飲食店の集客イベントは、空いている曜日や時間帯に、店のスタッフだけで回せる小さな企画を入れるところから始めると無理がありません。じゃんけんで最初の1杯を決める、毎月の決まった日を感謝デーにする、読書会や観戦会を開く、といった企画です。慣れてきたら、落語会やライブ、蔵元を囲む会、商店街の飲み歩きイベントへ広げていきます。
小さな企画から始めるのが向いているのは、飲食店は席の数が決まっていて、混む時間に催しを重ねても売上が伸びにくいからです。私たちは、イベントがよく効くのは空いている枠を埋めるときと、はじめての方に店を知っていただくときだと考えています。
たとえば米国アイオワ州のビール酒場、Backpocket Dubuque Taproom は毎週火曜にクイズ大会を開いていて、平均20〜25チーム、約100人が集まります。オーナーは地元のビジネス紙に「平日の夜の売上を上げるのにとても良い方法」と話していました(出典:BizTimes.biz 2022年9月11日の記事・2026年10月10日確認)。
この記事では、カフェ・居酒屋・バー・レストランが実際に開いた集客イベントを27件(国内25件・海外2件)、20種類の企画に分けて手軽な順に紹介します。あわせて、席数に合わせた開き方と予約、お酒を出すときの年齢と車の確認、ライブや観戦会の著作権と深夜の決まり、じゃんけんの1杯無料と景品の上限、店の外に出るときの許可と告知もまとめました。イベントの企画・制作・施工をしている会社の目線で書いています。
飲食店の集客イベントは、空いている曜日と時間帯から決める
飲食店のイベントは、まず普段の混み具合を曜日と時間帯ごとに書き出し、空席が目立つ枠に入れるのが基本です。そのうえで、その枠を埋めたいのか、はじめての方に来ていただきたいのか、常連さんに来る回数を増やしていただきたいのか、ねらいを1つに決めると企画を選びやすくなります。

| ねらい | 向く企画 | 回す人 | 終わったあとに見る数字 |
|---|---|---|---|
| 空いている曜日・時間帯の席を埋める | じゃんけん大会、読書会、観戦会、平日の夜のクイズ大会 | 店のスタッフ(クイズは司会者に頼む例も) | その枠の来店組数と売上(前の月の同じ曜日と比べる) |
| はじめての方に店を知っていただく | 蔵元や生産者を囲む会、落語会、商店街の飲み歩きイベント、マルシェへの出店 | 店と出演者・生産者・商店街 | 予約のうち初めての方の数、配ったショップカードや次回の券が戻ってきた数 |
| 常連さんに来る回数を増やしていただく | 毎月の決まった日の感謝デー、周年祭、常連さん向けの会 | 店のスタッフ | 次回の予約の数、スタンプカードの押印の数 |
飲食店は毎日の売上と来店組数がレジに残るので、イベントの日と、前の月の同じ曜日を比べると、効き目が見えやすくなります。
飲食店の集客イベント実例27件【手軽な順】
ここからは、飲食店が実際に開いた集客イベント27件を、手軽な順に3つのグループに分けて紹介します。見出しは企画の種類ごとの19個で、同じ種類の企画を別の店でも開いている場合は、1つの見出しの中で並べました。
出典はどれも、開いた店や主催した商店街・実行委員会の発表と、新聞・テレビ・地域メディアの記事です。商店街の報告の多くは、福岡市が補助金の活用事例として公式サイトに載せています。
店のスタッフだけで今週から始められる企画

最初の1杯を、スタッフとのじゃんけんで決める
注文のときにスタッフとじゃんけんをして、勝ったら1杯無料や半額にする企画です。道具は要らず、スタッフの声かけだけで始められます。
串カツ田中は、2023年8月25日の1日だけ、最初のドリンクを頼むときにスタッフとじゃんけんをして、勝てば税込540円以下のドリンクが1杯無料、あいこと負けは定価、という企画を開きました。じゃんけんは1人1回、グループで来た場合は1グループ1回で、7月に続く2回目でした(出典:ユニシアホールディングスのプレスリリース(PR TIMES・2023年8月22日)・2026年10月10日確認)。19歳以下の方向けには「こども本気じゃんけん」を普段から続けていて、この日は大人向けと両方を開いていました。お酒を飲まない方も一緒に楽しめるのは、店として気が利いていますよね。
