食育イベントを初めて企画するなら、野菜の重さ体験やクイズ、パネル展示のような「食べ物を出さない企画」から始めるのがおすすめです。自社のスタッフだけで、早ければ今週からでも開けます。
食べ物を出さない企画をすすめる理由は、会場で食べ物を出すかどうかで、保健所や消防署への手続きが変わるからです。福岡市の場合、イベントで食べ物を出すには原則として臨時営業の許可が要り、2週間前を目安に窓口で申請します。おにぎりやサラダ、生の野菜を添えた料理は、この許可では出せません。人が集まる催しでコンロやホットプレートを使うなら、消防署への届出も加わります。
実際に、食べ物を出さなくても親子に来てもらえている例はあります。スーパーのマルエツは板橋南町店のイベントスペースで、野菜350gの重さを持ってみる体験と、野菜をどれくらい食べているかの測定会を企画しました。申込不要の自由参加で、10時から16時までの開催です(出典:マルエツ プレスリリース・2026年9月27日確認)。
まずは食べ物を出さない企画で形をつくり、試食や料理体験は手続きを確かめてから足していけば、初めてでも無理なく進められます。
この記事では、お店やメーカー、JA、自治体が実際に企画した食育イベントを21件、手軽なものから順に紹介します。企画の前に決めること、食べ物を出すときの手続きとアレルギー、親子で来る会場の整え方、自社の商品や売り場へのつなげ方もまとめました。イベントの企画・制作・施工をしている会社の目線で書いています。
食育イベントの企画は「ねらい・来てほしい人・一番伝えたいこと」から決める
企画を考える順番は、ねらい、来てほしい人、一番伝えたいこと、そのあとに中身です。農林水産省が自治体向けにまとめた手引きも、この順番で企画を具体化するよう勧めています。
| 順番 | 決めること | 書き方の例(スーパーの場合) |
|---|---|---|
| 1 | ねらい | 野菜売り場に親子で足を運んでもらう |
| 2 | 来てほしい人 | 未就学児から小学校低学年の子どもと保護者 |
| 3 | 一番伝えたいこと | 野菜は1日にこれくらい食べるとよい、という量の感覚 |
| 4 | 企画の中身 | 野菜の重さ体験と、売り場を回るクイズ |
同じ手引きには、伝えたいことを詰め込まない、関心の低い方には文字で読ませるより体験して気づいてもらう、という助言も載っています。規模に応じて、半年から1年前には検討を始めるのが目安です(出典:農林水産省「食育イベント開催の手引きと事例」(PDF)・2026年9月27日確認)。
もう1つ面白いのが、「食育」という言葉にこだわらないほうが効果的な場合もある、という指摘です。
農林水産省の意識調査では、食育に関心がある方は79.1%でした。関心がない方が挙げた理由で一番多かったのは「食育自体についてよくわからないから」です(出典:農林水産省「食育に関する意識調査報告書」令和8年3月(PDF)・2026年9月27日確認)。
告知では「食育イベント」と大きく書くより、「野菜の重さ、当てられるかな」のように、何をするのかが分かる言葉を前に出すほうが伝わりやすくなります。
企画全体の組み立て方はイベント企画の立て方にまとめています。
食育イベントの企画アイデア21件【手軽な順】
アイデアは、手軽なものから順に3つに分けて21件並べました。どれも、お店やメーカー、JA、自治体が実際に開いた例か、開催を告知した例を付けています。
最初のグループは、食べ物を出さないので保健所の手続きが関わらない企画です。2つ目のグループも、会場で食べ物を出さずに、少しの準備で自分たちで回せるものを集めました。
今週からできる、食べ物を出さない企画
野菜350gの重さを持ってみる
袋やかごに野菜を350g入れて、手に持ってもらう体験です。量の感覚は説明を読むより持ったほうが早く伝わりますし、はかりと野菜があれば今日からできます。
実例: リードで紹介したマルエツの体験は、東京都の「野菜、あと1皿!キャンペーン」の一環で、同じ時期に都内155店舗で取り組みがありました(出典:マルエツ プレスリリース・2026年9月27日確認)。岐阜市が2026年6月にドラッグストアのV・drug柳ケ瀬店の店舗前通路で開いた食育月間のミニイベントでも、V・drugの健康コーナーで1日分の野菜350gを計るチャレンジが行われました(出典:岐阜市 公式サイト・2026年9月27日確認)。
