社内懇親会が盛り上がるかどうかは、何をやるかよりも「どうやるか」で差がつきやすいです。同じビンゴでも、景品の見せ方と進行のテンポが違うだけで、会場の空気はかなり変わります。
もちろん、企画そのものの目新しさで盛り上がる会もあります。ただ、私たちがいろいろなイベントの現場をお手伝いしてきた中では、「定番の企画なのに盛り上がる会」と「凝った企画なのに間延びする会」の差は、だいたい段取りの側にありました。
たとえば、景品が最後まで箱の中に隠れたままのビンゴは、途中から番号を聞き流す人が増えていきます。景品を開始前からテーブルに並べて見せておくだけで、カードを見る目が変わるんですよね。
この記事では、懇親会や忘年会の幹事を任された方に向けて、ビンゴをはじめとする定番企画の段取り、席と会場のつくり方、幹事の準備と当日の役割分担、会場を押さえる時期の目安をまとめました。イベントの企画・制作・運営をしている会社の目線で書いています。
社内懇親会の企画は、目的と形式から決める
企画のネタを探す前に、「今回は何のための会か」と「着席か立食か」の2つだけ先に決めてください。この2つが決まると、企画も会場も自然に絞れてきます。
部署を越えた交流が目的なのか、1年の慰労なのか、表彰式を兼ねるのか。目的によって、企画の選び方も席のつくり方も変わってきます。目的の立て方そのものは社内イベントの企画の進め方に詳しく書いたので、そもそもの整理から始めたい方はそちらをどうぞ。
食事の会より体を動かして交流したいという会社なら、社内運動会のような昼間の形式も選択肢になります。この記事では、会場に集まって食事と企画を楽しむ「懇親会」の形に絞って話を進めます。
企画の数は、2時間の会なら1〜2個で足ります。歓談の時間を削ってまで企画を詰め込むと、交流という本来の目的が薄くなってしまうんです。
ビンゴが盛り上がる会と間延びする会の違い
分かれ目になりやすいのは、ビンゴというゲームの中身ではなく運営です。特に効くのは「景品の見せ方」「読み上げのテンポ」「リーチの扱い」の3つです。
両者の違いを表にまとめます。
| 場面 | 盛り上がる会 | 間延びする会 |
|---|---|---|
| 景品 | 開始前から会場に並べて見せる。目玉だけ最後に発表する | 最後まで箱の中で、何が当たるか分からない |
| 番号の読み上げ | 2回ずつはっきり読み、出た番号を貼り出す | 1回読むだけで、聞き逃した人が確認できない |
| リーチ | 名乗ってもらい、司会が拾って会場に伝える | 各自が黙ってカードを見ている |
| 所要時間 | 景品の数を絞り、30分前後で切り上げる | 景品がなくなるまで延々と続く |
| 当たらなかった人 | 締めのじゃんけん大会で残り景品を放出する | 何も持たないまま終わる |

一番効くのは景品の見せ方です。参加者はカードより先に景品を見ています。開始前から景品を会場の見える場所に並べておくと、始まる前の歓談から「あれを狙います」という会話が生まれるんです。目玉の1つだけを「最後に発表します」と隠しておくと、見せる楽しさと引っ張る楽しさを両立できます。
読み上げのテンポも大事です。番号は2回ずつはっきり読み、出た番号はホワイトボードかスクリーンに貼り出してください。聞き逃した方の「今の番号、何でしたか」で進行が止まるのを防げます。
リーチが出始めたら、手を挙げて名乗ってもらいましょう。司会が「あと何番でビンゴですか」と拾って会場に伝えるだけで、周りの人がその番号を一緒に待つようになります。ここからがビンゴの一番楽しい時間です!
時間は延ばしすぎない方が安全です。全員が当たるまで続けると、先に上がった人にとっては待ち時間になってしまいます。景品の数を絞って30分前後で切り上げ、残った景品は締めのじゃんけん大会で一気に配り切るのがおすすめです。この形なら、最後まで全員に「まだ当たるかもしれない」が残ります。
クイズ・抽選会・表彰も、進め方で差がつく
考えどころはビンゴと同じで、「全員に出番があるか」と「待ち時間が長くないか」の2つです。定番企画ごとに、段取りのポイントを挙げます。
クイズ大会は全員が答える形にする
おすすめは○×形式です。正解だと思う方に立ってもらう、または挙手してもらうだけなので、道具がほとんど要りません。
問題は、会社の歴史や役員の意外な一面のような社内ネタが盛り上がりやすいです。ネタにする方には、必ず先に了承を取っておいてください。
抽選会は「呼ばれた後」まで設計する
抽選券は受付で渡しておくと、開始時に配り直す手間がなくなります。当選した方に前へ出て一言もらうか、名前の読み上げだけにするかは、持ち時間に合わせて先に決めておきましょう。前に出てもらう形は盛り上がりやすい反面、人数が多いと時間が伸びます。
表彰と余興は、時間と負担を先に決める
表彰式を兼ねる場合は、乾杯直後ではなく歓談がひと段落した中盤に置くと、落ち着いて聞いてもらいやすいです。受賞者のコメントは「一言でお願いします」と先に伝えておくと、進行の時間が読めます。
余興は、頼む相手に丸投げしないことがいちばんの気配りです。持ち時間、音源やマイクの要否、着替えの場所まで幹事側で先に整えておきます。やりたくない方に無理強いしないことも、翌日から気まずくならないための大事な段取りです。
企画の選択肢そのものを増やしたい方は、面白いイベント企画のアイデア17選に実例と選び方をまとめています。社外向けの企画も含みますが、懇親会に流用できるものが結構あります。
席と会場のつくりで、交流の量が変わる
