼む場合は、場所が決まった時点で、会期と寸法を伝えて相談します。
このシートは、場所の候補の比較、施設に確かめること、開店日からの日程、会期中の記録を1枚にまとめた紙です。場所の比較は、問い合わせの前に埋めておき、聞いた答えを書き込んでいきます。
開店の朝までに決めておくこと

開店の朝までに決めておくのは、店づくりの中身、告知の予定、会期中の記録のしかたの3つです。
店づくりでは、会期が終わったら外す前提で、壁面や什器を組みます。短い会期では、飾りを増やすより、商品を見やすく並べることに時間を使うほうが、お客さまにも運営側にも楽です。
告知は、2〜3週間前から始めるとよいと、Canvaの解説にあります。会期の日付と場所を載せた事前告知、商品や特典を載せた詳細告知、前日や当日の直前告知の3段階に分けます。
会期中の記録は、売上と来店数に加えて、ネット通販のブランドならネットのアクセスや注文の動きも、開店の前後で比べられるようにしておきます。数え方を最初に決めておくと、終わったあとに「次に出すか」を数字で話せます。
AGSのポップアップストア設営
AGSはイベント装飾・店舗装飾として、ポップアップストアの設営を承っています。壁面・ファサード、ブランドのロゴ・看板、陳列什器・カウンター、照明、床のシートを、短い会期と施設の搬入時間に合わせて組み上げ、会期のあとに撤去します。新ブランドのお披露目、ネット通販ブランドの実店舗、コラボ商品の販売のようなときにご相談いただけます。
催事会場の施工は、博多阪急様バレンタイン催事会場や、第2回 全国有名駅弁とうまいもん大会のイベント会場の実績があります。
拠点は福岡・博多で、現場は全国に伺います。見積りは無料なので、出店場所の寸法と会期が決まった段階でお声がけください。店づくりの一部だけ、撤去だけのご依頼も相談できます。
よくある質問
Q. ポップアップストアと催事は、何が違いますか?
実際の案内では、2つの呼び名は区別されずに使われています。百貨店の催事場に出る場合も、駅やモールのスペースに出る場合も、期間限定の店であることに変わりはありません。違いを確かめるなら、出店の枠が何日単位か、費用が日額か売上に応じた歩合かを、申し込み先に聞いてください。
Q. ポップアップストアは、何日くらい開くものですか?
数日から数週間が一般的です。Canvaの解説は、会期の目安として、週末中心の3〜7日の短期型と、約1か月の中期型の2つを挙げています。会期の下限と上限は、施設ごとに決まっているので、申し込み先で確かめます。
Q. 個人や小さな会社でも出店できますか?
出店できる場所があります。JR九州駅ビルグループの募集サイトは、個人事業主も申し込めると案内しています。レンタルスペースやSHOPCOUNTERのような仲介サービスなら、日額で借りられる場所もあります。審査のある施設では、実績や商品の資料を求められることがあります。
Q. 初めての出店で、一番先に決めることは何ですか?
まず、目的を1つ決めます。新商品を知ってもらうのか、ブランドを知ってもらうのか、売れ行きを試すのかで、選ぶ場所も会期も変わります。目的と会期の候補日が決まれば、場所への問い合わせを始められます。
Q. 店づくりに使う布や合板で、気をつけることはありますか?
百貨店や地下街などは、消防法で防炎物品の使用が義務づけられる施設の例に挙がっています。カーテン、布製のブラインド、暗幕、じゅうたん等、展示用の合板などが対象です。店づくりの材料を決める前に、施設の管理側へ、防炎が必要かを確かめてください。
ポップアップストアは、数日から数週間だけ開く期間限定の店です。目的を1つ決めて、百貨店・ショッピングセンター・駅・レンタルスペースのうち2〜3か所に問い合わせ、申し込み先と払い方、決まりを並べて比べると、場所を選びやすくなります。
まずは、目的と会期の候補日を書き出して、気になる場所の募集ページを開くところから始めてみてください。準備シートも、場所の比較を書き込むときに使えます。店づくりの設計や施工で手が足りないときは、お問い合わせからご相談ください。
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