イベントの費用は、会場・設営と装飾・機材・当日のスタッフ・司会や出演・飲食・告知や印刷物・記録・企画と進行管理の9つの項目の足し算でできています。総額は、人数と時間、会場にもともとある設備、演出の量で大きく変わります。
「相場はいくら」と1つの数字で言いにくいのは、同じ種類のイベントでも、見積りに何が含まれているかが会社や会場ごとに違うからです。
たとえば自治体が公表している式典の委託の上限額を見ると、新潟市の二十歳のつどい(客席約4,100席)は739万円で、会場の使用料は含みません。浦添市の市制施行55周年記念式典(来場者1,000名程度)は247.6万円で、こちらは会場の借上げを含みます。同じ「式典の運営を一括で頼む」でも、規模と範囲が違えば金額はここまで違ってきます。
なので総額を比べる前に、内訳と「含まれるもの・含まれないもの」をそろえることが大切です。この記事では、費用の9項目と金額が動く条件、公的な式典の例と会場の料金表、見積りの比べ方、予算が足りないときに削ってよい所と残す所、社内で予算を通すときにそろえるものをまとめました。イベントの企画・制作・施工をしている会社の目線で書いています。
イベントの費用は、9つの項目の足し算でできている
イベントの費用は、下の9つの項目に分けて考えると全体が見えます。見積書の行の名前は会社ごとに違っても、中身はだいたいこのどれかに入ります。

| 項目 | 中身の例 | 金額が動く条件 |
|---|---|---|
| 会場費 | ホール・宴会場・会議室の利用料、控室、準備と撤去の時間、電気や空調 | 広さ、曜日、時間区分、営利目的か、前日から借りるか |
| 設営・装飾 | ステージ、バックパネル、看板・案内表示、受付まわり、運搬と組み立て・撤去 | 造作の大きさ、作業できる時間帯(夜間・早朝)、会場の搬入口 |
| 音響・照明・映像の機材 | マイク、スピーカー、照明、プロジェクターやLEDビジョン、操作する技術者 | 会場の備え付けで足りるか、持ち込みが要るか、操作の人数 |
| 当日の運営スタッフ・警備 | 受付、誘導、進行の補助、警備、駐車場の誘導 | 来場者の数、入口の数、開場から終わりまでの時間 |
| 司会・出演 | 司会者、演奏やパフォーマンス、講演者 | 人数、出演の時間、リハーサルの回数 |
| 飲食 | 祝宴やパーティーの料理と飲み物、控室のお茶 | 人数、1人あたりの単価、立食か着席か |
| 告知・印刷物・記念品 | 案内状、ポスター・チラシ、配布資料、記念品 | 部数、紙や加工、記念品の単価 |
| 撮影・記録 | 記録写真、映像の撮影と編集、配信 | カメラの台数、編集の量、配信の有無 |
| 企画・進行管理と諸経費 | 企画の立案、進行台本、打ち合わせ、当日の全体管理、交通費や雑費 | 打ち合わせの回数、準備の期間、関わる会社の数 |
すべてのイベントで9項目が全部要るわけではありません。社内の懇親会なら飲食と司会が中心になり、展示会や販促のイベントなら設営と告知の比重が大きくなります。
見積りで見落としやすいのは、会場費と、設営・撤去の作業の費用です。イベントの当日だけでなく、前日の設営や終わった後の撤去にも会場の時間と人手がかかります。
個別の項目を詳しく知りたいときは、ステージ設営の流れと費用の考え方、LEDビジョンの価格の目安、イベントスタッフ派遣の手配の流れも参考にしてください。
自治体の式典の例で見る、総額の差と「含まれるもの」
自治体が公募で公表している式典の委託額を見ると、同じ「式典の運営を一括で頼む」でも、規模と含まれる範囲で総額が大きく違うことが分かります。企業のイベントの相場としてそのまま当てはめる数字ではありませんが、何が含まれていると金額がどうなるかを見る材料になります。なお、ここで挙げる金額は公募で示された予算の上限で、実際の契約額はこれより低くなることもあります。