京都・河原町のラーメン店「人類みな麺類 近未来と日本文化の融合」は、2024年11月23日の開店から12月31日まで、来店した方全員がスタッフと1対1でじゃんけんをして、勝つとその場で頼むラーメンが半額になる形にしていました(出典:UNCHIのプレスリリース(PR TIMES・2024年11月18日)・2026年10月10日確認)。
1人1回やグループで1回のように回数を決めておくと、店の負担を前もって計算できます。ただ、じゃんけんで勝った方だけを無料や半額にする企画は「懸賞」にあたり、景品の総額にも上限があります。来店した方全員とじゃんけんをする形はこの上限を超えやすいので、後半の「景品の上限」の章で計算のしかたと、上限に収める工夫を確かめてから決めてください。
毎月の決まった日を「感謝デー」にする
毎月同じ日に、看板の品を安くしたり特別な品を出したりする企画です。日付が決まっていると、お客さまが覚えて予定に入れてくださいます。
宮崎県延岡市の味千拉麺 延岡店は、毎月22日を感謝デーにしていて、その日は味千ラーメンを500円で出しています(出典:日向経済新聞 2026年10月1日の記事・2026年10月10日確認)。
記念日に合わせて1日だけ開く方法もあります。神奈川県厚木市の個室居酒屋 天日 本厚木店は、10月1日の「日本酒の日」に、日本酒40種類を全品110円にしました。アプリのクーポンを見せることと、料理を2品以上頼むことを条件にしています(出典:号外NET 厚木市・2026年10月10日確認)。
周年の数字を値段に入れる周年祭
開店からの年数を、そのまま値段や値引きの額に入れる企画です。数字に理由があるので、告知の文が短くても伝わります。
北九州市八幡西区のナポリタン専門店「なぽたん」は、2026年6月20日・21日の周年祭で、並盛りのナポリタンを390円(サンキュー)で出しました(出典:号外NET 北九州市八幡西区・2026年10月10日確認)。数字に「ありがとう」をかけたのが分かりやすいところです。
兵庫県伊丹市の宮っ子ラーメン 伊丹店も、2026年3月の周年祭の第1弾で、創業からの年数の33にちなんで麺類を全品330円引きにし、第2弾では餃子6個を1人前100円にしています(出典:号外NET 伊丹市・2026年10月10日確認)。
周年祭をもう一度来ていただくきっかけにした例もあります。来来亭の岡山市内5店は、2025年11月8日・9日の創業感謝祭で、ラーメンを頼んだ方に、後日使える「ラーメン1杯無料券」を渡しました。券の利用期間は11月10日から12月14日までです(出典:号外NET 岡山市・2026年10月10日確認)。
空いている夜に、本を読むだけの会
お客さまが本を持って来て、黙って読む会です。進行役も要らず、普段の営業とほとんど変わらない形で開けます。
愛媛県今治市の古本カフェ「森」は、2024年4月から毎週金曜の18時から21時に「金曜日の孤読」を開き始めました。コーヒー1杯付きで500円、予約は要らず、レコードを聴きながら1人で本を読む会で、会話はしなくてかまいません。2回目の4月12日には5人が参加しました(出典:今治経済新聞 2024年4月19日の記事・2026年10月10日確認)。
人数は少なくても、曜日と時間を決めて続けると「金曜の夜はあの店」と覚えていただけます。
テレビで試合を見る観戦会
大きな試合の日に、店のテレビで中継を流して、みんなで見る会です。試合の日程は前から決まっているので、予約も取りやすくなります。
神戸市中央区のスポーツカフェバー「STADIUM」では、2023年3月22日のWBCの決勝の日、約40席が予約で埋まり、立ち見が出るほどでした(出典:神戸新聞NEXT 2023年3月22日の記事・2026年10月10日確認)。
テレビの放送を店で流すときの著作権と、深夜に開くときの決まりは、後半の「ライブや観戦会」の章にまとめています。
スタッフが教えるラテアートの教室
カフェのスタッフが先生になって、お客さまにコーヒーの技を教える教室です。店の機械とスタッフの技術がそのまま企画になります。
東京都江東区のブルーボトルコーヒー 清澄白河フラッグシップカフェは、2026年2月6日に、社内のトレーナーがミルクの泡立てとハートの描き方を教えるラテアートの教室を、10時と14時の2回開きました。受講料は5,500円で、申し込みはオンラインだけです(出典:江東経済新聞 2026年1月16日の記事・2026年10月10日確認)。
