イベントの司会を外に頼むときは、先に「どんな会か」と「司会者にどこまで任せるか」を決めてから、頼み先を選ぶと進めやすくなります。料金は本番の長さより、集合から解散までの拘束時間と、台本作り・打ち合わせ・リハーサルのような本番以外の仕事で変わるからです。
司会の料金は、頼み先によって15分ごと、1時間ごと、1回の会でいくら、と出し方がばらばらなので、金額だけを並べても比べにくいんですよね。
たとえば本番が1時間の式典でも、開場の1時間前に集合して前日にリハーサルがあれば、司会者が動く時間は本番の何倍にもなります。台本を司会者が書くのか、主催者が書いたものを読むだけなのかでも、頼む仕事の量はかなり違ってきます。
この記事では、司会の頼み先3つ、料金が変わる6つの条件、自治体の仕様書を手本にした頼む範囲の書き方、英語の司会が要る会の決め方、司会者に渡す情報と頼む時期をまとめました。イベントの企画・施工と、司会を含むスタッフの手配をしている会社の目線でお伝えします。
イベントの司会の頼み先は、司会者の事務所・個人の司会者・イベント会社の3つ
司会を外に頼む先は、大きく分けて3つです。どこが合うかは、会の格と、司会のほかに何を頼みたいかで変わります。
| 頼み先 | 向いている会 | 頼めること | 頼む前に確かめたいこと |
|---|---|---|---|
| 司会者の事務所(司会者やアナウンサーが所属する会社) | 社外のご来賓が多い式典、発表会、報道の方が来る会 | 会に合う司会者を選んでもらえる。経歴の分かる司会者を立てやすい | 台本作りと打ち合わせが料金に入っているか、当日の音響は誰が用意するか |
| 個人の司会者(フリーで活動している方、紹介サイトで探せる方) | 社内の懇親会、店舗の催し、地域の行事 | 本人と直接やり取りできる。日程が合えば頼みやすい | 急に出られなくなったときに代わりの方を立ててもらえるか、請求書を出してもらえるか |
| イベント会社・スタッフ派遣会社 | 音響・ステージ・受付も一緒に頼みたい会 | 司会と、音響・映像・受付などの人と機材をまとめて手配できる | 司会者がどの会社の所属か、当日の指示を誰が出すか |
社内の方が司会をするか外に頼むかで迷っているときは、イベント司会進行の例文と台本の記事の「プロの司会者に頼むほうがいい会」の表を先に見てみてください。この記事は、外に頼むと決めたあとの話です。
派遣会社を比べるときの見方(派遣か請負か、見積りの条件など)は、イベントスタッフ派遣会社の選び方の記事で詳しく書いています。

イベントの司会の料金が変わる6つの条件
司会の料金は、主に次の6つの条件で変わります。見積りを取るときは、この6つを頼み先に同じように伝えると、金額の差がどこから来ているかが見えます。
| 条件 | 金額が上がりやすいのはこんなとき | 見積りで確かめること |
|---|---|---|
| 拘束時間 | 集合が早い、本番のあとに懇親会の進行も続く | 料金の時間が「本番だけ」か「集合から解散まで」か |
| 台本作り | 司会者に台本を一から書いてもらう | 台本を書いてもらう料金が別か、込みか |
| 打ち合わせとリハーサル | 対面の打ち合わせが複数回、前日のリハーサルがある | 何回まで料金に入っているか |
| 英語・二か国語 | 英語でも進行する、通訳と組む | 英語の原稿を誰が用意するか |
| 移動と前泊 | 会場が司会者の住まいから遠い、朝が早い | 交通費・宿泊費が別か、込みか |
| 司会者の経歴・出演の形 | アナウンサーや名前の知られた方に頼む | 指名の料金があるか |
拘束時間は、本番の長さではなく集合から解散までで考える
司会者は、本番の前に会場で音響の担当とマイクの確認をして、式次第の変更がないかを主催者と確かめてから本番に入ります。そのため、本番が1時間の会でも、司会者が会場にいる時間はその倍くらいになることも珍しくありません。
見積りを頼むときは、本番の時刻だけでなく、集合してほしい時刻と、解散の目安の時刻も伝えてください。式典のあとに懇親会があって、そちらの進行もお願いするなら、それも先に伝えておくと、あとから追加の料金で驚かずに済みます。
台本を書くのは誰か、で頼む仕事の量が変わる
台本を主催者が用意して司会者が読む形と、式次第だけを渡して司会者に台本を書いてもらう形では、司会者の仕事の量がかなり違います。どちらで頼むかを、見積りの前に決めておきます。
台本を自分たちで用意するなら、司会台本の作り方と例文の記事の形でまとめておくと、司会者が読みやすく、確認の手間も減ります。台本を任せる場合でも、呼ぶ方の名前と読み方、肩書きは主催者にしか分からないので、一覧にして渡してください。
打ち合わせとリハーサルは、回数と日にちを先に決める
打ち合わせが電話1回で済むのか、会場で対面して行うのか、前日にリハーサルをするのかで、司会者の予定の押さえ方が変わります。リハーサルが本番の前日なら、司会者はその日の別の仕事を入れられなくなるからです。
表彰や映像のきっかけが多い会、ご来賓の入退場がある式典では、リハーサルを1回は入れておくと本番が落ち着きます。社内の懇親会のように進行が単純な会なら、当日の本番前の確認だけで足りることも多いです。