| 新潟市 二十歳のつどい(令和8年度) | 浦添市 市制施行55周年記念式典(2025年) | |
|---|---|---|
| 会場と規模 | 朱鷺メッセの展示ホール、客席の折りたたみいす4,100脚 | てだこホールの大ホール、来場者1,000名程度、表彰80枠 |
| 委託の上限額 | 7,390,000円以内(消費税込み) | 2,476,000円(消費税込み) |
| 主に含まれるもの | 式典とプレイベントの企画・運営、ステージ・客席・協賛ブース・案内看板の設営と撤去、音響・照明・映像、整理・誘導・警備 | 式典の構成と進行、司会者の手配、舞台の装飾と音響・照明、受付、会場の借上げ2日間(空調設備使用料等を含む)、記録写真と映像、映像2本の制作 |
| 含まれないもの | 施設使用料、展示控室使用料、冷暖房費 | 公告・仕様書に「含まない」の記載なし(会場の借上げも委託に含む) |
出典:新潟市「令和8年度新潟市二十歳のつどい運営業務委託に係る公募型プロポーザル実施要領」(PDF)と同 仕様書(PDF)、浦添市「浦添市市制施行55周年記念式典企画運営等業務委託に係る公募型プロポーザルの実施について(公告)」と同 仕様書(PDF)。いずれも2026年10月8日確認。
新潟市の式典は客席が4倍ほどあるうえ、何もない展示ホールに客席とステージを組むところから始まり、プレイベントの企画や会場まわりの交通対策まで委託に入っています。その分、上限額も大きくなっています。一方で施設使用料は委託額に入っていないため、市が払う総額はこの額より大きくなります。
浦添市は会場の借上げを委託額に含めています。ただし前回の市制50周年の公募(令和元年)では、市が主催する催事のため会場費が9割減免の対象になると、市が質問への回答で示していました(出典:浦添市「市制50周年記念式典及び祝賀会企画運営等業務委託に係る質問回答書」(PDF)・2026年10月8日確認)。企業が同じ会場を借りるときは、会場費の扱いが変わる点に気をつけてください。
もう1つ参考になるのが、新潟市が見積書の出し方として、仕様書の業務の項目ごとに積算し、人件費・資機材・設営費・警備費などの内訳を書くよう求めている点です。企業が見積りを頼むときも、この形で出してもらうと比べやすくなります。
会場費は、会場の料金表で先に見積もれる
会場費は、公共の会議場やホールなら公表されている料金表で、見積りを頼む前に自分で計算できます。時間区分ごとの料金に加えて、営利目的や準備だけの利用で金額が変わる決まりがあるので、そこまで見ておくと見積りとずれにくくなります。

福岡国際会議場の例を挙げます(消費税込み)。
| 部屋 | 平日 9〜17時 | 平日 9〜21時 | 土・日・祝日 9〜21時 |
|---|---|---|---|
| 中会議室(409〜414の1室) | 48,400円 | 61,270円 | 61,270円 |
| メーンホール | 101,200円 | 136,840円 | 164,120円 |
| 多目的ホール(分割しない) | 310,860円 | 379,610円 | 455,620円 |
同じ料金表には、次の決まりも書かれています。
- 展示・陳列・販売など営利が主な目的の利用は、利用料金に5割を加算する
- 入場料が3,000円を超えるときは、3割を加算する
- 準備・撤去・練習だけに使う場合は、3割を減額する(メーンホール・多目的ホール・国際会議室・中会議室)
- 仮設の電気の設備や持ち込みの設備などの使用料は、利用する側が負担する
出典:福岡市「福岡国際会議場の利用料金」(令和6年公告第128号)・2026年10月8日確認。
前日に設営をする場合は、当日の料金に加えて準備日のぶんの利用料がかかります。上の決まりのとおり、準備や撤去だけに使う日は3割減額になる部屋もあるので、設営日を別に借りるときは減額の対象か会場に確かめてください。ホテルの宴会場は料金表を公開していないことが多いので、宴会のプランに含まれるもの(会場・音響・控室・料理)と、外から持ち込むものの決まりを最初に聞いておくと話が早く進みます。
金額を大きく動かすのは、人数・時間・会場の設備・演出の量
総額を大きく動かすのは、来場者の人数、会場を使う時間と日数、会場にもともとある設備で足りるか、演出の量の4つです。準備の期間と開く場所(遠方かどうか)も、金額に響いてきます。