大きなチェーンの例ですが、営業時間の前やすいている午後に、少人数で開く形なら個人のカフェでも取り入れやすいと思います。
出演者や生産者を招いて開く企画

曜日を決めたクイズ大会(米国のバーの例)
テーブルごとにチームを組んで、司会者が出す問題に答える企画です。英語圏のバーでは定番の催しで、冒頭で紹介した Backpocket Dubuque Taproom は、毎週火曜にポップカルチャーの問題で開き、平均20〜25チーム、約100人が集まっています。
同じ記事によると、この店で問題を読み上げているのは、週末はDJをしている地元の司会者です。週に4日、いろいろな店でクイズ大会を受け持っていて、問題の約7割は誰でも答えられるものにしているそうです(出典は冒頭と同じ記事)。
記事では、自分の店でクイズ大会を回さず、こうした司会者に任せる店が多いと紹介されています。毎週の問題作りにはかなり手間がかかると、司会者本人も話していました。店のスタッフで回すなら、月に1回から始めると無理がないと思います。道具は紙とペンで足ります。
店内の小さなライブ
店の一角を舞台にして、演奏や歌を聴いていただく企画です。店主やスタッフに演奏する人がいれば、出演者を呼ばずに開けます。
三重県伊勢市のモグラカフェは、2025年12月28日に、店主夫妻とギターのヒサシさんのユニット「モジプール」が、オリジナルの絵本の朗読と歌を、照明やBGMと合わせて披露しました。全17曲がオリジナル曲で、店は満席になり、30人以上が聴いています。2026年1月25日には、外から演奏者を招くライブも予定していました(出典:伊勢志摩経済新聞 2025年12月31日の記事・2026年10月10日確認)。
落語会・寄席
落語家を招いて、店の座敷や客席で高座を開く企画です。下で紹介する料亭やそば屋のように、落語のあとに料理を囲む流れにしやすく、会の満足度も上げやすくなります。
福岡市中央区の料亭、桜坂観山荘は「観山寄席」を年3回開いていて、2026年10月21日の古今亭文菊さんの独演会が第63回です。料金は13,000円で、料理・飲み物・税・サービス料を込みにしています(出典:桜坂観山荘「観山寄席」・2026年10月10日確認)。
東京都立川市の招福そば奈美喜庵は、2024年11月16日に「落語と新酒ワインと蕎麦の会」を開きました。落語の二人会を約90分聴いたあと、そば屋らしい洋風の酒肴のコースと新酒のワインを囲む会で、料金は6,000円です(出典:落語協会の公演情報・2026年10月10日確認)。
もう少し手軽な料金の例では、福岡市中央区のコチソバ天神店で、2025年6月26日に「第11回コチソバ寄席」が開かれています。申し込みの窓口は落語会を企画する「つながり寄席」で、店が会場になる形です。出演は新作落語で知られる林家きく麿さんで、前売り3,500円、当日4,000円、全席自由でした(出典:アクロス福岡「アクロスおでかけナビ」・2026年10月10日確認)。
蔵元を招いて囲む会
日本酒の蔵元を招いて、その蔵のお酒と料理を合わせて味わう会です。蔵元から直接話を聞けるので、お酒の好きな方にとっては店に来る大きな理由になります。
銀座や横浜、富山で日本酒と和食の店を営む「方舟」は、月に一度、蔵元を招く「蔵元を囲む会」を開いていて、2024年10月26日の回は第240回でした。この回は松茸を使った会席と合わせています。2026年11月22日の第274回まで予定が載っていて、長く続いている会です(出典:日本酒の方舟「蔵元を囲む会」・2026年10月10日確認)。
酒蔵に限らず、野菜の農家やワインの作り手を招く形にもできます。
出店とステージを集めた周年の感謝祭
周年の日に、ほかのお店の出店や地域の方のステージ発表を集めて、店をお祭りの会場にする企画です。
福岡市南区のカフェ五福の家は、開店から1年たったのを機に、2026年5月16日の12時から17時に「開店一周年大感謝祭」を開きました。店の内外に出店と販売のコーナーを置き、ステージ発表も用意しています。入場は無料で、カフェでの飲食代だけがかかる形でした(出典:号外NET 福岡市南区・2026年10月10日確認)。