マルエツは野菜の摂取量の測定会を、岐阜市の催しでは手のひらをかざして測るベジチェックを一緒に置いていました。測定には専用の機器が要るので、最初は重さ体験だけでも十分です。
テーマを決めたパネル展示とレシピ配布
売り場の一角やイベントスペースにパネルを並べ、子どもと作れるレシピを持ち帰ってもらいます。パネルのテーマを減塩や地元の魚のように1つずつ絞ると、立ち止まった方が読み切れる量になります。
実例: 鹿児島県鹿屋市は、食育月間の2026年6月12日から21日まで、イオンかのやSCで展示を開きました。食べ物の適温、減塩、大隅の魚、食料の備蓄、食品ロスをテーマにしたポスターと食育の動画に加えて、子どもと作れるレシピの配布と、郷土料理の人気投票も行っています(出典:鹿屋市 公式サイト・2026年9月27日確認)。
人気投票のように、見るだけで終わらずシールを1枚貼れる仕掛けがあると、子どもが足を止めるきっかけになります。
家で余っている食品を持ち寄るフードドライブ
家庭で使い切れない食品を持ってきてもらい、フードバンクを通じて子ども食堂などに届ける取り組みです。回収箱を置く場所と、受け付ける食品の条件を決めれば始められます。
実例: 京都生協は、サービスカウンターの周りに回収箱を置き、毎月第1土日と第3火水に、18店舗のうち17店舗で回収しています。2017年に始めて、2022年度の回収量は7,536kgでした(出典:京都生協 トピックス・2026年9月27日確認)。
1回で終わらせず、日を決めて続けやすいのがフードドライブの良いところです。食品ロスのパネルやクイズと並べると、親子で話すきっかけにもなります。
野菜と食品ロスのクイズ
○×や3択で、野菜の旬や食べ残しの量を当ててもらう企画です。問題と答えの札があればよく、スタッフ1人で進行できます。
実例: スーパーのライフコーポレーションは、店舗の近くの学校で社員が野菜や果物のクイズを出し、食品ロスを題材にした「もったいない鬼ごっこ」も行っています。1回45分・無料で、2025年度は180回、9,934名が参加しました(出典:ライフコーポレーション 公式サイト・2026年9月27日確認)。
鹿児島市も、2023年7月30日に天文館図書館で、鹿児島女子短期大学を講師に食品ロスのクイズ学習を開いています(出典:鹿児島市 食育教室の記録・2026年9月27日確認)。
ライフの例は学校に出向く形ですが、問題の作り方は店頭のクイズにもそのまま生かせるでしょう。答えの札を売り場の棚に置けば、売り場を回ってもらう仕掛けになります。
少し準備すれば、自分たちでできる企画
食品サンプルで1食分を選び、栄養のバランスを見る
料理の食品サンプルを並べ、子どもにトレーへ1食分を選んでもらいます。選んだ組み合わせを見て、主食・主菜・副菜がそろっているかをその場で伝える企画です。
実例: 岐阜市健康づくり課は、2026年6月にV・drug柳ケ瀬店の店舗前通路で、食品サンプルを1食分トレーに乗せてもらい、その場で栄養のバランスを判定しました。管理栄養士が一人ひとりに助言しています(出典:岐阜市 公式サイト・2026年9月27日確認)。
農林水産省の調査では、主食・主菜・副菜を1日2回以上そろえる日が「ほぼ毎日」という方は36.1%にとどまり、そろわないときに抜けやすいのは副菜でした(出典:農林水産省「食育に関する意識調査報告書」令和8年3月(PDF)・2026年9月27日確認)。野菜売り場で開くなら、この「副菜が抜けやすい」という話が、そのまま売り場への案内になります。
おはしの持ち方ゲーム
豆やスポンジ、ビーズをおはしでつまんで、隣の皿へ移すゲームです。親子対決の形にすれば、保護者も一緒に参加できます。
実例: 鹿児島市は2024年3月26日、かごしま環境未来館で未就学児の親子を対象に、おはしの持ち方教室を開きました。豆・スポンジ・ビーズをつかむゲームと親子対決を行い、上手にできた子にはメダルを渡しています。講師は鹿児島ヤクルト販売の管理栄養士でした(出典:鹿児島市 食育教室の記録・2026年9月27日確認)。