人数は、席や飲食だけでなく、受付・誘導のスタッフの数や会場の広さにも効いてきます。人数を増やすときは、料理と席の数だけで増額を見積もらず、受付の窓口・誘導の人数・会場の広さも合わせて見直してください。
時間と日数は、会場費と人件費の両方に掛かります。前日の設営が要るか、夜間や早朝にしか搬入できない会場か、撤去を当日中に終えるかで、同じ内容でも金額が変わります。
会場の設備は、意外と差が出るところです。会場に備え付けのマイクやスクリーンで足りれば機材費は小さく済み、足りなければ機材と操作する技術者を外から呼ぶことになります。会場の下見のときに、備え付けの設備の一覧をもらっておくと見積りが正確になります。
演出の量は、映像・LEDビジョン・特別な照明・出演者など、足すほど機材と人が増えていきます。準備の期間が短いと、選べる会場や手段が限られ、割高な選び方になりやすい点も覚えておいてください。
見積りは総額ではなく、範囲・数量・含まれないものをそろえて比べる
見積りを2〜3社から取ったら、総額を並べる前に、同じ範囲・同じ数量で出ているか、何が含まれていないかをそろえて比べます。範囲がそろっていないと、総額の差が単価の違いなのか、頼んでいる範囲の違いなのかを見分けられないからです。

比べるときに見るところは、次の5つです。
| 見るところ | 確かめること |
|---|---|
| 範囲 | 企画だけか、設営と当日の運営まで入っているか。撤去と運搬は入っているか |
| 数量 | スタッフの人数と時間、機材の台数、印刷物の部数、作業の日数(前日の設営を含むか) |
| 一式の中身 | 「設営一式」「運営一式」とまとめた行に何が入っているか |
| 含まれないもの | 会場費、電気や空調の使用料、飲食、出演料、交通費や宿泊費 |
| 諸経費と消費税 | 諸経費や管理費が何に対する何割か、総額が税込みか税抜きか |
一式の行は、そのままだと比べようがありません。「この一式には何人が何時間入っていますか」「撤去と運搬はこの中に入っていますか」と聞いて、内訳を出してもらってください。
日程や人数が変わったときの扱いと、取り消したときの費用(いつから、いくらかかるか)も、見積りの段階で確かめておくと安心です。
見積りを並べて書き込める紙を用意しました。この記事の9項目に「保険・届出」と「その他」を足した行に、最大3社の金額と、見積りに含む(○)・含まない(×)・別途(別)を書き込みます。合計をそろえて比べ、金額以外の条件、削る所と残す所、稟議に添えるまとめまで1つの紙に書けます。
どこに見積りを頼むか迷っているときは、イベント会社の種類と、どこに頼むかの決め方で、代理店・企画会社・施工会社の違いをまとめています。
予算が足りないときに削ってよい所と、目的のために残す所
予算が足りないときは、イベントの目的に効いていない所から削り、目的に直結する所と安全に関わる所は残します。削る前に、このイベントで一番大事なことを1つ決めておくと、迷わずに判断できます。

安くするだけなら、どこを削っても金額は下がります。ただ、イベントの目的は安く開くことではなく、来た人に満足してもらうことや、社内の一体感をつくること、商品を知ってもらうことのはずです。目的に効く所まで削ると、開いた意味が薄れてしまいます。
目的別に、残したい所の例を挙げます。
| イベントの目的 | 残したい所 | 削りやすい所 |
|---|---|---|
| 周年式典・表彰式をきちんと開く | 音響(声が後ろの席まで届くか)、進行台本とリハーサル、記録写真 | 装飾の量、記念品の単価、印刷物の加工 |
| 社内の一体感をつくる | 全員が参加する場面、進行役(司会) | 会場の格、装飾、出演者の数 |
| 商品やサービスを知ってもらう | 告知、受付で連絡先をいただく流れ、商品を見せる場所 | 会場の広さ、演出の数、配布物の部数 |
どの目的でも、警備や誘導、電気、防炎など安全に関わるものは削らないでください。人が集まる場所の安全の手配は、何かあったときに取り返しがつかないからです。
削り方は、内容を減らす以外にもあります。平日や、会場の料金が安い時間区分に移す、準備だけの日を短くする、装飾を次の年も使える形で作る、といった方法です。社内の行事の企画の考え方は、社内イベントの企画を目的から決める記事にもまとめています。
社内で予算を通すときにそろえておくもの
社内で予算を通すときは、目的と数字の目標、総額と内訳、比べた見積り、予備の枠の4つをそろえると話が通りやすくなります。決裁する人が知りたいのは「何のためにいくら使い、何が得られるか」だからです。