店の外や地域と組む企画

チケットで何軒も回る飲み歩き(バル)イベント
商店街や地域の飲食店が集まって、何枚かつづりのチケットを売り、1枚で1軒ずつ特別メニューを楽しんでいただく企画です。主催は商店街や実行委員会なので、1軒の店がやることは、特別メニューを用意してチケットを受け取ることが中心になります。
福岡市東区の箱崎商店街は、3枚つづり3,000円のチケットで参加店を1枚ずつ回る「はこざきどんどん俱楽部」を開き、夜の飲食店のほか昼のカフェやパン屋なども含めて35店が参加しました。チケットの販売数は前回より24%増え、参加店へのアンケートの満足度は94.1%でした(出典:福岡市「令和5年度 商店街イベント事業補助金活用事業」箱崎商店連合会の報告(PDF)・2026年10月10日確認)。
同じ東区の香椎では、パスカードを見せると各店のお得なメニューが受けられる「食べ飲みウォーク遊バル香椎」の第10回で、参加店が前回の49店から59店に増えました。この回からインスタグラムのフォトコンテストとスタンプラリーも同時に開いています(出典:福岡市 商店街イベント事業補助金活用事業 香椎商工連盟の報告(PDF)・2026年10月10日確認)。
兵庫県豊岡市の「第7回とよおかまちバル」は、2025年9月18日に、5枚つづり3,000円のチケットで開かれ、市内の34店が参加しました。豊岡演劇祭の期間に合わせて開き、演劇祭に来た方を含めて500名以上が参加して、チケットは完売しています(出典:兵庫県のサイトに掲載された豊岡まちバル実行委員会の報告(PDF)・2026年10月10日確認)。
酒類メーカーと組んだ飲み歩き
飲み歩きの企画に、お酒のメーカーと組んだテーマを付ける形です。
福岡市中央区の六本松では、15回目を迎えた「六本松バルウォーク」とは別に、シャンパンのメーカーとの協力企画「六本松あわめぐり」を初めて開きました。1,000円以上のおつまみのセットを基本にしたことで、1人あたりの金額が大きくなり、売上が8万円以上、12万円以上になった店も多くあったと報告しています。一方で、扱うお酒が限られるため、参加できる店の種類が絞られたことを課題に挙げています(出典:福岡市 商店街イベント事業補助金活用事業 六本松の商店街の報告(PDF)・2026年10月10日確認)。
景品を参加店の利用券にするスタンプラリー
飲み歩きのスタンプラリーの景品を、参加店で使える品にする形です。景品を受け取りに、もう一度お店に来ていただけます。
福岡市南区の高宮の商店街は、飲食系の加盟店18店が参加する「D★Eウォーク」で、1,000円でドリンクと料理のセットを楽しめるスタンプラリーを開き、景品を参加店で引き換えて使える品にしました。報告には、利用者数は前の年と同じくらいだった一方で、応募者は64名から54名に減り、マンネリの傾向が見えたことも正直に書かれています(出典:福岡市 商店街イベント事業補助金活用事業 高宮の商店街の報告(PDF)・2026年10月10日確認)。
同じ形を続けるときは、景品の数や中身を毎年少しずつ変えていく必要がありそうです。
商店街の夜市に、店の特別メニューで出る
商店街の夏の夜市などに、店先のテイクアウトや特別メニューで参加する形です。1軒で催しを開くより、人通りの多い日に乗れるので、はじめての方の目に留まりやすくなります。
福岡市中央区の唐人町商店街の納涼夜市では、飲食スペース「からりん食堂」を設けて、各店の特別メニューを商店街の中で食べられるようにしました。来街者は令和5年度が約1,400名で前の年の116%、令和7年度は約1,900名で、会員の店からは「人通りが多いと子どもが増えるので集客や売り上げにとても効果があった」という声が出ています(出典:福岡市 商店街イベント事業補助金活用事業 唐人町商店街連合会の報告 令和5年度(PDF)・同 令和7年度(PDF)・2026年10月10日確認)。
地元のお酒と料理を、屋外のブースで出す
地元のお酒をテーマにした屋外の催しに、近くの飲食店が料理を出す形です。
