会議で「何か販促を打とう」と決まる。そこまでは早いのに、次の週になっても何も動いていない。理由はだいたい同じで、「で、何を作るんですか」で止まるからです。のぼりなのか、POPなのか、チラシなのか、いっそノベルティなのか。
先にお答えします。販促ツールは、お客さんとの距離で4つに分かれます。遠くから気づかせるもの(のぼり・横断幕・A型看板)、売場で足を止めさせるもの(POP・等身大パネル)、手に取って持ち帰るもの(チラシ・ショップカード・クーポン)、そして帰った後も残るもの(ノベルティ)。この4つのどこが自分の店・イベントで抜けているかを見れば、作るものは自然に決まります。
種類の一覧、距離で選ぶ判断軸、店頭とイベントでの使い分け、ノベルティに法律で決まっている上限、そして制作を頼むときにつまずきやすい点までをまとめました。会場装飾と販促物の両方をつくっている側からの整理です。
販促ツールの種類は、大きく4つに分けられる
販促ツールとは、商品やイベントを知ってもらい、買う・来場するところまで背中を押すための制作物のことです。数え上げるときりがないので、使う場面で4つに束ねると迷いません。
| 種類 | 代表的なもの | 向いている場面 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 遠くから気づかせる | のぼり旗、横断幕・タペストリー、A型看板、バナースタンド | 通行者に「ここで何かやっている」と知らせたい。店頭・会場前・催事場の入口 | 文字を詰め込むと読まれない。屋外は風対策と設置場所のルールが要る |
| 売場で足を止めさせる | 卓上POP、什器まわりのPOP、等身大パネル、メニューパネル | 店内に入った人に、特定の商品・企画を推したい | 数を増やすほど1枚あたりの効きは落ちる。売場の色数も増える |
| 手に取って持ち帰る | チラシ・フライヤー、パンフレット、ショップカード、DM、クーポン券 | 検討に時間がかかる商品。日を改めて来てほしいとき | 配る場所と部数の計画がないと、余るか足りないかのどちらかになる |
| 帰った後も残る | ボールペン、クリアファイル、トートバッグ、うちわ、缶バッジ、カレンダー | 展示会や催事で、後から思い出してもらいたいとき | 景品表示法で金額の上限が決まっている場合がある(後述) |
この4つは、優劣ではなく役割の違いです。気づかせる係と、決めさせる係。売場でよく見るのは、決めさせる係のPOPばかりが増えて、そもそも気づかせる道具が1本も無い状態です。
4つ全部を毎回そろえる必要はありません。抜けているところを1つ埋める。それだけで反応は変わってきます。
何を作るかは、「お客さんとの距離」で決まる
種類を覚えるより、距離で考えた方が早いです。50メートル先の人に見せる道具と、レジ前の人に見せる道具は、そもそも別物だからです。
人を呼ぶときと同じです。通りの向こうにいる相手には、大きく手を振るしかない。隣に座っている人に手を振る人はいません。販促ツールにもそれぞれ届く距離があって、届かない距離のものを何枚置いても、反応は返ってきにくいものです。
ここだけ覚えて帰ってください。販促ツールは「何を作るか」より先に、「どこに立っている人に見せるものか」を決める。 距離が決まれば、道具も、文字の量も、サイズも自動的に絞れます。
| お客さんとの距離 | 使う道具 | 載せる情報の量 |
|---|---|---|
| 30〜50メートル(通りの向こう) | のぼり旗、横断幕、大型バナー | 業種と一言だけ。文字を減らすほど遠くまで届く |
| 5〜10メートル(店の前) | A型看板、バナースタンド、ウインドウの掲出 | 「今日やっていること」を1つ。日付と価格まで |
| 1〜3メートル(売場・ブース内) | 卓上POP、等身大パネル、メニューパネル | 商品名・特徴・価格。写真があると強い |
| 手の中 | チラシ、パンフレット、ショップカード | 詳細と連絡先。ここで初めて読ませてよい |
| 帰った後 | ノベルティ、DM、クーポン | 社名・ロゴ・次に来る理由 |
自分の店やブースを、いちど50メートル手前から歩いてみると分かります。どの距離で何も語りかけていないか。そこが穴です。

店頭の販促ツールは、足を止める1枚から始める
店舗や飲食店で最初に手をつけるなら、店の前で足を止める道具です。のぼり旗、A型看板、ウインドウの掲出——ここが弱いと、店内のPOPをどれだけ作り込んでも、そもそも人が入ってきません。