目的は「社員の一体感をつくる」だけで終わらせず、終わったあとに何で確かめるか(参加率、アンケートの満足度、来場者数、連絡先をいただいた数など)まで書いておきます。使ったお金の結果を説明できる形にしておくと、次の年の予算も通しやすくなります。
内訳は、この記事の9項目で分けておくと、どこにお金がかかっているかがひと目で伝わります。見積りを1社だけでなく2〜3社並べて、選んだ理由(範囲が広い、目的に合う提案があった、など)を1行添えておくと、金額の妥当さを説明しやすくなります。
予備の枠も入れておいてください。当日の天気や人数の変更、追加の印刷など、小さな追加は起きやすいものです。キャンプのペグと同じで、折れてから買いに行くことはできないので、最初から予備を持っておくと安心できます。
もう1つ、経理の処理も先に確かめておくと後で慌てません。国税庁の説明では、専ら従業員の慰安のために行われる運動会・演芸会・旅行などに通常要する費用は、交際費等から除かれます。社外の方も参加する飲食の費用は、1人あたり10,000円以下なら交際費等から除かれる扱いがあり、日時や参加者などを書いた書類の保存が条件で、役員や従業員だけの飲食は対象外です(出典:国税庁「No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算」・2026年10月8日確認)。自社のイベントの費用をどう処理するかは、経理の担当の方や顧問の税理士に確かめてください。
予算をいつ、どの順番で決めるかは、イベント企画は何から決めるかの記事で、目的・ターゲットと合わせて決める流れをまとめています。周年の行事なら、周年イベントの企画はいつから始めるかの早見表も参考になります。
AGSでお手伝いできること
私たちAGSは、イベントの企画から、会場の設営・装飾、音響・照明・映像、当日の運営とスタッフの手配、案内状やポスターなどの販促物の制作まで、まとめてお手伝いしています。

予算がまだ決まっていない段階でも、人数・日程・会場の候補・やりたいことが分かれば概算をお出しできます。
ご相談はイベントの企画・制作・運営のページか、お問い合わせからどうぞ。拠点は福岡・博多ですが、現場は全国に伺います。見積りは無料です。
よくある質問
Q. イベントの費用の相場は、結局いくらですか?
人数・時間・会場・演出の量で大きく変わるため、1つの金額では言いにくいのが実際です。自治体が公表している式典の委託の上限額でも、来場者1,000名程度で247.6万円(会場の借上げを含む)、客席約4,100席で739万円(会場の使用料は別)と、範囲と規模で差があります。自分のイベントの概算は、人数・日程・会場の候補・やりたいことを伝えて見積りを取るのが確実です。
Q. 見積りは何社から取ればいいですか?
2〜3社が比べやすい数です。同じ条件(人数・日程・会場・範囲)を書いた依頼の文面を作って各社に渡すと、見積りの範囲がそろい、総額の差の理由が見えやすくなります。
Q. 予算が決まっていなくても、見積りを頼んでいいですか?
頼んで大丈夫です。人数・日程・会場の候補・目的が分かれば、概算は出せます。概算をもとに社内で予算の上限を決め、その上限に合わせて内容を調整していく進め方もよくあります。
Q. 会場費は見積りに含まれますか?
会社や頼み方によって違います。新潟市の例のように、会場は主催者が直接借りて、委託先の見積りには含めない形もあります。見積りの「含まれないもの」の欄に会場費・電気や空調の使用料が入っていないかを確かめてください。
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