福岡市博多区の博多祇園町商店会は、冷泉公園で「博多焼酎」を知っていただく催しを開き、会場の飲食ブースで博多焼酎と、会員の店が作る焼酎に合う料理を出しました。来場者からは「祇園町界隈の飲食店がこんなにあるとは知らなかった」という声があったと報告しています(出典:福岡市 商店街イベント事業補助金活用事業 博多祇園町商店会の報告(PDF)・2026年10月10日確認)。
近くにこれだけ店があることを知っていただく場になるのが、店の外に出る催しの良いところです。
商店街のマルシェで、歩いて店を知っていただくビンゴ
商店街のマルシェや夏祭りで、歩きながら店を回るビンゴを組み合わせる形です。
福岡市南区の井尻商店街は、夏祭りのマルシェで、会場で使える1,000円のチケットを300部完売させ、組合員の店を回って知ってもらう「いじりおさんぽビンゴ」の用紙100部は午前中でなくなりました。組合員の店のレシートで引ける抽選も約350回行われています(出典:福岡市 商店街イベント事業補助金活用事業 井尻商店街の報告(PDF)・2026年10月10日確認)。
アジアの国の料理をテーマにしたフードフェスタ
商店街の飲食店の料理を、テーマを決めて何回かに分けて打ち出す形です。
福岡市博多区の吉塚商店街は、「吉塚市場リトルアジアマーケット」として生まれ変わった特色を生かし、日本の季節とアジアの国々の行事を合わせたテーマで、カレー、フォー、冬のグルメ、旧正月の全4回のフードフェスタを開き、来場者は累計約3,000人になりました。参加者の満足度は95%、会員の店の満足度は85%でした(出典:福岡市 商店街イベント事業補助金活用事業 吉塚商店街の報告(PDF)・2026年10月10日確認)。
地域の飲食店が一斉に開くレストランウィーク(米国の例)
地域の飲食店が同じ期間に、決まった値段のコースやお得なメニューを一斉に出す企画です。米国の各地で開かれています。
米国イリノイ州ロックフォードの観光局は、例年お店の売上が落ちる時期の売上を支える目的でレストランウィークを開いていて、2025年は過去最多の65店が参加しました(2024年は62店)。参加店へのアンケートでは、期間中の売上が平均で20%強増えたと発表しています(出典:GoRockford 2025年2月25日の発表・2026年10月10日確認)。
日本の飲み歩きイベントと同じく、1軒ではできない規模の告知を、地域でまとめて打てるのが強みです。
店内で開くときは、開き方と定員と予約を先に決める
店内のイベントは、最初に「貸切にするか、一部の席だけ使うか、通常営業と並べて開くか」を決めます。開き方が決まると、イベントに使える席の数と、普段のお客さまに残す席の数が決まり、定員と予約の取り方もそこから決まります。

| 開き方 | 向く企画の例 | 先に決めておくこと |
|---|---|---|
| 貸切にする | 店内ライブ、落語会、生産者を囲む会、ラテアートなどの教室 | 普段のお客さまへの休業の案内、開くのに要る最少の人数 |
| 一部の席だけ使う | 飲み比べ会、観戦会、常連さん向けの会 | イベントの席と普段の席の境目、音や声の大きさ |
| 通常営業と並べる | じゃんけん大会、毎月の決まった日の企画 | 企画を始める時刻と、店内での知らせ方 |
貸切や一部の席を使う企画は、予約制にして料金を先に決めておくと、仕入れと人の手配が読みやすくなります。料金に何を含むか(料理、1ドリンク、出演の料金)と、いつまでならキャンセルできるかも、告知の文に書いておきます。実例の観山寄席のように、料理・飲み物・税・サービス料をすべて込みにした料金を出しておくと、お客さまも当日の会計を気にせずに済みます。
当日の席は、入口、レジ、厨房とトイレへの通り道を先に決めてから、テーブルと演奏や話をする人の位置を置きます。料理を運ぶ道がふさがると、イベントの最中に提供が遅れやすくなります。
空いている曜日の洗い出し、開き方と定員、お酒や音楽の確認、席の配置図、告知の日付を1つにまとめたシートを用意しました。企画を決める前に書き込んで、店のスタッフや出演者・生産者と共有してください。
お酒を出すイベントは、年齢と車の確認を段取りに入れる
お酒を出すイベントでは、20歳未満の方にお酒を出さないことと、車で来た方にお酒を出さないことを、当日の受付と飲み物の係の仕事として決めておきます。どちらも、出した店の側に罰則があるからです。