食べ物を口に入れないので、手続きの心配が少ない企画です。小さなビーズは誤飲のおそれがあるので、未就学児の回では大きめの素材を選んでください。
野菜の断面でスタンプ遊び
オクラやれんこん、ピーマンなどを切って、断面にインクを付けて紙に押してもらいます。いつも食べている野菜の中身の形に気づけるのが、この企画の面白いところです。
実例: カゴメは2024年9月21・22日に、大阪のなんばスカイオで、本物の野菜の断面をスタンプにしてお絵描きするイベントを開きました。対象は2歳から小学生で、各日定員350名(保護者を含む)・無料・当日受付です。野菜の摂取量の測定、景品、フォトブースも一緒に置いていました(出典:南海沿線の子育て情報サイト イベント告知・2026年9月27日確認)。
インクで服が汚れやすいので、エプロンと手を拭く場所を用意しておくと保護者に喜ばれます。作品を持ち帰れるのも、この企画の強みです。
おつかいカードで売り場から食材を探す
子どもがカードを1枚引き、書かれた食材を売り場で探してきます。スーパーの売り場そのものが会場になるので、店の強みを生かしやすい企画です。
実例: 富山県の大阪屋ショップ射水店は、子育て情報サイト「ママスキー」と組み、2026年3月29日の10時から16時まで、「おつかいカード」に書かれた食材を模擬の売り場と実際の売り場から探すイベントを企画しました。無料で、ファミリーカード会員(当日入会可)の先着100名が対象です(出典:ママスキー 告知記事・2026年9月27日確認)。
参加の条件を会員にしておくと、イベントがそのまま会員登録のきっかけになります。売り場の混む時間帯を外して、通路で子どもが走らないようにスタッフを1人置いてください。
レシピ動画をQRコードで見てもらう展示
料理の写真とQRコードをパネルにして、作り方の動画はスマホで見てもらう展示です。その場で最後まで見られなくても、家に持ち帰ってもらえます。
実例: 倉敷市は、川崎医療福祉大学とイオンリテールとの共催で、イオン倉敷で野菜の日に、学生が考えた子ども向けの野菜レシピ3品の動画をQRコードで展示しました。例年は料理体験でしたが、この年は感染対策で動画に切り替えています。約100名の親子が来場し、子ども連れでじっくり見られない方がQRコードを読み取って帰る様子も報告されています(出典:川崎医療福祉大学 トピックス・2026年9月27日確認)。
動画を撮る手間はかかりますが、一度作れば売り場のPOPにも使い回せるのが利点です。
食品ロスの展示と、訳あり品の販売会を一緒に開く
規格外品や余った食品を並べた販売会に、食品ロスを学ぶ展示と子ども向けのクイズを添える企画です。学んだあとにその場で買えるので、売り場とのつながりが分かりやすくなります。
実例: 食品ロス削減の通販を手がけるロスゼロは、2026年5月30日の11時から15時まで、大丸須磨店の「食品もったいないセール!」にあわせて、店の正面の名谷駅前広場で、規格外・余剰食品について学べる展示と、子ども向けのクイズ・体験を無料で企画しました(出典:ロスゼロ 告知・2026年9月27日確認)。
販売する食品を包装されたものに限れば、会場で調理して出す企画より準備は軽くなります。ただ、販売だけでも品目によって許可や届出が要る場合があるので、保健所に確認しておいてください。
食べ物を出す、または講師や設備を手配する企画
ここからは、会場で食べ物を出すか、外部の講師や設備が要る企画です。食べ物を出す企画は、後半の「食べ物を出すか出さないかで、手続きが変わる」の章を先に読んでから選んでください。
お米や野菜の食べ比べ
品種や産地の違う食材を少しずつ並べて、違いを当ててもらいます。生産者の話とセットにすると、商品の背景まで伝えられます。
実例: 生協のアイチョイス岐阜は2026年7月29日、近江こだわり米工房の生産者の話、ミルキークイーン・滋賀旭・富山コシヒカリの3種の食べ比べ、お米クイズを組み合わせた会を開きました。参加者からは「食感が全然違う」という声が出ています(出典:アイチョイス 活動報告・2026年9月27日確認)。