着席か立食かで、会の性格が大きく変わります。交流を目的にするなら、席をどう混ぜるかまでが企画のうちです。
| 着席 | 立食 | |
|---|---|---|
| 向いている場面 | 落ち着いて話したい会、食事や表彰を重視する会 | 人数が多い会、短時間で多くの人と話したい会 |
| 良いところ | 全員に居場所があり、年配の方も疲れにくい | 移動が自由で、話す相手を変えやすい |
| 気をつけたいところ | 席が固定され、隣の人としか話さずに終わりやすい | 立ちっぱなしで疲れる。壁際に人が固まりやすい |

どちらの形式でも、仕組みで席を混ぜるのがおすすめです。気の合う人同士で固まるのは自然なことなので、本人の社交性に期待するより、くじ引きで席を決める、乾杯の30〜40分後に席替えタイムを入れる、テーブルを部署混成にする、といった仕組みで混ぜた方が確実です。
上座下座には、縛られすぎなくて大丈夫です。役員を1つのテーブルに固めると、若手が近寄りにくいテーブルができてしまいます。役員に各テーブルへ散ってもらう配置の方が、懇親という目的には合いやすいです。
会場の下見では、マイクと音響を必ず確認してください。飲食店の貸切ではマイクが1本も無いことがありますし、30〜40人を超えると地声では奥まで届きにくくなります。ビンゴの出た番号をどこに貼り出すか、景品をどこに置くかも、下見のときに決めておくと当日が楽です。
幹事の準備は、日程と会場から逆算する
準備の順番は「日程と会場 → 出欠 → 企画と景品 → 進行表 → 当日の役割分担」です。この順で決めると手戻りが少なくなります。
| 時期の目安 | やること |
|---|---|
| 2〜3ヶ月前 | 日程を決めて会場を押さえる。候補日は2〜3個用意する |
| 1ヶ月前 | 出欠を締める。企画を決めて景品を発注する |
| 2週間前 | 進行表を作る。司会・受付・景品係を決めて共有する |
| 前日〜当日 | 景品・ビンゴカード・音源を最終確認し、会場側と流れをすり合わせる |
当日の役割は、司会・受付・景品係・会計・写真あたりが基本です。気をつけたいのは、幹事が司会を兼ねる形です。進行しながらお店とのやり取りや会計が重なると、途中から会場全体を見る余裕がなくなってしまいます。司会は別の方に頼み、幹事は全体を見る側に回るのがおすすめです。
役割分担と指示系統のつくり方は、イベント当日の運営体制のつくり方で本格的なイベント向けに詳しく書いています。懇親会なら、司会・受付・景品係の3つを決めて共有するだけでもかなり違うはずです。分担は下の体制表に書き込んで、そのまま当日に配れます。
忘年会・新年会シーズンは、会場だけ先に押さえる
12月に開くなら、会場探しは秋のうちに始めるのがおすすめです。宴会場や貸切のできるお店は、12月の金曜日や週の後半から埋まっていきやすいからです。
人気のキャンプ場の予約と同じで、日程を動かせない予約ほど、早く動くのがいちばん確実なんですよね。企画が何も決まっていなくても、人数の見込みと日程さえあれば会場は押さえられます。人数は少し多めで仮押さえして、確定の締切とキャンセル規定を確認しておいてください。
日程を動かせるなら、選択肢は広がります。12月上旬に前倒しするか、1月の新年会に切り替えるだけで、会場も予算も選びやすくなる傾向があります。
規模が大きい会や、表彰式・周年の節目を兼ねる会では、会場の設営や進行を外部に頼む方法もあります。AGSではイベントの企画・運営として、企画の相談から会場設営、当日の進行までお手伝いしています。見積りは無料なので、「この人数でどんな会ができるか」という段階のご相談でも大丈夫です。100人を超える会で会場・進行・体制の決め方がどう変わるかは、大人数のイベント企画|100人を超えたら変わる会場・進行・体制にまとめています。
よくある質問
Q. 余興は必ず入れないといけませんか?
入れなくても成立します。余興は担当する方の負担が大きいので、ビンゴやクイズのような全員参加の企画で代える会も多いです。頼む場合は、持ち時間と内容を一緒に決めて、無理のない範囲でお願いしてください。
Q. ビンゴの景品はいくつ用意すればいいですか?
全員分は要りません。目玉の景品を1〜2個と手頃な景品を参加人数の2〜3割ぶん用意して、残りはじゃんけん大会で配り切る形が進行しやすいです。数を増やすより、目玉に予算を寄せた方が場は沸きやすいと思います。
Q. 司会は誰に頼めばいいですか?
社内の、声が通って場を仕切るのが好きな方で大丈夫です。進行表と読み上げのセリフまで幹事側で用意しておくと、頼まれた側の負担がぐっと減ります。数百人規模の会や式典を兼ねる会では、プロの司会に頼む方法もあります。
Q. 会場はどうやって探せばいいですか?
人数と形式(着席か立食か)を決めてから、貸切のできる飲食店、ホテルの宴会場、貸会議室やホールの順に当たると探しやすいです。マイク・音響・スクリーンの有無は施設ごとの差が大きいので、候補を絞る段階で確認しておいてください。
社内懇親会の企画は、珍しいネタを見つける仕事というより、段取りを整える仕事です。景品を先に見せる、出た番号を貼り出す、席を仕組みで混ぜるといった工夫は、ひとつずつは小さくても、そろうと会の空気が変わってきます。
まずはビンゴの景品を「隠す」から「見せる」に変えるところから、始めてみてください。
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