20歳未満の方の飲酒を禁じる法律では、営業者が20歳未満の方が飲むと知りながらお酒を出すことを禁じ、年齢の確認などの措置をとるよう定めています。違反すると50万円以下の罰金で、お酒を出した本人だけでなく、店を営む法人や事業主も罰せられます(出典:e-Gov法令検索「二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律」・2026年10月10日確認)。
車で来たと分かっている方にお酒を出し、その方が飲酒運転をすると、お酒を出した側も罰せられます。運転者が酒酔い運転なら、出した側は3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金、酒気帯び運転なら2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です(出典:警察庁「飲酒運転の罰則等」・2026年10月10日確認)。
飲み比べ会や飲み歩きイベントは、お酒が主役になるので、とくに気をつけたいところです。予約のときに「お車でお越しでないか」を聞いておく、ノンアルコールの飲み物を同じ値段で選べるようにしておく、受付で年齢を確かめる係を決めておく、といった段取りを先に組んでおくと、当日に迷わずに済みます。
ライブや観戦会は、曲の手続きと深夜0時の線を確かめる
店内ライブで人の曲を演奏するときは、著作権の手続きが要ります。また、深夜0時を過ぎてもお酒を出しながらライブやショーを続けるなら、警察の許可が要る営業になる場合もあるので要注意です。開く前にこの2つを確かめておけば、あとは企画の中身に集中できます。

JASRACが管理している曲を店内で演奏するときは、店の経営者がJASRACと契約します。許諾は、JASRACの管理曲すべてを使える包括の許諾(年額・月額など)と、曲ごとの許諾のどちらかを選べます。曲ごとの許諾は、利用日の5日前までに申込書と利用明細書を出します(出典:JASRAC「飲食を提供する施設や宿泊施設、結婚式場などでのカラオケ、楽器演奏」(PDF)・2026年10月10日確認)。実例のモグラカフェのように自分たちのオリジナル曲だけで開くなら、その曲の管理をJASRACに任せていないかぎり、この手続きは要りません。
観戦会でテレビ放送を流すことは、家庭用のテレビを使う場合、営利の店でも著作権法で認められています(著作権法38条3項)。一方で、プロジェクターなど映像を大きく映す装置で放送を流すことには、放送局の権利がかかります(同法100条)(出典:e-Gov法令検索「著作権法」・2026年10月10日確認)。また、この決まりが使えるのはテレビの放送(と、その同時配信)です。DAZNのようなインターネットの配信サービスは放送ではないので、店で流せるかどうかは、それぞれのサービスの利用規約や店舗向けの契約で決まります。大きなスクリーンで映したいときや配信サービスで見たいときは、先に確かめておくと安心です。
深夜0時から朝6時の間に、お酒を出しながらお客さまに生演奏を聴かせたりショーを見せたりする営業は「特定遊興飲食店営業」にあたり、公安委員会(窓口は警察署)の許可が要ります。警察庁の解釈では、スポーツの映像を流すだけなら遊興にはあたりませんが、店の側から呼びかけて応援に参加させると遊興にあたるとしています(出典:警察庁「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準」(PDF)・2026年10月10日確認)。ライブは0時前に終える時間割にしておくのが確実です。
なお、バーや居酒屋のように主にお酒を出す店が深夜0時以降も営業するときは、ライブなどをしなくても、始める日の10日前までに警察署を通じて届け出る決まりがあります。ラーメン店や定食屋のように、普段から主食になる食事を出している店は、この届出の対象から外れます(出典:e-Gov法令検索「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」第2条第13項第4号・第33条、同法施行規則第103条・2026年10月10日確認)。イベントのために初めて深夜まで開けるときは、この届出も忘れずに確かめておきます。
じゃんけんの1杯無料や来店プレゼントにも、景品の上限がある
