パネル製作は、先に「何に使うか」を決めると、素材・大きさ・立て方を順番に絞り込みやすくなります。等身大パネルで人を呼ぶのか、案内パネルで道を示すのか、展示パネルで説明を読んでもらうのかで、見る距離も置く場所も違うからです。
素材の名前から考え始めると、話がなかなかまとまりません。
たとえば、展示会場の中で一度だけ使う説明パネルなら、軽いスチレンボードで十分でしょう。ところが、同じ大きさでも屋外の入口に何日か立てる案内パネルなら、雨と風を考えて素材も脚も変わります。さらに展示会場では、パネルの高さや防炎について会場ごとに決まりが設けられていることも多いんです。
この記事では、用途から決める順番に沿って、素材の選び方、見る距離から決める大きさと文字、立て方と転倒の防ぎ方、展示会場の防炎、切り抜きの線を含む入稿データ、人物の写真やキャラクターを使うときの注意、費用が動く要素と日程をまとめました。会場で使うパネルや販促物を作り、展示会や催事の会場に設置もしている会社の目線で書いています。
パネル製作は、用途を先に決めると素材・大きさ・立て方が選びやすい
最初に決めるのは、そのパネルで来られた方に何をしてほしいかです。足を止めてほしいのか、迷わず進んでほしいのか、内容を読んでほしいのかで、パネルの作りが変わります。

| 用途 | 来られた方にしてほしいこと | 見る距離 | 作りの決め手 |
|---|---|---|---|
| 等身大パネル(人物・キャラクター) | 足を止める、一緒に写真を撮る | 遠くから気づき、近くで見る | 切り抜きの形、倒れにくい脚、運び方 |
| 案内・誘導のパネル | 迷わずに進む、受付の場所が分かる | 歩きながら数メートル先から | 文字の大きさ、立てる高さ、屋外なら風と雨 |
| 展示・説明のパネル | 立ち止まって内容を読む | 1〜2m前後の近く | 文字の量と大きさ、写真の解像度、並べる枚数 |
| 店頭のPOP・卓上のパネル | 商品に目を向ける、手に取る | 手の届く近さ | 置く台の大きさ、小さくても読める文字 |
| 記念撮影の背景・顔出しパネル | 写真を撮って投稿する | 撮る人が下がる距離 | 背景の幅と高さ、立ち位置、照明 |
等身大パネルは、人の形に切り抜いて、裏の脚で立たせるパネルです。売場やブースの前に置くと、通りがかった方が足を止めるきっかけになります。
記念撮影の背景や顔出しパネルは、撮る人数と撮る距離で寸法が決まるので、考え方が少し違います。背景の寸法と立ち位置の決め方はフォトスポットの作り方の記事に、記者会見で登壇者の後ろに立てるパネルはバックパネルの記事に、それぞれまとめました。
パネルを何枚か作るときは、1枚ずつ用途を書き出しておくと、見積りを頼むときに話が早く進みます。
素材は、屋内か屋外か・何回使うか・運び方で選ぶ
素材は、屋内か屋外か、何回使うか、どうやって運ぶかの3つで選びます。屋内で一度だけ使うなら軽い発泡系の板、屋外や何度も使うなら硬い板、というのが大きな分かれ目です。

| 素材 | どんな板か | 向く場面 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|---|
| スチレンボード | 発泡したポリスチレンの軽い板。印刷を貼り合わせて使う | 屋内で、展示会や催事の会期中だけ使う | 水と傷に弱い。屋外には向かない |
| 段ボール | 紙の板。等身大パネルでは折りたたみや組み立て式にもできる | 軽く運びたい、店頭にいくつも置く | 水と湿気に弱い。防炎が求められる場所か確かめる |
| アルミ複合板 | 薄いアルミで樹脂をはさんだ板 | 屋外に置く、何度も使う、長く置く | 重く、切り抜きの形によっては加工に手間がかかる |
| 木の合板 | 木の板。脚や枠と組んで丈夫に作れる | 大きな自立のパネル、ステージや会場の造作 | 展示用の合板は防炎物品の対象 |
スチレンボードは、細かいポリスチレンの発泡粒でできた板で、軽くてカッターで切りやすい素材です。武蔵野美術大学の「造形ファイル」では、表面の紙は多くの場合耐水性がないので濡れるおそれのある場所では使わないほうがよいこと、やわらかく傷がつきやすいので角をぶつけないよう気をつけることが書かれています(出典:武蔵野美術大学「MAU造形ファイル スチレンボード」・2026年10月19日確認)。
屋外に立てるパネルは、硬い板にします。アルミ複合板のメーカーである三菱ケミカルインフラテックは、看板やサインの用途について、鉄や木材と比べてさびにくく、平らで軽く、切断などの加工も簡単だと案内しています(出典:三菱ケミカルインフラテック「アルポリック 看板・サイン」・2026年10月19日確認)。
使う回数も大事です。会期のあとも使い回すつもりなら、最初から角がつぶれにくい板にして、運ぶときの梱包と保管の場所まで決めておきます。スチレンボードを1回ずつ作り直すほうが安く済むこともあるので、何回使うかは見積りを頼むときに伝えてください。
大きさと文字は、見る距離と置く場所で決める
パネルの大きさは、見る人がどのくらい離れて見るかと、置く場所に収まるかで決めます。中でも案内のパネルは、文字が読めるかどうかで役に立つかが決まるので、見る距離から文字の大きさを先に決めておくと安心です。