飲食店なら、店頭にメニューと価格が出ているかどうかが分かれ目になります。入る前に値段が分からない店は、初めての人にとって扉が重い。
そして、ここでいちばん多い勘違いを1つ。販促ツールは、足すほど効くものではありません。
POPが10枚並んだ棚は、0枚の棚と大差ない情報量になりがちです。全部を主役にすると、どれも主役に見えなくなるからです。推したいものが3つあるなら、1つだけ大きくして、残りは小さく添える。この差が反応に出ます。
屋外に出す販促物には、ルールがあります
のぼりやA型看板を店の外に出すときは、置いてよい場所かどうかを先に確認しておきたいところです。屋外広告物は、都道府県・指定都市・中核市などが定める屋外広告物条例で規制されていて、知事が指定する区域では許可が必要になります。
条例の対象になるのは「常時又は一定の期間継続して屋外で公衆に表示されるもの」で、看板・立看板・はり紙・はり札・広告塔・広告板などが含まれます。橋、トンネル、街路樹、信号機、電柱、銅像といった禁止物件には、そもそも広告物を出せません(出典:国土交通省「屋外広告物制度の概要」・2026年8月27日確認)。
電柱にのぼりを括り付ける、街路樹に幕を巻く。よく見かけますが、基準に照らすと難しい置き方です。歩道に出すのも、道路の使用にあたる場合があります。迷うときは自治体の屋外広告物の担当窓口に確認するのが確実で、店の敷地内に自立式のウェイトで置く形なら悩む場面は減ります。
外に出す掲出物の設計そのものは、看板デザイン・製作・施工の領域と重なります。のぼりや幕で足りるのか、常設の看板を替える話なのか。一度整理しておくと、毎年のぼりを刷り直すより安く済むこともあります。看板そのものの種類と、依頼から取り付けまでの流れは看板の種類と選び方に詳しく書きました。
イベントの販促ツールは、「来る前」と「来てから」で分ける
イベントや催事では、販促ツールを2組に分けて考えると抜けが出ません。会場に来てもらうための告知物と、会場に来た人に使う道具です。
来る前に働くのは、チラシ・ポスター・DM・Webバナー。来てからは、入口ののぼりやゲート、受付のバナースタンド、撮影用のバックパネル、そして帰り際のノベルティ。同じイベントでも、担当する時間帯がまったく違います。
誰にどのチャネルで告知するか、いつ告知を出すかという設計は、イベントの集客方法にまとめました。この記事は「モノ」の話に絞っているので、告知の順番と時期はそちらをどうぞ。
会場側で効くのは、遠くから見て何のイベントか分かることです。展示会のブースでも同じ原則が働きます。展示会ブースの装飾アイデアで書いた「近づかないと分からないものは素通りされる」は、催事場の入口にもそのまま当てはまります。
そして、この2組は別々に発注しないほうがうまくいきます。チラシと会場のゲートで色が違うと、来場者は一瞬迷うもの。入口やステージまわりをどう飾るかはイベント会場の装飾の進め方に、サービスとしての範囲はイベント装飾・店舗装飾にまとめています。
ノベルティには、金額の上限が決まっている場合がある
配って残す道具は、企画の前に金額のルールを確認しておくと安全です。景品表示法では、景品類の提供方法ごとに最高額と総額の上限が定められています。
「取引価額」は、その景品をもらうために必要な買い物の金額と考えると分かりやすいでしょう。
| 提供のしかた | 取引価額 | 景品類の最高額 | 総額の上限 |
|---|---|---|---|
| もれなく配る(総付景品) | 1,000円未満 | 200円 | 定めなし |
| もれなく配る(総付景品) | 1,000円以上 | 取引価額の10分の2 | 定めなし |
| 抽選で当てる(一般懸賞) | 5,000円未満 | 取引価額の20倍 | 売上予定総額の2% |
| 抽選で当てる(一般懸賞) | 5,000円以上 | 10万円 | 売上予定総額の2% |
| 商店街などが共同で行う(共同懸賞) | — | 30万円 | 売上予定総額の3% |
(出典:消費者庁「景品規制の概要」・同「総付景品について」・2026年8月27日確認)
たとえば500円のドリンクを買った人全員にノベルティを配るなら、取引価額は1,000円未満なので200円まで。3,000円の買い物をした人への抽選プレゼントなら、20倍の6万円までが上限という読み方になります。
ただし、何が「取引に付随する」提供にあたるかは、企画のかたちによって判断が変わる部分です。私たちは法律の専門家ではないので、迷う企画は消費者庁の景品規制のページで条件を確かめるか、専門家に相談することをおすすめします。