じゃんけんやくじで勝った方だけを1杯無料や半額にする企画は、値引きではなく「懸賞」の景品として扱われ、1つの景品の最高額と、景品の総額の両方に上限がかかります。じゃんけんは偶然で当たりを決める方法にあたり、偶然で決める値引きは景品の規制の対象になるからです(出典:消費者庁「景品に関するQ&A」(PDF) のQ46・Q85・2026年10月10日確認)。
| 配り方 | 1つの景品の最高額 | 景品の総額 |
|---|---|---|
| じゃんけん・くじ・抽選で配る(懸賞) | 取引価額5,000円未満はその20倍、5,000円以上は10万円 | 懸賞を行う期間の、対象の商品の売上予定総額の2% |
| ご注文の方に、もれなく配る | 取引価額1,000円未満は200円、1,000円以上は取引価額の10分の2 | 決まりなし |
| 注文を条件にせず、来店した方全員に配る | 原則200円(取引価額を100円とみなす) | 決まりなし |
出典:消費者庁「景品規制の概要」・同「景品に関するQ&A」Q86・Q111(2026年10月10日確認)。
1杯数百円のドリンクを1杯無料にする程度なら、1つの景品の最高額に届くことはまずありません。気をつけたいのは総額の2%のほうです。
来店した方全員とじゃんけんをする形は、勝つ方が多く出るので、この2%を超えやすくなります。たとえば1組の会計が平均3,000円の店で、あいこと負けは定価にして、勝ったら500円のドリンクを1杯無料にすると、勝つのはおよそ3回に1回です。1組あたり平均170円ほどを景品に使う計算になり、売上全体で比べても5%を超えます。
店でじゃんけんの企画を開くなら、次のどれかで総額を2%の内に収めます。
- 当たりの数に上限を決める(「1日先着10杯まで」のように決め、売上の見込みの2%に収まる数にする)
- 無料ではなく「勝ったら1杯100円引き」のように、1回あたりの額を小さくする
- じゃんけんをやめて、その日に来た方全員の最初の1杯を同じ額だけ値引きする
3つ目のように、偶然で決めずに全員の代金を下げる形は値引きとして扱われ、景品の規制はかかりません(同じQ&AのQ46)。「5杯飲んだら1杯無料」のように同じ商品を付けるサービスも、偶然で決めないかぎり値引きです(同Q43)。計算のしかたで迷うときは、消費者庁や都道府県の景品表示法の窓口に、企画の中身を伝えて相談してください。ゲームの選び方と景品の数の決め方はイベントのゲーム企画にもまとめています。
店の外に出るイベントは、出店の許可と、店に来ていただく案内をセットにする
マルシェやお祭り、商店街の夜市に出店するときは、店の営業許可とは別に、会場で調理した食べ物を出すための許可が要ります。あわせて、出店の目的を「その日の売上」ではなく「後日お店に来ていただくこと」に置くと、ブースで用意するものが変わってきます。

福岡市の場合、イベントなどで短い期間、簡易な施設を使って食べ物を出す営業は「臨時営業」で、会場を管轄する区の衛生課に、営業する日の2週間前を目安に窓口で申請します。手数料は3,000円で、原則1つの許可で1品目です。出せるのは、焼く・揚げるなどの簡単な調理で、出す直前に十分に加熱したものなどに限られるので、店のメニューをそのまま出せるとは限りません(出典:福岡市「イベント営業等における食品の仮設営業及び臨時営業について」・2026年10月10日確認)。ほかの市町村で出るときも、会場を管轄する保健所に早めに相談してください。
店に来ていただくための工夫は、実例の中にもあります。高宮のD★Eウォークは景品を参加店で使える品にして、もう一度お店に来ていただく仕組みにしていました。井尻の夏祭りの「おさんぽビンゴ」は、商店街を歩きながら組合員の店を知ってもらう形です。1軒で出店するときも、ショップカードやお店の地図、次回に使える券を、売り物と一緒に渡せるように用意しておくと、出店がお店の宣伝になります。
酒蔵の出店ブースは、福岡音楽祭での酒蔵のイベントブースのように私たちも手がけています。マルシェのブースの見せ方はマルシェ出店の装飾とディスプレイに、テントまわりの決めごとはイベントブースのデザインにまとめました。
告知は、常連さんには店内で、はじめての方には店頭と地図アプリで