文字の大きさの目安として使いやすいのが、国土交通省が駅などの案内サインのために示している目安です。近くから見る自立型や壁付型の案内サインは4〜5m以下、案内サインの見出しは10m程度の距離から見ることを想定し、それぞれの距離で読める文字の高さを次のように示しています(出典:国土交通省「ガイドライン『参考』の主な修正」(資料4・参考2-2-3 文字の大きさの選択の目安)・2026年10月19日確認)。
| 見る距離 | 和文の文字の高さ | 英文の文字の高さ |
|---|---|---|
| 1〜2m | 9mm以上 | 7mm以上 |
| 4〜5m | 20mm以上 | 15mm以上 |
| 10m | 40mm以上 | 30mm以上 |
| 20m | 80mm以上 | 60mm以上 |
| 30m | 120mm以上 | 90mm以上 |
同じ資料では、この文字の高さは最低限の目安で、見えにくい方のためにはもっと大きくする必要があることも書かれています。会場の案内パネルなら、この表より一回り大きく作ると読みやすくなります。
説明のパネルは、見る距離が1〜2m前後になることが多いです。本文の文字は小さくても読めますが、通路から何のパネルかが分かるように、見出しだけは遠くからでも読める大きさにしておきます。
等身大パネルは、名前のとおり実物の大きさにすることが多いです。ただ、人の背丈ほどの板は、車の荷台やエレベーターに入るかで運べるかどうかが決まります。大きなパネルは、分けて作って会場で組むか、折りたためる作りにできるかを、作る会社に聞いておいてください。
立て方は、置く場所と倒れたときの危なさで選ぶ
パネルの立て方は、大きく4つあります。どれにするかは、置く場所と、倒れたときにどれくらい危ないかで選びます。

| 立て方 | どんな作りか | 向く場面 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|---|
| 裏の脚で自立させる | 板の裏に三角の脚や支えを付ける | 等身大パネル、床に置く案内パネル | 人が当たると倒れやすい。重りや固定を考える |
| スタンドやイーゼルに載せる | 専用のスタンドに板をはさむ、載せる | 受付の案内、説明のパネルを何枚も並べる | スタンドの脚が通路にはみ出さないか |
| 吊る | 天井やトラスからワイヤーで下げる | 遠くから見せたい見出し、会場の上の案内 | 吊れる場所と重さの決まりは会場ごとに違う |
| 壁や什器に付ける | 両面テープ、フック、ビスで留める | 壁面の説明、売場の棚まわりのPOP | 壁に跡を残せるか、施設の決まりを確かめる |
展示会場では、転倒を防ぐ据え付けが求められます。東京ビッグサイトの防災ガイドラインには、通路や避難口に避難の妨げになる資材を置かないこと、地震による展示物の転倒や落下を考えた据え付けにすることが書かれています(出典:東京ビッグサイト「防災ガイドライン」2025年3月18日施行(PDF)・2026年10月19日確認)。
自立のパネルは、置いた場所で人が当たっても倒れないかを、設営のときに軽く押して確かめておくと安心です。子どもの多い会場や、人の流れが速い通路のそばでは、脚に重りを載せるか、壁や什器に留めておきます。
屋外では、雨に加えて風が一番の心配です。屋外のイベントでの風への備え方は、屋外イベントの装飾の記事に書いています。店の前の歩道や道路に置く場合は、置いてよい場所に決まりがあるので、販促ツールの記事の「店の外に出すのぼり・看板」の節もあわせて見てください。
展示会場で使うパネルは、防炎と高さの決まりを先に確かめる
展示会場や催事の会場に持ち込むパネルは、作る前に会場の決まりを読んでおきます。防炎と高さは素材と大きさに直接響くので、デザインを決める前に確かめておきたいところです。