かつお節のヤマキは、2012年からかつおぶし食育研究会と組んで小学校などで食育の授業を続けていて、2026年3月までに累計662カ所・5万734人が参加しています。親子向けの会では、みそ湯だけのものとかつお節を入れたものの飲み比べも行いました(出典:週刊食品「フードウイークリーWEB」の記事(2026年9月17日)・2026年9月27日確認)。
生の野菜や果物を切って出す食べ比べは、自治体によっては臨時営業の許可でも出せない食品にあたります。何を出すかは、保健所に相談してから決めてください。
味や匂いを当てる実験
色のシールを貼った紙コップに味の違う水を入れ、どれが甘いか、酸っぱいかを当ててもらう企画です。当てたあとに身近な食べ物で確かめると、子どもの記憶に残りやすくなります。
実例: 大阪ガスの「親と子の楽しいフレンチクッキング」では、甘味・酸味・苦味・塩味の水溶液を色シールの紙コップで当て、ハチミツ・梅干し・ゴーヤ・塩鮭で確かめる実験を行いました(出典:大阪ガス 食育の取り組み・2026年9月27日確認)。
福岡県うきは市で開かれた親子の収穫体験でも、紙コップに食材を入れてアルミホイルで閉じ、小さな穴から匂いを嗅いで中身を当てるクイズを取り入れています(出典:主催者のプレスリリース・2026年9月27日確認)。
匂い当ては口に入れないので、食べ物を出さずに始めたいときにも使える方法です。
親子でつくるおにぎり
炊いたご飯を容器に入れて振り、形を整えて、その場で食べます。包丁も火も使わないので、小さな子どもでも参加できます。
実例: JAあいち海部の女性部「米こめ食らぶ」は、2026年8月23日、地域の2歳児とその家族を対象に、おにぎりのデジタル絵本を見たあと、マラカス型の容器で親子がおにぎりを作り、管内の新米を食べる会を開きました。参加は親子9組37名です(出典:JAあいち海部「米こめ食らぶ」・2026年9月27日確認)。
おにぎりは、福岡市の臨時営業の許可では出せない食品に挙げられています。参加者が自分で作って自分で食べる形なら扱いが変わる自治体もあるので、会場を管轄する保健所に早めに相談してください。
瓶を振ってつくるバター
生クリームを瓶に入れて10〜15分振り続けると、バターができます。振っている間に中身が少しずつ変わっていく様子を見られるのが、この企画の面白いところです。
実例: 豊橋市の中央製乳は、出前授業で酪農家の話、瓶を振るバター作り、実物大の模型を使った乳しぼり体験(中身は水)を行っています(出典:中央製乳 ブログ・2026年9月27日確認)。
乳製品を使うので、申込のときに乳アレルギーの有無を聞いておいてください。模型の乳しぼりは食べ物を出さないので、それだけを先に試すのも一つの手です。
給食の試食会
地域の給食を保護者と子どもに食べてもらう企画で、学校給食センターや自治体と組むと実現しやすくなります。
実例: 東京都の府中市立学校給食センターは2026年10月3日、給食の試食(1食300円・各回80人を抽選で4回)、乳製品を除いたグラタンの試食(無料・先着50人を4回)、栄養教諭による15分のミニ授業、調理器具の展示、地場産野菜の販売を行います。献立ごとに特定原材料を明記している点は、ほかの催しでもまねできるところです(出典:府中市 公式サイト・2026年9月27日確認)。
自社だけで開くのは難しい企画ですが、自治体の催しに協賛や出展の形で加わる道があります。
親子料理教室
講師と調理台のある会場で、親子で1品から3品を作って食べます。ここで挙げた例では、定員は6〜12組ほどで、申込制にして抽選にする形が多く見られました。
実例: 福岡市農林水産局は、トウモロコシの収穫と料理教室を組み合わせた親子「食と農」の体験教室を、小学3年生から中学生と保護者のペア1,500円、定員10組の抽選で開いています(出典:福岡市政だより・2026年9月27日確認)。
JA福岡市も、2024年6月23日のバケツ稲づくりと夏野菜の料理教室を、定員8家族・1家族2,000円で募集しました(出典:JA福岡市 お知らせ・2026年9月27日確認)。
よこはま学校食育財団は、給食メニューを作るファミリー料理教室(小学5・6年生の親子12組24名)やパン工場でのパン作り(小学3〜6年生の親子32組64名)を開き、毎回多数の申込みがあると案内しています(出典:よこはま学校食育財団 公式サイト・2026年9月27日確認)。