英語・移動・司会者の経歴も、見積りの前に伝えておく
英語でも進行してほしいときは、英語の原稿を主催者が用意するのか、司会者に訳してもらうのかで、料金と準備の期間が変わります。くわしくは、このあとの「英語の司会が要る会」の章で書いています。
会場が遠い、本番が朝早いなどで移動や前泊が要るときは、交通費と宿泊費の扱いを確かめておきます。アナウンサーや名前の知られた方を指名するときは、指名の分の料金がかかることがあるので、指名するかどうかも先に決めておくと見積りがぶれません。
見積りをそろえるには、頼む範囲を紙に書いてから声をかける
司会の見積りを何社かから取るときは、頼む範囲を先に紙に書いて、同じ紙を全員に渡すのが一番の近道になります。口頭で伝えると、相手ごとに受け取る条件がずれて、金額が比べられなくなるからです。
自治体が式典の運営を外に頼むときの仕様書(頼む仕事の中身を書いた書類)は、この書き方の手本になります。司会について、次のように頼む範囲を書き分けています。
| 自治体の式典 | 司会について書いていること |
|---|---|
| 岩手県の平泉の世界遺産登録の記念式典などの運営業務の仕様書(2021年9月。屋外の駐車場にテントを張った会場で参加者約70人、式典は10時30分〜11時10分) | 進行役として司会者を1名置き、司会進行の調整を行う |
| 京都市「平成31京都市成人の日記念式典」運営業務委託のプロポーザル仕様書(2019年1月の式典) | 司会者・出演者・映像音響照明の業者との企画調整、市が作るステージ進行台本の確認と助言、前日と当日のリハーサル |
| 船橋市「船橋市成人式企画運営業務仕様書」(2027年1月の成人式) | 司会者は希望者から選び(多ければ選考)、受託した会社が発声の練習と指導・助言を行う。指導する人は司会を本職とする人か、司会の経験者とする。シナリオ(台本)は受託した会社が作り、変わるたびに出し直す。リハーサルは前日 |
京都市と船橋市の仕様書は、「司会者を置く」だけで終わらせず、台本を誰が作るか、リハーサルをいつするか、誰と調整するかまで書いています。岩手県のように1行で済ませる書き方もありますが、会社の行事で何社かに見積りを頼むなら、この3点まで書いておくと見積りの中身がそろいやすくなります。
船橋市の例は、ほかの2つと頼み方が少し違います。司会はプロに頼まずに希望者が務め、プロには練習を見てもらう形なので、「社員が司会をしたいけれど、ちゃんとした会にしたい」というときの参考になると思います。
出典:岩手県 平泉の世界遺産登録の記念式典などの運営業務 業務仕様書(2021年9月)、京都市「平成31京都市成人の日記念式典」運営業務委託におけるプロポーザル仕様書、船橋市「船橋市成人式企画運営業務仕様書」、いずれも2026年11月6日確認

頼む範囲をまとめるときは、下のシートが使えます。会の概要、集合から解散までの時刻、台本・打ち合わせ・リハーサルの扱い、英語の有無、音響の用意、司会者に渡す資料を書き込み、そのまま見積りの依頼に添えられます。3社までの見積りを並べて比べる欄も付けました。
英語の司会が要る会は、どこまで英語にするかを先に決める
海外からのご来賓や参加者がいる会では、全部を日本語と英語の両方で進めるのか、あいさつと案内の要所だけ英語にするのかを、先に決めておきます。英語にする範囲で、司会者の選び方と進行の時間が変わるからです。
進め方は、主に次の3つがあります。
- 日本語と英語の両方で進める司会者に頼む:1人で両方の言葉を話すので、進行が途切れにくくなります。同じ内容を2回言うぶん、進行の時間は日本語だけのときより長くなります
- 日本語の司会者と、通訳の方を別に頼む:あいさつやスピーチを訳す場面が多い会に向いています。通訳の方の立つ位置とマイクを、もう1組用意します
- 開会・休憩・閉会の案内だけ英語にする:海外の方が少数の会なら、要所の案内だけ英語にして、スピーチは資料の英訳を配る形でも足ります
どの形でも、英語の原稿は早めに用意しておくのがおすすめです。ご来賓の名前の英語の読み方や肩書きの訳は、司会者には分からないので、主催者側で確かめて渡します。
AGSでは、英語・スペイン語・ポルトガル語・ドイツ語・フランス語などに対応できるスタッフも手配しています。対応できる方の人数には限りがあるので、海外の方の受付・案内や通訳が要る会は、日程が決まった時点でご相談いただくと確実です。