消防法施行令は、防炎の性能が求められる物品として、カーテンやじゅうたんと並んで「展示用の合板」を挙げています(出典:e-Gov法令検索「消防法施行令」第4条の3第3項・2026年10月19日確認)。展示場や店舗などで、合板で作る自立のパネルや、パネルの脚や台に合板を使うときは、防炎の合板を選ぶのが基本です。
会場によっては、法令の対象より広い範囲で決まりを設けています。東京ビッグサイトの防災ガイドラインでは、東ホールなどの展示用パネルは高さを原則3m以下とし、防炎物品か、難燃以上の性能をもつ建築材料などを使うこととされているんです。また同じガイドラインでは、発泡ポリスチレンやアクリルなどの燃えやすい石油化学製品は、工作物として使わないように努めることとも求めています(前掲・東京ビッグサイト防災ガイドライン)。
スチレンボードのパネルを壁に貼る使い方と、大きな板を組んで工作物として立てる使い方では、扱いが違うこともあります。どこまでが認められるかは会場と展示会ごとに違うので、出展者マニュアルの「装飾」「防炎」の項を読み、分からないときは主催者に確かめてください。
展示会の小間の壁に貼るパネルの決まりと素材の使い分けは、展示会の壁面装飾の記事に詳しく書いています。
入稿データは、切り抜きの線を最初に決める
パネルのデータで最初に決めたいのは、切り抜きの線です。四角いパネルなら仕上がりの寸法だけで足りますが、等身大パネルのように形に切り抜くパネルは、どこで切るかを決めないと印刷の準備に入れません。

切り抜きの線は、絵柄の輪郭そのままではなく、少し外側に引くことが多いです。髪の毛先や指のような細い部分を輪郭どおりに切ると、折れやすく、立てたときにも見栄えが落ちてしまいます。細い部分はまとめて丸い線でつなぎ、外側に白い縁や色の縁を付けて切ります。
もう1つ見ておきたいのが、脚を付ける場所です。板の下の方が細い絵柄(足元がそろっていない立ち姿など)は、脚を付ける面が取りにくく、倒れやすくなります。足元に台になる部分を足すか、床まで届く形にしておくと安定します。
切り抜きの線のほかに、印刷会社や作る会社に確かめておきたいことは次のとおりです。
| 確かめること | 聞いておく内容 | 聞かずに進めると起きやすいこと |
|---|---|---|
| 切り抜きの線 | 線を誰が引くか。データにどう描き込むか | 細い部分が折れる、思った形と違う |
| 仕上がりの寸法 | 原寸で作るか、縮尺で作るか | 大きさを取り違えて作り直しになる |
| 解像度 | 原寸でどのくらいあれば足りるか | 画面用の小さな写真を引き伸ばして粗くなる |
| 断ち落とし | 仕上がりの外側に何mm絵柄を延ばすか | 切りのずれで端に白い線が出る |
| 色 | 企業の色を色番号で指定できるか、色見本を出せるか | 画面と印刷で色が違い、当日に気づく |
| 文字 | フォントをアウトライン化(文字を図形に変換)するか | 別のフォントに置き換わる |
解像度や断ち落とし、色の合わせ方は、大きなパネルでも考え方は同じです。展示会の壁のような大判の出力について、展示会の壁面装飾の記事の「入稿データで困らない決め方」で項目ごとに書いているので、データを作る方に渡すときの参考にしてください。
ここまでの用途・素材・大きさ・立て方・データを、パネル1枚ごとに書き出せるシートを用意しました。作る会社に渡すと、見積りの条件がそろった状態から話を始められます。
人物の写真やキャラクターを使うなら、使ってよいかを先に確かめる
等身大パネルに人物の写真やキャラクターの絵を使うときは、デザインを作る前に、使ってよいかを確かめておきます。印刷してパネルにすることも、絵や写真を複製することにあたるからです。

文化庁の著作権テキストでは、複製権は著作者の最も基本的な権利で、印刷や写真撮影など方法を問わず、著作物を形のある物に作り直すことに働くと説明されています。写真も、絵やイラストも著作物にあたります(出典:文化庁「著作権テキスト 令和8年度版」(PDF)・2026年10月19日確認)。キャラクターの絵を使うなら、その権利を持つ会社の許諾が要ります。人物の写真も、撮ったカメラマンや写真の権利を持つ会社に、パネルに使ってよいかを確かめておきます。
写っている人の側の権利もあります。同じテキストでは、肖像権は自分の肖像をみだりに公開されない権利、パブリシティ権は芸能人やスポーツ選手などの氏名や肖像の価値にもとづく権利とされ、どちらも法律の条文ではなく判例で確立された権利だと説明されています。芸能人の多くは、所属する芸能プロダクションがパブリシティ権を管理していることが多いとも書かれています(前掲・文化庁テキスト)。
社員の方やモデルの方を等身大パネルにするときも、パネルにして会場に置くこと、会期のあとにどう扱うかを、本人に伝えて了承をもらっておくと安心です。
費用が動く要素と、会期から逆算した日程
パネル製作の金額は、大きさと枚数だけでは決まりません。素材、切り抜きの形、脚や立て方、設置まで頼むかで、同じ大きさでもかなり変わります。