スーパーのマルエツも、調布店で手作りドレッシング作り(小学生の回は定員8名、4歳〜小学3年生の親子の回は定員6組・事前申込)を企画しました(出典:マルエツ プレスリリース・2026年9月27日確認)。店のイベントスペースで小さく開くなら、火を使わない1品から始めると準備が軽くなります。
親子で魚をさばく教室
アジやイワシのような身近な魚を、親子でさばく教室です。包丁を使わない手開きから始めると、子どもでも取り組めます。
実例: 海と日本プロジェクトin鹿児島の「日本さばけるプロジェクト」は、2021年9月18日に親子5組14名で、アジの三枚おろしとキビナゴの手開きの教室を開きました。保護者からは、スーパーで簡単に手に入り、包丁を使わず安全にできるので家でもやってみたい、という感想が出ています(出典:日本さばけるプロジェクト 開催報告・2026年9月27日確認)。
鮮魚売り場のあるスーパーなら、教室のあとに同じ魚を売り場で案内できます。生の魚を扱うので、手洗いと調理台の消毒の段取りは講師と先に決めておいてください。
収穫体験と料理
畑で野菜を収穫して、その野菜で料理を作ります。農林水産省の調査でも、家族が参加した農林漁業体験で一番多かったのは収穫体験でした(出典:農林水産省「食育に関する意識調査報告書」令和8年3月(PDF)・2026年9月27日確認)。
実例: JA福岡市の「ちゃぐりんキッズクラブ」は、2019年7月6日に小学生22人でトウモロコシの収穫とおにぎり作りを行いました。採ったトウモロコシを生でかじった子どもが「甘い」と声を上げています(出典:JA福岡市 活動報告・2026年9月27日確認)。
うきは市では、サンケイリビング新聞社の主催、日清オイリオとJAにじの協力で、柿とナスの収穫と3品の料理作りを小学生の親子9組で開きました(出典:主催者のプレスリリース・2026年9月27日確認)。
畑を持っていない会社でも、JAや生産者と組めば開けます。雨の日にどうするかを、告知の前に決めておいてください。
売り場でのお仕事体験
子どもに店員になってもらい、POP作り、レジ、品出し、野菜の袋詰めを体験してもらいます。お店の裏側を見せられるので、店のファンづくりにつながります。
実例: 両備ホールディングスの「りょうびキッズカンパニー」は、2026年6月21日に岡山の両備ストア灘崎店で、試食販売のPOP作り、レジ、品出し、野菜の袋詰めのお仕事体験を企画しました。小学3〜6年生の最大12名と保護者が対象で、1組5,000円・昼食つき、両備ストアでの開催は2回目です(出典:両備ホールディングス プレスリリース・2026年9月27日確認)。
営業中の売り場で行うので、レジや品出しの時間帯と担当の社員を先に決めておく必要があります。
工場見学とオンライン見学
食品メーカーなら、製造の現場を見せる工場見学が強い企画です。工場に来てもらうのが難しければ、オンラインで見せる方法もあります。
実例: 岐阜のもやしメーカー、サラダコスモは、2026年7月20日と8月1日にもやし工場の見学と3種の食べ比べ、クイズ、パッケージ作りを行い、約100名が参加しました。3回目の開催です(出典:サラダコスモ ニュース・2026年9月27日確認)。
キユーピーは、見学施設のマヨテラスをWeb会議で30分案内し、チャットで質問を受けるオンライン見学を、事前予約制で1日1〜2回行っていました(出典:キユーピー プレスリリース(2020年)・2026年9月27日確認)。
オンライン見学なら、店舗や商業施設のイベントスペースに画面を置いて、工場とつなぐ使い方もできます。
大きな展示物と会場を一周するクイズラリー
会場の真ん中に目を引く大きな展示を置き、絵本のパネルやクイズで会場を一周してもらう企画です。人が集まる力は大きいぶん、造作と運営の手配が要ります。
実例: カゴメはイオンモール6カ所で、高さ2.3mを超えるトマトの樹、会場を一周する絵本パネル17枚、野菜のクイズラリー、実物の展示、フォトスポットを組み合わせた催しを開きました。埼玉の会場では4,000人を超え、週末は各日1,500人以上が来場しています。
最終日の収穫体験は1回8組を8回、合わせて64組で、整理券は配布を始めてすぐになくなりました(出典:週刊食品「フードウイークリーWEB」の記事(2022年7月6日)・2026年9月27日確認)。