飲食店のイベントの告知は、知らせる相手で手段を分けます。常連さんには店内のポスターや卓上の案内、LINEなどで前もって知らせ、はじめての方にはSNSと地図アプリの店の情報、それに店頭の看板や黒板で知らせます。

常連さんには、店に来るたびに目に入る場所で知らせるのがいちばん届きやすい方法です。会計のときに直接声をかけられるのも、飲食店ならではの強みですよね。たとえば「来月の第2金曜に、蔵元さんをお招きして日本酒の会を開きます。16席だけなので、よろしければお名前をうかがっておきますね」のように、日時と席の数まで伝えると、その場で予約につながりやすくなります。はじめての方は、イベントの名前や地域名で検索して見つけることが多いので、SNSに加えて地図アプリの店の情報にもイベントを載せておきます。SNSの投稿の予定の立て方はイベント集客のSNSに、告知の手段ごとの締切はイベントの告知方法10選で比べています。
店頭の看板やのぼりは、店の敷地の中に収めます。福岡市は、歩道の上に店の置き看板やのぼりを置くことは道路法違反になると案内しています(出典:福岡市「歩道上の置き看板やのぼりを撤去してください。」・2026年10月10日確認)。お祭りなどで一時的に道路を使うときは、管轄の警察署で道路使用許可を取ります。福岡県警察の案内では、手数料は1申請2,400円です(出典:福岡県警察「道路使用許可申請手続き」・2026年10月10日確認)。
看板やポスターは、日付や料金を差し替えられる作りにしておくと、毎月の企画にも使い回せます。店頭の看板はカフェの街頭看板のように私たちも制作しています。のぼりやPOPの種類は販促ツール13種類にまとめました。
AGSでお手伝いできること
集客イベントの企画を考えるのはお店のみなさんで、私たちはその企画を形にする道具作りと会場作りをお手伝いしています。
たとえば、店頭の看板やポスター、のぼり、メニューパネルなどの販促物の制作、店内の季節やイベントの装飾、マルシェやお祭りに出店するテントやブースの設営、店内ライブの音響機材、商店街のイベントのステージや当日のスタッフの手配です。販促物は販促ツールのページ、装飾はイベント装飾・店舗装飾のページ、商店街などのイベント全体の企画はイベント企画・運営のページからご相談いただけます。
拠点は福岡・博多ですが、現場は全国に伺います。見積りは無料です。
よくある質問
Q. 席数が少ない店でも、集客イベントは開けますか?
開けます。じゃんけん大会や毎月の決まった日の企画のように、通常営業と並べて開ける企画なら、席を動かす必要もありません。この記事で紹介した今治市の古本カフェ「森」の読書会のように、空いている曜日の夜に少人数で開く形もあります。
Q. 予約制と当日先着は、どちらがよいですか?
ライブや落語会、生産者を囲む会のように、料理の数や席の配置が決まる企画は予約制が向いています。じゃんけん大会や観戦会のように、いつものメニューで開ける企画は当日先着でも回せます。予約制にするときは、料金に含むものとキャンセルの決まりを告知の文に書いておきます。
Q. じゃんけんで勝った方に1杯無料にするのは、問題ありませんか?
じゃんけんで勝った方だけを無料にするのは「懸賞」にあたり、景品の総額を、対象の商品の売上予定総額の2%に収める必要があります。来店した方全員とじゃんけんをすると勝つ方が多く出て、2%を超えやすいので、「1日先着10杯まで」のように当たりの数に上限を決めるか、1回あたりの値引きを小さくします。偶然で決めずに全員の最初の1杯を値引きする形や、「5杯で1杯無料」のサービスは、値引きとして扱われます。
Q. 深夜のスポーツの試合を店で流して、観戦会を開いてもいいですか?
家庭用のテレビで放送を流すだけなら、著作権法で認められていて、警察の許可が要る遊興にもあたりません。ただし、店の側から呼びかけて応援に参加させるような進め方を深夜0時以降に続けると、特定遊興飲食店営業の許可が要る営業にあたることがあります。プロジェクターで大きく映す場合や、DAZNのような配信サービスで見る場合は、著作権の扱いが変わるので、放送局やサービスの決まりを先に確かめてください。深夜の進め方で迷う場合は、管轄の警察署に相談するのが確実です。
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