| 費用が動くところ | 動く理由 |
|---|---|
| 大きさと枚数 | 板と印刷の面積が増える。1枚だけだと、データの準備の手間が1枚に乗る |
| 素材と厚み | スチレンボードのような軽い発泡の板より、アルミ複合板や合板のほうが、板の金額と加工の手間が上がりやすい |
| 切り抜きの形 | 四角か、人の形か。細かい形ほど切る手間が増える |
| 立て方 | 脚、スタンド、重り、吊りの金具などの部品が増える |
| 防炎 | 防炎の合板や、防炎の性能をもつ素材にすると、材料が限られる |
| データの作成 | 写真の切り抜き、文字の組み直し、デザインから頼むか |
| 運搬と設置 | 会場まで運ぶか、設置と撤去まで頼むか、作業の時間帯 |
| 保管 | 使い回すなら、会期の合間の保管の場所と期間 |
検索すると「1枚◯円〜」という金額がよく出てきます。その金額にデータの作成、脚やスタンド、会場への運搬や設置が入っているかは、お店や商品によって違います。データの作成から頼む、会場で立てて片付けるところまで頼む、となると見積りの範囲が変わります。比べるときは、どこまでが金額に入っているかをそろえてから比べてください。
日程は、使う日から逆算します。
| さかのぼる順 | やること |
|---|---|
| 使う日 | 会場で設置する(屋外なら天気も確かめる) |
| その前 | 納品(会場に直接届けるか、事前に受け取るか) |
| その前 | 印刷・切り抜き・脚の取り付け |
| その前 | 校正(色と切り抜きの線を確かめる) |
| その前 | データの入稿と、写真やキャラクターの使用の確認 |
| その前 | 用途・素材・大きさ・立て方を決めて見積りを頼む |
四角いパネルを印刷するだけなら短い日数で仕上がることもありますが、切り抜きの線を決める作業や、写真やキャラクターの使用の確認には時間がかかります。展示会のように主催者に書類を出す締切があるときは、その日から逆算して早めに相談しておくと安心です。
AGSにパネル製作を頼む場合
AGSは販促ツール制作の一つとして、等身大パネルや各種のPOP、記者会見の背景に立てるバックパネル、置くだけで立つバナースタンドなど、会場で使う制作物を作っています。

催事や展示会の設営を自社でしているので、屋外での傷みにくさや、会場での立てやすさまで考えた仕様をご提案できます。デザインはグループ会社のアディザイン(Web・グラフィック)と連携して作るので、会場の装飾やチラシと色やロゴの見せ方をそろえられます。
これまでに、小倉競馬場「UMAJO SPOT」様の案内・メニューパネルやエントランスボード、天神地下街様のグルメマップの制作と設置などを手がけてきました。
用途とおおよその大きさが決まっていれば、デザインのデータがまだない段階でも大丈夫です。拠点は福岡・博多で、現場は全国に伺っています。お見積りは無料でお出しします。
よくある質問
Q. 等身大パネルは1枚から作れますか?
1枚から受けている会社が多いです。ただ、切り抜きの線を決める作業やデータの準備の手間は枚数に関係なくかかるので、1枚だけだと1枚あたりの金額は高くなりがちでしょう。同じ絵柄で何枚か作るか、会期のあとも使い回すかを伝えると、作り方を合わせて提案してもらえます。
Q. スチレンボードのパネルは屋外で使えますか?
おすすめしません。スチレンボードは表面の紙が水に弱く、やわらかく傷つきやすい素材です。屋外で使うなら、アルミ複合板のような硬い板にして、風で倒れないように脚と重りまで決めておいてください。
Q. デザインのデータがなくても頼めますか?
デザインから頼める会社もあります。手元に写真やロゴの元データがあれば、それを渡して、用途と置く場所、見る距離を伝えてください。写真はできるだけ大きいサイズのものを探しておくと、大きなパネルでもきれいに仕上がります。
Q. 一度作ったパネルを次のイベントでも使えますか?
素材と保管のしかた次第で使えます。何度も使うつもりなら、最初から角がつぶれにくい板にして、日付や会期のように変わる情報は、貼り替えられる別のパネルに分けておくと、次の会でも本体をそのまま使い回せるはずです。
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