これだけの人が来ると、整理券の配り方と待つ場所の設計で当日の混み具合が大きく変わります。整理券の決め方は、後半の会場づくりの章を見てください。
食べ物を出すか出さないかで、手続きが変わる
食育イベントの手続きは、会場で食べ物を出すかどうかで大きく分かれます。食べ物を出さない企画なら、保健所の許可や届出の話は基本的に出てきません。
下の表は、出し方ごとに確かめる先をまとめたものです。保健所の扱いは自治体によって違うので、表は相談の入口として使ってください。
| 食べ物の出し方 | 企画の例 | 保健所 | 消防署 | アレルギー |
|---|---|---|---|---|
| 出さない | 重さ体験、パネル展示、クイズ、フードドライブ、スタンプ、おはしゲーム、おつかいカード | 食べ物を出さないので、手続きは基本的に関わらない | 火を使わなければ関わらない | 野菜スタンプのように食材に触れる企画は、使う食材を掲示しておく |
| 会場で調理して、来場された方に出す・売る | 試食、食べ比べ、給食の試食 | 福岡市では原則として臨時営業の許可が要る。出せる食品に制限がある | コンロ・ホットプレートなどを使う露店は、3日前までに届出 | 献立ごとに9品目の有無を書いて掲示する |
| 参加者が自分で作って、自分で食べる | 料理教室、おにぎり、バター作り | 扱いが自治体で違う。会場を管轄する保健所に企画の段階で相談する | 同上 | 申込のときにアレルギーの有無を聞いておく |
| 学校・保育園などの行事で、関係者だけに出す | 保育園の食育の日、学校行事 | 福岡県では許可が要らない場合があり、「バザー等開設届」を出す | 関係者と家族だけの催しなら対象外。一般に開放すると対象 | 同上 |
表の出典は、この章の各項目に付けています。
会場で調理して出すなら、臨時営業の許可を先に確かめる
福岡市では、イベントなどで短期間(2週間が限度)、簡易な施設で食べ物を出す場合は臨時営業の許可が要ります。手続きは会場を管轄する区の衛生課で、申請は2週間前が目安です。窓口でのみ受け付けていて、手数料は3,000円、食品衛生責任者を置く必要があります。
出せる食品にも決まりがあります。提供の直前に十分に加熱したもの、注ぎ分ける飲み物、かき氷、小分けのアイスなどは出せますが、おにぎり、寿司、サラダ、サンドイッチ、フレッシュジュース、生の野菜や果物を添えた食品は出せません。
原則として1つの許可で1品目で、前日の調理も認められていない点にも注意が要ります(出典:福岡市保健所「イベント営業等における食品の仮設営業及び臨時営業について」・2026年9月27日確認)。
野菜の食べ比べを考えていた方には意外かもしれませんが、生の野菜をそのまま出す企画は、この許可では通りません。加熱した野菜のスープにする、包装された市販品を配るなど、出し方を変えて相談してみてください。福岡市早良区の衛生課も、販売だけでも許可や届出が要る場合があるとして、企画の段階で早めに相談するよう案内しています(出典:福岡市早良区 衛生課の案内・2026年9月27日確認)。
福岡市・北九州市・久留米市以外の福岡県内では、出店日の1か月前までに相談、2週間前までに申請が目安です(出典:福岡県「お祭りやイベントにおいて臨時営業・仮設営業で食品を提供される皆様へ」・2026年9月27日確認)。自治会や地域の催しで食べ物を配るときの手続きは、自治会・町内会のイベント企画でも取り上げました。
料理教室の扱いは、自治体によって違う
参加者が自分で作って自分で食べる料理教室は、自治体によって扱いが分かれます。愛知県岡崎市は、市販品や許可を受けた施設で作られた材料を使う、前日に下処理をしない、参加者が作ったものは本人が食べる、という条件なら原則として手続きは要らない、という扱いです。
ただし開き方によっては許可が要るので、事前に保健所へ相談するよう書かれています(出典:岡崎市 公式サイト・2026年9月27日確認)。