司会者に渡す情報と、頼む時期
司会者には、式次第・呼ぶ方の名前と読み方・当日の時刻の3つを、遅くとも打ち合わせの前までに渡します。この3つが揃っていないと、司会者は台本を固められず、打ち合わせの時間がその確認で終わってしまいます。
渡すものを一覧にすると、次のとおりです。
| 渡すもの | 中身 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 式次第 | 開会から閉会までの順番と時刻 | 変わったら、その都度新しいものを送り直す |
| 呼ぶ方の一覧 | 名前、読み方、肩書き、会社名 | 読み方は本人か秘書の方に確かめる |
| 当日の時刻 | 集合、会場の入り、本番、解散 | 会場の利用時間と合っているか |
| 会場の情報 | 会場名、司会台の位置、控室 | 司会台が無い会場は、何で代わりにするか |
| 音響と映像の担当 | 誰が音と映像を出すか、連絡先 | 司会者と音響の担当が当日の前に話せるか |
| 服装の希望 | 会の格に合わせた服装 | 主役やご来賓より目立たない色にしてもらう |
頼む時期は、日程が決まったらすぐがおすすめです。年末年始の会社の行事や、年度の初めの式典が多い時期は、司会者の予定が埋まりやすくなります。会場を押さえたのと同じ週に、司会者にも声をかけておくと安心です。

音響・ステージと司会をまとめて頼むと、本番のきっかけ合わせが一度で済む
司会者と音響の担当を別々に頼むと、「どのセリフで音楽を止めるか」「どこで映像を出すか」の合わせを、主催者が間に入ってやることになります。まとめて頼めば、その合わせを手配した会社の中で済ませられます。
司会のきっかけと音響・映像の操作は、本番でずれやすいところです。打ち合わせを別々にしていると、司会者は台本どおりに読んでいるのに、音響の担当には古い式次第しか届いていなかった、ということが起きます。窓口を1つにしておくと、式次第が変わったときの連絡も1回で済みます。
AGSでは、司会(MC)を含むイベントスタッフの派遣と、ステージ・音響・映像の設営を承っています。司会だけのご依頼も、受付や設営のスタッフ、ステージと一緒のご依頼も大丈夫です。ステージの施工の実例は、KIDS EXPO 2017 のステージ設営などを制作実績でご覧いただけます。
音響の機材の決め方はイベントの音響の記事に、当日のスタッフの持ち場の組み方はイベント当日の運営体制の記事にまとめています。「まだ式次第も決まっていない」という段階でも、日時と会場、会の種類が分かればお見積りをお出しできます(お見積りは無料です)。

よくある質問
Q. 司会だけを頼むことはできますか?
できます。司会者の事務所や個人の司会者は司会だけの依頼が中心ですし、イベント会社でも司会だけを受けているところがあります。AGSでも司会だけのご依頼を承っています。その場合、マイクやスピーカーを誰が用意するかは、別に決めておく必要があります。
Q. 打ち合わせは、当日の本番前だけで大丈夫ですか?
社内の懇親会のように進行が単純な会なら、事前に電話かメールで式次第と名前を確かめておけば、当日の本番前の確認だけで足りることが多いです。表彰や映像が多い会、ご来賓のいる式典は、本番の前に一度、打ち合わせかリハーサルを入れておきましょう。
Q. 司会者が急に来られなくなったら、どうなりますか?
頼む前に、代わりの司会者を立ててもらえるかを確かめておくと安心です。司会者の事務所やイベント会社は代わりの方を探せることが多く、個人の司会者の場合は、本人に知り合いの司会者がいるかを聞いておきます。念のため、台本は主催者の手元にも1部残しておくと困りません。
Q. 司会の料金は、いつ払うのが一般的ですか?
頼み先によって違います。個人の司会者は当日の精算や、終わってからの振込のことがあり、会社に頼む場合は請求書による後払いが多いです。経理の締め日に合わせたい場合は、見積りのときに請求書の出し方とあわせて確かめておきます。
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