一方、来場者全員に配る展示会のノベルティのように、買い物とセットになっていない配布物は話が別になります。この場合に効いてくるのは金額よりも、持ち帰ってもらえるかどうかです。荷物になるものは、その日のうちに会場のゴミ箱に入ります。

制作を頼むときに、つまずきやすい4つ
デザインが決まってからの工程で止まる案件には、はっきりした型があります。次の4つを先に潰しておくと、本番前に慌てずに済みます。
1. 入稿データの解像度と塗り足し。 Webで使っていた画像をそのままポスターに使うと、刷り上がりでぼやけます。断裁のずれを吸収する「塗り足し」の余白がないと、端に白い線が出ることも。私も若い頃、塗り足しなしのデータを刷って刷り直しになったことがあります。データを作る前に、印刷用の仕様をもらっておくのが早いです。
2. 色校正を飛ばさない。 画面の色と紙の色は一致しません。とくに企業のコーポレートカラーや、食べ物の写真は差が出やすい部分です。日程が詰まると真っ先に省かれる工程ですが、刷り直しの時間よりは短く済みます。
3. 部数の読み違い。 チラシは配る場所と1か所あたりの枚数を先に決めてから部数を出します。「余ったら次回」は、日付が入っていれば使えません。逆に足りなくなってからの刷り増しは単価が上がるので、最初から少し多めに刷った方が結果的に安く済む場面もあります。
4. 設置の条件。 のぼりは重しがないと倒れます。屋外のバナーは風を抜く穴の有無で耐久性が変わり、幕を張る場所にハトメの位置が合わないと現場で足止めになる。作る前に「どこに、どうやって取り付けるか」まで決めておきたいところです。
どれも最初の打ち合わせで確認しておけば避けられるものばかり。聞かれなかったら、こちらから出してしまうのが安全です。
AGSの販促ツール制作
AGSではイベント告知・販促ツールとして、チラシ・ポスター・パンフレット・DMなどの紙ものから、のぼり旗・横断幕・バナースタンド・バックパネル・等身大パネル・各種POPといった会場や売場で使う制作物、そしてノベルティまでを手がけています。持ち込みのデザインで印刷・製作だけ、というご依頼にも対応しています。
デザインはグループ会社の株式会社アディザイン(Web制作・グラフィックデザイン・SNSマーケティング)と連携します。紙・Web・SNSを同じチームで作れるので、告知から会場までトーンを揃えやすいのが強みです。
2006年から、百貨店の催事や展示会など人が集まる現場をつくってきました。設営を自社で行っているので、屋外での耐久性や設営のしやすさまで含めた仕様をご提案できます。商業施設のイベント告知バナー、キャンペーン告知バナー、施設のグルメマップ制作・設置、案内・メニューパネル、店舗・パッケージデザインなどの実例は制作実績でご覧いただけます。
費用は品目・仕様・数量で変わるため、内容を伺ったうえでお見積り(無料)をお出しします。ご相談から納品までの進め方はご依頼の流れにまとめました。拠点は福岡・博多ですが、現場は全国です。
よくある質問
Q. 販促ツールは何から作るのがいいですか?
お客さんとの距離で、いま何も語りかけていない位置から埋めるのが効率的です。人通りはあるのに入店が少ないなら、まず店頭で足を止める道具から。入店はあるのに買われないなら、売場のPOPやメニューの見せ方から。作る順番は、店の状況によって変わります。
Q. デザインデータがなくても頼めますか?
はい。デザインの制作から承ります。ロゴや写真素材をお預かりして、グループのアディザインと連携してデザインを起こします。逆に、お手持ちのデータで印刷・製作だけというご依頼も可能です。
Q. 小ロットでも作れますか?
品目によって対応できる数量が変わりますが、小ロットで作れるものも多くあります。缶バッジやキーホルダーのような小物は、少ない数から相談できる場合が多いです。必要な数量を伺ったうえで、無理のない仕様をご提案します。
Q. イベント本番に間に合わせたいのですが、どのくらい前に相談すればいいですか?
品目によって必要な日数が違うため、まずは本番日と作りたいものをお知らせください。紙ものはデザインの決まり方と部数で日数が動きますし、のぼりや幕のような布もの、ノベルティはさらに製作期間を見ておきたいところ。本番日から逆算して、間に合う仕様とスケジュールをお出しします。
販促ツールは、種類を覚えるほど迷います。距離で考えると、迷いません。
50メートル先、店の前、売場、そして手の中。どこで誰に何も言えていないのか。それが分かった時点で、作るものはもう決まっています。
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