福岡市の案内では、この教室型の扱いまでは確認できませんでした。料理教室を開くなら、会場を管轄する保健所に、何を作って誰が食べるのかを伝えて相談してください。農林水産省も、調理や加工の体験は食品衛生法の許可などが必要かを保健所に確認し、指導を受けるよう勧めています(出典:農林水産省「農林漁業体験の進め方」(PDF)・2026年9月27日確認)。
人が集まる催しでは、ホットプレートや電子レンジも消防署への届出の対象
福岡市では、不特定多数の方が集まる催しで火気器具を使う露店などを開くとき、開設日の3日前までに所轄の消防署へ「露店等の開設届出書」を出し、原則として器具ごとに1本、業務用の消火器を用意する決まりです。対象の器具には、カセットコンロだけでなく、ホットプレート、IH調理器、電子レンジ、綿菓子機も含まれます。
一方で、電気ポットや保温だけの器具は対象外です。単一の団体の関係者と家族だけの催しも対象外ですが、一般の方に開放すれば対象になります(出典:福岡市消防局「多数の者の集合する催しにおける火災予防」・2026年9月27日確認)。火が出ないホットプレートや電子レンジも対象なので、料理教室を店頭で開くときは届出の要否を確かめておいてください。
アレルギーは9品目を、献立ごとに書いて掲示する
食物アレルギーの表示が義務になっている特定原材料は、2026年4月1日にカシューナッツが加わり、えび・カシューナッツ・かに・くるみ・小麦・そば・卵・乳・落花生の9品目になりました(出典:消費者庁 食物アレルギー表示・2026年9月27日確認)。
表示の義務があるのは容器包装された加工食品で、その場で出す食べ物に法律上の表示義務はありません。それでも、府中市の給食展のように献立ごとに特定原材料を書いておくと、保護者が自分で判断できます。料理教室なら、申込のときにアレルギーの有無を聞き、使う食材を事前に知らせておくと安心です。
企画の中身と、ここまでの手続きやアレルギーの確認をまとめて書き込めるシートを用意しました。保健所や消防署に相談するときの手元資料としても使えます。
親子で来る会場は、手洗い・定員・順路を先に決める
親子向けの食育イベントでは、手洗いの場所、1回の定員と整理券、会場の順路の3つを先に決めておくと、当日の混乱が少なくなります。どれも会場のレイアウトに関わるので、企画の中身と同時に決めるのがおすすめです。

手洗いは、体験の入口に場所をつくる
食べ物に触れる企画では、体験の直前に手を洗える場所を、会場の入口側につくっておきましょう。トイレの手洗い場まで行ってもらう形だと、洗わずに始める子どもが出やすくなります。
手洗いのやり方は、厚生労働省の「大量調理施設衛生管理マニュアル」を参考にするとよいでしょう。
このマニュアルは1回300食以上などの施設向けで、小さなイベントに当てはまるものではありませんが、作業の前やトイレのあと、生の肉・魚・卵に触れたあとには、流水と石けんでしっかり2回洗うよう示しています(出典:厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」(PDF)・2026年9月27日確認)。水の出る場所がない会場では、給水タンクと排水の受け方まで含めて会場と相談してください。
定員と整理券は、「すぐなくなる」前提で決める
人気の体験は、思ったより早く定員が埋まります。カゴメとイオンモールの催しでは、収穫体験の整理券が配布を始めてすぐになくなりました。
整理券を配るなら、配る時刻と場所、1人何枚までか、なくなったときに何をご案内するかを先に決めておきます。整理券がなくても楽しめる展示やクイズを並べておくと、来てくださった方をがっかりさせずに済みます。
農林水産省の調査では、家族に農林漁業体験へ参加した人がいない方に「どんな工夫があれば参加したいか」を聞いたところ、一番多かったのは「親子や友人など、いろいろな参加の仕方ができること」でした(出典:農林水産省「食育に関する意識調査報告書」令和8年3月(PDF)・2026年9月27日確認)。申込制の教室と、当日ふらっと参加できる展示を組み合わせると、どちらの方にも来ていただきやすくなります。
順路は一方通行にして、最後に売り場へつなぐ
展示やクイズを並べるときは、入口から出口まで一方通行の順路にすると、ベビーカーの方とすれ違いにくくなります。カゴメの催しのように、絵本パネルで会場を一周してもらう形は、順路をそのまま企画にした例です。
順路の最後を売り場や商品の前にしておくと、そのまま買い物に移っていただけます。迷子やベビーカー置き場、熱中症の備えなど、親子連れのイベント全般の安全の準備はファミリー向けイベントの企画に詳しくまとめました。
食育イベントを、自社の商品や売り場につなげる
食育イベントは、開いて終わりにせず、次の来店や商品の購入につながる出口を1つ用意しておくと、社内でも続けやすくなります。売り込みを前に出すより、体験したことをそのまま売り場で確かめられる形がおすすめです。
| つなげ方 | やり方 | 実例 |
|---|---|---|
| 会員登録の入口にする | 参加の条件を会員にし、当日入会もできるようにする | 大阪屋ショップ射水店のおつかいカード(ファミリーカード会員・当日入会可) |
| セールと同じ日に開く | 学ぶ展示と販売会を並べる | ロスゼロと大丸須磨店のセール |
| 自治体のキャンペーンや月間に合わせる | 自治体の取り組みや食育月間の時期に開き、告知に相乗りする | マルエツ(東京都のキャンペーンの一環)、鹿屋市の食育月間の展示 |
時期を選ぶなら、毎年6月の食育月間と、毎月19日の「食育の日」が目安になります(出典:農林水産省 食育月間、農林水産省「食育ガイド」(PDF)・2026年9月27日確認)。自治体や地域の催しと同じ時期に開くと、自社だけで告知するより多くの方の目に留まりやすくなります。告知の方法はイベントの告知方法10選に、SNSでの告知はイベント集客のSNSにまとめました。
参加した子ども全員に景品を配るときは、景品表示法の上限にも気をつけてください。購入を条件にせず来店された方全員に配る場合は、原則として200円までが目安です(出典:消費者庁 景品規制のQ&A(懸賞によらない景品)・2026年9月27日確認)。
AGSにお手伝いできること
食育イベントの中身そのものは、管理栄養士や生産者、講師の方の領域です。私たちは、その体験を来てくださった方に届けるための会場づくりと、当日の運営をお手伝いしています。
たとえば、展示パネルや大きな展示物の制作、手洗い場所や順路のサイン、整理券の受付と待つ場所のレイアウト、ステージや体験ブースの設営、当日のスタッフの手配です。食の催しでは全国有名駅弁とうまいもん大会のイベント会場施工、子ども向けの催しではKIDS EXPO 2017のスポンサーブース設営を手がけました。
商業施設の催事スペースで開く場合は、館の決まりに合わせた準備も必要です。その進め方は商業施設のイベント企画にまとめています。企画の段階からのご相談はイベント企画のページからどうぞ。拠点は福岡・博多ですが、現場は全国に伺います。見積りは無料です。
よくある質問
Q. 試食を出さなくても、食育イベントになりますか?
なります。野菜の重さ体験、パネル展示、クイズ、おはしゲームのように、食べ物を出さない企画でも、体験を通して気づいてもらうことは十分にできるんです。農林水産省の手引きも、関心の低い方には文字で読ませるより体験してもらう方法を勧めています。
Q. 参加者が自分で作って食べる料理教室にも、保健所の許可は要りますか?
自治体によって扱いが違うので、一概には言えません。岡崎市のように条件を満たせば原則として手続きが要らない自治体もありますが、開き方によっては許可が要ります。何を作って誰が食べるのかを整理して、会場を管轄する保健所に企画の段階で相談してください。
Q. ホットプレートを使うだけでも、消防署への届出は要りますか?
福岡市では、不特定多数の方が集まる催しで露店などを開く場合、ホットプレートや電子レンジ、カセットコンロも届出の対象です。開設日の3日前までに所轄の消防署へ届け出て、消火器を用意します。電気ポットや保温だけの器具は対象外です。
Q. 食育イベントは、いつ開くのがいいですか?
毎年6月の食育月間か、毎月19日の食育の日に合わせると、自治体の取り組みと時期がそろいやすくなります。規模の大きな催しは、半年から1年前には検討を始めるのが目安です。食べ物を出さない小さな企画なら、保健所や消防署の手続きがないぶん、準備の期間を短くできます。
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